- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784884698577
感想・レビュー・書評
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Yotsuya
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使える技ばかり
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本書は近い将来、パブリシティ(企業などの広報活動)のためのバイブルになることでしょう。
なぜなら、現役の新聞記者の端くれの端くれである私が読んでも、実に説得力に富むからです。
本書のアドバイスに従い、適切にアプローチすれば、「マスコミデビュー」はぐっと近くなることでしょう。
元・北海道新聞記者である著者の現役記者時代と同様、私も1日に少なくとも十枚以上、時には数十枚ものプレスリリースに目を通します。
その中で、思わず食い付いてしまうようなプレスリリースに出合うのは実際には非常にまれです。
それでもローカル紙という性質上、リリースされたものは可能な限り取材するようにしています。
ただ、北海道新聞のようなブロック紙ですと恐らくかなりふるいにかけられますし、朝日、毎日、読売といった全国紙だと文字通り狭き門です。
それでは不採用となったのは、プレスリリースした情報そのものが報道するに値しないと判断されたからでしょうか?
もちろん、それが第一の理由でしょう。
ただ、せっかくの価値のある情報でも、プレスリリースの方法が悪くて敢え無く不採用ということもあるのです(記者も生身の人間ですから心証を害して取材しないという例を私はいくつも知っています)。
そこで本書が大変に役に立ってきます。
見出しの書き方や本文のボリューム、写真や図表の使い方などテクニカルな助言はもちろん、プレスリリースを手にした記者に「取材したい」と思わせるヒントが盛りだくさんです。
本書に従ってプレスリリースを作成した場合、実際に採用されて取材される確率は格段に高まると思います。
なぜなら、徹頭徹尾、プレスリリースを手にする記者の立場で書かれているからです。
本書によると、PR会社などでは「マスコミの目を引く書き方」として、派手な表現の見出しを推奨していることもあるとのことですが、著者は反対しています。
「記者が素早く内容を読み込む際の邪魔になるだけです」
全くその通りと思いますが、これだけ明快に断言できるのは、著者自身が記者として現場に長年身を置いたからこそでしょう。
著者は「あとがき」で、「マスコミと社会を今よりも近づけたい」という思いが、本書の執筆動機の1つだったと述べています。
どんな企業も、あるいはどんな人だって、PRできるものを1つや2つは持っているのに、パブリシティの仕方が分からないばかりに埋もれてしまっているのだとしたら実にもったいない話ですね。
もしかしたら、その中には、単にPRという次元を超え、1人でも多くの人が知るべき有用な情報が交じっているかもしれません。
だとしたら、これは国民にとって損失といえるでしょう。
あるいは、情報の受け手によってはその内容に刺激を受けたり、発信主体とつながったりすることで新たな展開が生まれる可能性だってあります。
そうなれば世の中はもっと面白くなるでしょうし、著者の究極の願いも多分そのあたりにあるのではないかと勝手に推測している次第です。
で、タイトルにある「新聞に必ず取材されて記事になるたった1つの方法」とは何か。
それはぜひ本書を手に取って確かめてください。
もちろん、私は読む前から想像がつきましたが笑。