佐藤一斎『重職心得箇条』を読む

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  • Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884743604

感想・レビュー・書評

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  • 小泉元首相が田中真紀子元外務大臣に勧めたと聞いて興味を持ち読み始めました。
    この本は安岡正篤さんがとある大手保険会社の支店長で行った講演内容をまとめたものです。正直それほど期待しなかったのですがいい意味で裏切られました!
    「リーダーは自然に威厳のある人物ければならない」「忙しくしているのはある意味誇れることではない」などなど参考になる言葉が随所に出てきます。あたりまえだと思う部分も沢山出てきます。
    しかしあたりまえのことであってもあらためて言われて再認識することも沢山あると思います。幸いこの本はコンパクトにできています。常に持ち歩き思い立った時にすぐに見れるように使いたい。皆様もぜひこの本の中身にふれてリーダとしての心得を学んでもらいたいと思います。

  • 勧められて読みました。教訓になる素晴らしい本であるという感触を得ましたが、1、2回読んだくらいでは不十分でした。解釈本もあるので併せて何回も読んでみようと思います。悟りが開けることを期待したいと思います。

  • 自身の役割変更に伴い手に取った一冊。組織のリーダーの方、リーダーをこれから目指す方にお勧めしたい本です。

    江戸時代の儒学者佐藤一斎が、岩村藩のために書き記した17条の心得。平明で淡々とした内容で重職の本質的な事柄が書かれています。それを昭和の知の巨人安岡正篤が解説しています。

    本書のメッセージはまとめると以下の4点だと思います。

    【まとめ】
    ①大局的な視点を持ち、寛容さと大きな度量を兼ね備え、どっしりと構える。

    ②仕事ができなくとも、気に入らなくとも、部下を信用し、仕事を任せ、同僚間でバランスを取り、褒めるべきは褒め、指導すべきは指導し、気持ちよく能力が発揮できる環境を整える。

    ③課題の重要度と緊急度をよくわきまえ、自分の意見を持ちつつ、先例と比較したり、メンバーと情報共有をよく行い、人の意見によく耳を傾けながら、公平に判断をする。

    ④時代の流れに逆らわず、守るべきところは守る信念と、変えるべきところは変えてく柔軟さを持ち合わせる。

    【17箇条の私訳】

    1.どっしりと構える。

    2.よく聞き、公平に判断する。どんな人もよく用いるべし。

    3.守るべきものと変えるべきものを明確に。

    4.自分の案を持ち、先例と比較し、判断をする。

    5.チャンスを機敏に察知し、それに従う。

    6.活眼で全体を見渡し、公平に。

    7.よく人を観察する。

    8.忙しいと口に出さない。部下を信用し、任せる。

    9.刑賞与奪の権は、組織のものであり、リーダーは厳格に扱うべきである。

    10.課題の重要度と緊急度を見誤ってはいけない。

    11.寛大な心となんでも受け止める度量の大きさを持つ。

    12.信念を持ち、時には柔軟に変容させる。

    13.仕事の緩急を使い分け、上司・部下・同僚間のバランスを取る。

    14. 極力仕事を簡素に保ち、手数を省くことが大切。

    15.風儀は上から伝わる。手本となるような行動を心がける。

    16.物事を隠す風儀は良くない。知られても問題ない情報は積極的に共有する。

    17.新任の重職は組織にとって春という季節のようなもの。部下の心を一新し、前向きに楽しく仕事ができる環境や雰囲気を作らねばならない。


    第一条の「重職たるもの、重を失い、軽々しくあるな」から、さっそく響きました。自分がどっしり構えることで、組織に安定感を生み出していく必要性を思いました。

    (やや長文の)第二条から、どんなメンバーも信頼し、よく用いること。些細なことは口出しせず自主性を尊重すること。頭ではわかっても、なかなか難しい点だなと思いました。

    まとめの①~④をよく読み返し、理想のリーダーに近づけるよう精進したいとです(特に①と②が難しくそして自身の課題だなと感じます)。

  • 「人の上に立つ者の必読書、行動指針」とある。
    重職ではないが、いちおう管理職なので読んでみた。100ページあまりで軽く読めるが、内容は流石に深沈厚重だ。
    「八 重職たるもの、勤向繁多と云う口上は恥べき事なり(重役たるもの、仕事が多い、忙しいという言葉を口に出すことを恥ずべきである)」は若い頃から意識してきた。
    17箇条、折に触れて読み返すことにしよう。

  • 人をまとめていく立場にある者には、何度も読んで噛みしめると良いのだと思う。(HPの日記より)
    会社のグループ内で紹介した。

    【Amazon紹介文】
    佐藤一斎とは、江戸末期の名儒学者であり、名教育者である。
    『重職心得箇条』は、つまりリーダーについて、その心得を述べたものである。
    本書は『重職心得箇条』に説かれている不易のリーダー論を、
    現代のビジネス・リーダー向けにわかりやすく一条ずつ原文を引きながら解説していった語録である。
    一条一条について平易に語られる内容は、極めて重く、時代を超えて現代のビジネス・リーダーにとっても大変示唆に富み、意義深い。
    現代のリーダー必携・必読の書といえよう。

    ※2002.2.2読書のすすめから到着
     2002.2.11読書開始
     2002.2.16読了
     売却済み

  • 会社のCEOの愛読書として紹介されていた本。普通だったら出会えないような深い本だった。数時間で読み終わるくらいの分量だったが、何度も繰り返して読みたい良書。

    【なるほど!そうだよな!と思ったフレーズ】
    人物と申しますと、文字そのものは人と物ですけれども、用語としては、「出来た人間」、片々たる軽薄な人間ではない、しっかりした人間、これを人物という言葉で表現するわけです。

    択り好みをせずに、愛憎などの私心を捨てて、用いるべきである。自分流儀のものばかりを取り立てているのは、水に水をさすというようなとので、調理にならず、味もそっけない。平生嫌いな人を良く用いる事こそが腕前である。

    「使用」人間が人間を用いる
    「任用」その使用する人物に任す
    「信用」ただ任せるだけじゃなくて、信じて任せる
    こういうふうに任せて使うことができないと、重職は自然と忙しくなるものだということ。

  • ”佐藤一斎さんが岩村藩のためにつくった「重職心得箇条」十七条を、安岡正篤さんが解説した講話録(昭和54年4月の住友生命全国支社長会議にて)。

    「言志四録」の教えとあわせて自分の中へ取り入れていきたい。

    なお、この本は11月の社内読書会の課題本。どんな議論ができるのか今から楽しみ!


    <読書メモ>
    ・一斎先生が自分の出身の岩村藩のために選定しました藩の十七条憲法、これが「重職心得箇条」です。
     これは、段々有名になりまして、伝え聞く諸藩が続々と使いを派遣してこの憲法を写させて貰ったということです。(p.21)

    ・人物の優れた段階といいますと「深沈厚重」人間がどこか深みがあって落ちついている。厚み、重みがある。これを東洋人物学では第一等にあげております。成程、いわれてみるとわかりますね。
     それでは、その次は何かと申しますと、これは一寸、普通の人には考えつかないことですが、「磊落豪雄」(らいらくごうゆう)と申しております。磊落、例えば大きな石がごろごろしている線の太い、貫禄、つまり重み、厚みがある人です。これが「深沈厚重」、偉大な人物、立派な人物の次にくる人物の内容である。
     それから第三に、初めて皆がよく知っている言葉が出てきます。「聡明才弁」、頭がよくて、才があって、弁舌が立つ、これは人物の第三等である。(p.27-28:一条について)

    ・「又些少の過失に目つきて、人を容れ用る事ならねば、取るべき人は一人も無之様になるべし」
     アラ探しをしたら、アラのない人間はいない。用うべき人間はなくなってしまうという事です。
     「功を以て過を補はしむる事可也」
     これはあれの過失だ、いけないところだということがあれば、それに対する功業、手柄、つまりプラスを奨励してマイナスを補わせるようにしたらよい。(p.35:二条)

    ・「又仕来仕癖の習あり、是は時に従て変易あるべし」
     つまり、習慣、慣習というものは祖先の法と違って時には変わる、変えるということがあってよい。(p.38:三条)
     #必ず守るべき「祖先の法」と対比して。

    ★「自案と云ふもの無しに、先づ例格より入るは、当今役人の通病なり」
     自分の独特の案、自主的な案というものを持たないで、まず先例古格、仕切り、仕癖というようなものから入る。これは今ごろの役人の共通の病気だと、なかなか痛いことを指摘しています。(p.42:四条)

    ・「活眼にて惣体の体面を視て中を取るべし」
     眼の届かないところがないように全体を観察して、そしてそのまん中をとるのがよろしい。
     問題の中に入って、すみずみが見えなくなってしまうと危ういということです。(p.48:六条)

    ★「重職小事を自らし、諸役に任使する事能はざる故に、諸役自然ともたれる所ありて、重職多事になる勢あり」
     (略)
     こういうふうに任せて使うことができないと、重職は自然と忙しくなるものだということをここで言っているのです。(p.51-53:八条)

    ・「手数を省く事肝要なり」
     (略)
     「省」という字に少なくとも二つの大事な意味がある。一つは省みるということ、もう一つは省くということです。反省し、省みることによって、不要なこと、むだなことを省いていく、これが「省」という字の逸してはならない二つの大事な意味です。(p..63-64:十四条)

    ★これを熟読され、折にふれ事に臨んで活用されますと、単なる知識ではなく、大いに見識を養うことになり、また何問題に取り組まれる時は、見識のもう一つ上の胆識、すなわち実行力を身につけるうえに役立つことになります。
     (略)知識に基づいて批判する、判断する、つまり、見識を立てて、そうしてこれを実行しなければなりません。
     このように、先哲、先賢の言葉や行い、言行を知る、学ぶ、行う、これを「活学」というゆえんです。(p.72-73:全体の講評)

    ★大臣たるもの胸中に一つの定まった意見を持ち、一度こうだと決心した事を貫き通すべきであるのは当然である。しかしながら心に先入主、偏見をもたないで公平に人の意見を受け入れ、さっとすばやく一転変化しなければならない事もある。この心を虚しうして意見を聞き一転変化することができない人は、我意が強いので弊害を免れることが出来ない。よくよく反省せられよ。(p.90-91:十二条 口語訳)
     #我意が強い…、むぅ反省。宣言したうえで一転変化するのだ。

    ・人君が初めて政事をする時というのは、一年に春という季節があるようなものである。まず人の心を一新して、元気で愉快な心を持たすようにせよ。(p.96:十七条 口語訳より)


    <きっかけ>
     2012年11月の社内読書会課題本。
     10月の人間塾の課題図書が、佐藤一斎氏の『言志四録』だったためすばらしいリレーとなった。”

  • 江戸時代の書籍だがリーダーシップに対する考え方は普遍

  • 「深沈厚重」、「磊落豪雄」、「聡明才弁」の人物条件。常に携帯して素読する習慣を続けなくては。

  • 先日リーダーシップの講演で紹介されていた本。
    シンプルでわかりやすいリーダーとしての心得。

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著者プロフィール

明治31年大阪市に生まれる。
大正11年に東京帝国大学法学部政治学科を卒業
昭和2年に金鶏学院を設立。
陽明学者、東洋思想家。
終戦の詔の起草者の一人。
昭和58年死去

著書
『易學入門』『全訳 為政三部書』『東洋思想と人物』『暁鐘』『王陽明研究』『陽明学十講』『朝の論語』『東洋学発掘』『新編 経世瑣言』『新憂楽志』『老荘思想』『古典を読む』『人物・学問』『光明蔵』『政治と改革』『古典のことば』『この国を思う』『儒教と老荘』『旅とこころ』『王陽明と朱子』『人間維新Ⅲ』『憂楽秘帖』『明治の風韻』『天子論及び官吏論』(明徳出版社)

「2000年 『人間維新 III』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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