- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784884748999
作品紹介・あらすじ
20万部突破!!「死ぬときに後悔すること25」の著者待望の新刊。より良く生きるための10の質問。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
1000人以上の死を見届けた終末期の患者さんの緩和医療医の大津秀一さんという医師の方が書かれた本です。
終末期医療というのは、「治す」ものではなく「看取る」ための医療です。死に向き合う患者さんとその家族。そんな場面をたくさん見てこられた医師ならではの見解がつまった一冊でした。
終末期、というと、やはりガン患者さんのホスピスを連想します。まだ働き盛りで、小さな子どももいて、亡くなる方の悔しさ、見守る家族の辛さ、どうしたらその患者さんが、尊厳を持って死に向かうことができるのか、ホスピスでケアをする医師や看護師の方はそういう死と向き合う心のケアも考えてお仕事をされてるんだな、辛いことも多いんじゃないかな、、と想像します。
普段私たちの身近には、死も、老いも、病いもないから。
ドラマでは、きれいな満開の桜の下で恋人に手を握られながら「あなたに会えてよかったありがとう」と言ってカクっと美しく死んだり、「おじいちゃん、死んじゃいや!」と孫に泣かれつつ、家族に看取られながら静かに息を引き取ったり、追い詰められた二人が最後雪山で毒を飲み合って手をつないで微笑んで死んだり、そんなきれいな死がいっぱいあります。
でも一歩、病院の中に入ると、そこには現実の死がいっぱい溢れてる。
若い働き盛りなのに、もはや万策尽きて死を待たなくてはならない人、そしてもう意識もなく体も動かせないのに生かされてるおかげで衰弱するのを待つだけの人。
死はタブーではない。
この本から伝わるメッセージは、これに尽きると思いました。かわいそうな死、悲惨な死、孤独な死、それらはあたり前にある。でもできればそんな死のリアルは忘れて生きていきたい。
私の父は、ある年に癌と体動脈瘤という大きな病気が立て続けに見つかったけれども、巡り会えた名医のもと手術して、癌も大動脈瘤もきれいに取り除くことができた。
煙草もやめて、お酒も控えて(以前と比べてだが)、リハビリも順調でやっと健康を取り戻したと思ったのに、最後に全く別の、絶対に治らないという死病にかかってしまった。
そんな稀な病気まで用意されて、そこまでしてでも、どうしても、父はあの齢で死ななくてはならなかったのかと。
「寿命」というものに対していろいろ考えました。病気が治っても寿命で死ぬ。人は病気で死ぬんじゃなくて、寿命で死ぬ。
なんか達観したような言い方ですが、全然そんなことはなく、むしろ父の死は私に、病を得ること、寝たきりになること、意識がなくなること、その果てに死ぬこと…へのリアルを教えてくれたと思ってます。
そのリアルは恐怖でもあります。でもいままでそのリアルを全く知らずに、感じずに生きてきてた。
毎日死と向かい合ってる医師が、宗教的な考え方を持つことは自然なことだと思う。作者の先生も仏陀やイエスキリストの言葉をいろいろ紹介されてます。
かと言って難しい内容ではなくて、たくさんの臨床例から死に向かう人の心の変化や、家族の心の変化、など、そういうのを挙げられて、死はタブーではないこと、死がリアルになればこそ恐怖もリアルになるけれど、だからこそ人生が一度きりだという現実もリアルになるんだなという、私は受け取りました。
9.11テロがあってから、アメリカで自殺する人が減ったそうです。
死を身近に感じると、死の恐怖がリアルになる。そして自殺が減る・・・なんとも興味深いです。
なんとなくやる気が出ないとか、生きてる気がしないとか、そういう心になってたらこういう本を読んでみるのもいいかもしれないですね。 -
長く生きるのではなくどのように生きるか。死タブー視するのではなきなく、生とともにあるもの。非常に良い本だった。
-
死に至るまでの道筋は3種類。
1,長い間機能が保たれ、最後の2か月で急速に衰える。がんなど。2,急性憎悪を繰り返しながら、徐々に機能が低下、最後は急な経過。心疾患や肺疾患。3,機能が低下した状態が長く続き、徐々に機能がさらに低下する。認知症や老衰。PPKは、めったにない。
ステロイドが効かなくなったら、予後は数週間。2週間を切ると急速に悪化。がんの場合、1か月では日常にあまり支障がない。
下の世話にはなりたくない、はほとんど不可能。
余命週単位になれば、通常の治療は苦痛。水分200ml、点滴35カロリーだけで100日生きた。栄養を入れても改善は見込めない。
歩けなくなったら、もう一度歩けるようになる可能性は低い。
余命数日では、だんだん寝ている。起きていると身の置き所のないだるさを感じる。
最後まで意識がはっきりしているのは少ない。たいていは昏睡になるか、せん妄が出る。
死の最後24時間が一番つらい。身の置き所のないしんどさ。
体を動かすのでなければ、声が漏れたり呼吸が荒くてもつらくはない。
人間は基本的に楽観的。そばに死があっても普通に生活している。
生きること、健康が大事なのは、挑戦ができるから。
一人でいるよりも二人でいる孤独のほうが悲しい。
おひとり様の死のほうが、最後は一人、ということを前々から予測できるので、心の準備ができやすい。
人生の目標として、自分の人生の意味と目的を見出すこと。人生の意味は考えてもわからない。自分自身の人生のすべてを引き受けることが、生きている意味かも。
欲をなくすことはできないが、不要な欲はそぎ落とすことはできる。
白血球の血液型HLAが人の好き嫌いに関係しているとの研究がある。 -
★5
Library
Reserved -
沢山の臨終を見届けた緩和医療医が書いた本。高齢の親が死を怖がるようになった。結局、苦痛を和らげることは本人しかできないのと知る。人は死ぬ時「ぴんぴんコロリ」を望むが、そんな死に方ができる人は多くないと書いてあってショック。人生の終わりに、その人の人間性がはっきり現れる。人生に多くを望みすぎると幸せに生きられないとあって、激しく納得。
-
死を前にした人間の気持ちの移り変わり「否認→怒り→取引→抑うつ→受容」
死ぬのを怖がり言葉にするのもタブーとする日本人
手塚治虫の火の鳥の話は知らなかったが、死なない体を手に入れたはずのマサトが1人になっても永久に死ねない苦悩…
死を避けることだけを考えているのはやはり間違えなんだと考えさせられる
「死ぬ前のロスタイム」とは在宅でこそ与えられる必要な時間だと思う -
「死ぬ」ということを論じることは禁忌ではなく、むしろ積極的に知り、考え、受け入れておくことが必要だと感じている。だからこそ生の意味にも言及できるということだ。
-
「終末期医療」や「ホスピス」と言う言葉は、よく耳にするが、「緩和医療」と言う言葉を知らなかった。
最初、本を開けると、
はじめに
あなたは今、幸せですか?と、書かれていた。
普通の生活をしているのに、病気になってしまい、手術を必要と言われた時に、葬儀場の会員になった。
激痛に耐えかね、眠れず、正座して、枕を抱いて、そのままうつらうつら、、、と、寝入った日が、何日もなり、精神的に、息が止まれば、痛みが消えるのでは、、、迄考えてしまった。
入院してみれば、自分より、身動きのできない状態の人ばかりの病室、「痛みがあるのは、生きている証拠」と、、、
60、70、まだまだ、先があるよ!と、言われてしまった。
さて、あなたは今幸せですか?
生きているという幸せを、感じないで、人生を終えてしまうことなく、ピンピンコロリを、願いながら、誰かに、『あなたと生きた日々を忘れないよ!》と、言ってもらえる終末を得たいと思った本であった。 -
死というものを現実のものとして、自分のものとして受け入れられたとき、人は生のリアリティを認めざるを得なくなる