学問のすすめ (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ1)

著者 :
制作 : 奥野宣之 
  • 致知出版社
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本棚登録 : 150
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884749675

作品紹介・あらすじ

日本人の精神を養ってきた名著の数々をわかりやすい現代語訳で読むシリーズ。明治初期の大ベストセラー「学問のすすめ」が148分で読める。

感想・レビュー・書評

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  • 明治5年~9年(1872~1876年)の間に福澤諭吉によって書かれた当時の大ベストセラー。初編だけでも日本人の約160人に1人は読んでいた計算になるというのが凄まじい。

    開国後、西洋や西洋の学問・文明とどう付き合えばよいのか、さらに、どう生きればよいのか暗中模索の時代に、道を示したのが本書ということなのだろう。

    本書は一見すると「昔の自己啓発書」のように見えるが、現代の自己啓発書と決定的に違う点がある。それは、「一個人である読者の利益追求」を第一とするのではなく、「文明の発展、人類の発展」を第一としている点である。

    だから、例えば、「自分のお金を使って、酒や女遊びに溺れて放蕩の限りを尽くしている人」に対して、現代の自己啓発書なら「すぐにお金がなくなって“貴方”が困りますよ。他の良いことに使えば、“貴方”の人生がより良いものになりますよ」という、あくまでも読者である“貴方”の損得を主軸に話が展開されることが多いと思われる。

    しかし、この「放蕩を尽くしている人」について諭吉が述べると「自由独立が大事ですが、自由とわがままの違いは、他人の邪魔をするかしないかです。放蕩の限りを尽くしても、その人の勝手のように見えますが、決してそうではありません。ある人の放蕩はいろいろな人の手本となって、しまいには世間の風俗を乱して、人としての正しい生き方の妨げとなるのです。だから、自分のお金で遊んでいるからといって、その罪を許してはなりません。他人の邪魔をせずに、自分自身の自由を達成しましょう」となる。

    諭吉は、一個人の自由独立や権利も訴えているが、それと同等かそれ以上に、一個人の働きが、文明や人類や日本国の発展に寄与するかどうかを重視していると、私には受け取れた。
    だから、文明の発展・正しいあり方を示すために、政府を「優秀な人物をたくさん集めて、一人の愚か者がやるようなことをする所」と言って憚らないし、(読者である)人民についても「相変わらずやる気も能力もない愚民」とはっきり言う。漢学者にも洋学者にも手厳しい。
    けれども、これは馬鹿にして見下しているというより、本当に政府や人民のことを思いやっているからこそ、これだけは言っておかなければならないということを、色々な喩えをふんだんに用いて、子供にも分かるようにと考えて書いているのである。

    その厳しい清廉さは、正直言って格好いいと思う。是非とも、福澤先生に現代日本の進むべき道を示し、啓蒙してもらいたいと心底思ってしまう魅力がある。

    もう一つ特筆すべきは、諭吉の西洋の文明への慧眼である。
    「わが国が、外国にかなわないのは学術、商業、法律の三つ。世界中の文明はだいたいこの三つに関係していて、三つともうまくいかなければ国が独立できない。ところが、今わが国ではそのうち一つたりともその体を成していない」
    「「信」の世界はデタラメだらけで、「疑」の世界は真理があふれている。西洋諸国の人民が今日の文明にたどりついた原因を考えてみれば、「疑」の一文字から発生しなかったものはない(科学や物理に始まり、奴隷制を疑う等、人間がやることの進歩まで)」等々、その洞察は多岐にわたる。

    この西洋の文明への鋭い洞察は、そのまま、明治以降その西洋の文明を取り入れた日本への洞察へとつながるのである。
    現代日本が抱えている問題も、元をただすと、諭吉の指摘している、明治時代の時点で「西洋の制度をうまく取り入れられてない(形だけになっている)」部分を、そのまま現代に引き継いでいる箇所が多分にあるのではないかと感じた(現代日本において政治が他人事で投票率が低い等特に)。

    そのため、西洋の制度や文明の仕組みを、そして、日本が今に至る起源を知りたい人は、諭吉の著書を読むと非常に多くの示唆と知見を手に入れられるのではないかと思う。

  • 奥野宣之『「読ませる」ための文章センスが身につく本』著者略歴より

  • 福沢諭吉『学問のすすめ』の現代語訳。

  • 慶応義塾を開いた福沢諭吉の「学問のすすめ」。この本が書かれた当時(明治)に大ベストセラーになったそうです。
    武士から四民平等へ、藩から日本へ移る時代にあって、一国民としてどうあるべきかが説かれています。「格差のもとは学問の有無にある」「定期的に人生の棚卸しをする」など現代のビジネス書にもありそうなことが書かれていて、福沢諭吉の先見さに感心しました。

  • 明治時代の書物だが、現代社会における課題にも適合しており、また、自分自身の環境においても即座にアウトプットでき、する価値のある内容だった。
    一読の価値あり。

  • 非常にわかりやすく、また省略せずに現代語に書き直してあるのでオススメです。福沢諭吉翁が生きた、明治初頭の激動の時代背景をよく頭に描きながら読まないと、当時日本が抱えていた問題に対する諌言をそのまま現代に援用してしまうと、バランスを欠くことにもなりかねないけど、新しい価値観と言うものを受け入れ、自ら咀嚼して体の一部としてうまく吸収して行くためには必要ない言葉であったのだろうと思う。オススメです。

  • 読みやすい現代語訳なんだけど、あまりに砕けすぎて笑ってしまうところも。「エロ旦那」とか。現代のペラいビジネス本のノリ。

    お役人批判、実学主義、無用学問の批判、そして婦人の権利保護、毒親批判などなど、現代でも通ずるようなテーマが。

    しかし、この本が出版されて一世紀経っても、さほど人の生き方が変わってないことは、逆に虚しく感じられるのではないか。

  • 著者の福沢諭吉は坂本龍馬や三菱の創始者・岩崎弥太郎、新撰組の土方歳三らと同世代。
    本書は明治初期の刊行当時、日本の人口3500万人に対して22万部のベストセラー。
    明治初期、英米をはじめとする植民地政策に対抗し、真の自由を獲得するための方法論としても読める。

    【メモ】
    1.一身独立して一国独立する。
    わが日本人もいまから学問を志し、気力をしっかり持ってまず個人としての独立を図り、その結果として一国としての富強を達成することができれば、西洋人の力など恐れるに足りません。ものの道理がわかっている相手とは交流し、道理がわからない相手は打ち払うだけの話です。「一身独立して一国独立する」とはこういうことです。

    (1)文明には「形」と「精神」がある。
    ①形とは、学校・工業・陸海軍など。金で買える。
    ②精神とは、人民独立の気力。これが無ければ形も使えない。また金では買えない。

    (2)学問をするなら志を高く持て。
    学問の道に進んだら、大いに学問しなさい。農業をやるなら大農家になりなさい。商売をやるなら大商人になりなさい。学者は小さな成功に満足してはなりません。
    (3)心を開けば世間が広がる。
    びくびくしたり、遠慮したりすることなく、心事を開いて颯爽(さっそう)と人に接しなさい。
    つまり、〜多芸多能をめざし、一色に偏らず、さまざまな方向を向いて、人に接するのです。

  • ものごとの正しさを理解する心と、その正しいことを実際に行う心は、まったく別物である

  • 福沢諭吉の学問のすすめを分かりやすく現代語訳されている。いわゆる超訳のように省略されてないのもいい。

    書いてあることでいいなと思ったこと
    賢人と愚人の差は学ぶか学ばないかにある。
    一身独立して、一国独立する
    学問を学ぶ際は知識見聞を広くし、道理を知り、自分の役目を意識するのが大切
    何もかもが学問である
    見るところはより遠くを
    うらみの感情はマイナスしかない
    人よく関われ
    人生の帳簿をつけ、棚卸しをする
    世話には保護と指図(優しさ厳しさ)のバランスがだいじ
    批判的思考をもて
    心事と働き(思想と行動)のバランスを取る
    人望は活発な才知と正直な本心の徳の高さを少しずつ積み上げて得られる

    100年以上前に書かれた本ですが、学ぶべき点はいくらでもありしたし、この時代の常識を公然としかも論理で批判しており、福沢諭吉自身は激烈な人だったんだろうなあと思いました。

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著者プロフィール

【訳者】佐藤きむ:1932年弘前市生まれ。弘前大学教育学部卒、弘前大附属中学校で教壇に立ち、母校の助教授となる。その後、弘前大・弘前学院大などの非常勤講師。『ビギナーズ日本の思想 福沢諭吉「学問のすすめ」』(角川ソフィア文庫)などがある。

「2010年 『福翁百話 現代語訳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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