熊のことは、熊に訊け。: ヒトが変えた現代のクマ

著者 :
  • つり人社
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本棚登録 : 30
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784885361791

感想・レビュー・書評

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  • ヒグマに関する本はいろいろと読みましたが、1番良いです。
    なんでもかんでも羆を恐れ、殺してしまうのはどうなんだろう?と思って、調べた結果、ベアドッグに辿り着き、ベアドッグの本も読んだのですが、なんと、この著者さんはベアドッグの飼い主でもありました!!

    写真が白黒なので、少しわかりにくいのが残念ですが、読み応えあり、知識も増え、さらにヒグマの愛おしさも知ることができる1冊です。

    ヒグマにもアルツハイマーがあるなんて驚きです。
    牧草を転がす遊び心もたまりません!

  • 著者は東京都出身、宇宙物理学を志して北大で数学を学んでいたが、ユーコンでのワイルド体験がもとで道を踏み外し(?)、北大雪のたもとに居を構え、ヒグマ対応の研究・実践を行うに至っているという、超をつけたいほどの変わり種。

    科学的なまなざしに加えて、数百回にのぼるヒグマとの遭遇に基づく体験談と分析・提言は、深い示唆と説得力を持っている。

    この本の中で著者が繰り返し語るのは、熊はとても知能が高い、言葉を換えれば学習する生き物である、ということだ。

    それは個性が強く、本能に基づく「その動物の類型」に当てはまらない個体が出現しやすいことと共に、環境や経験によって変化するということでもある。

    すなわち、人間が不用意にかれらのテリトリーに入り込んだり、無用に騒ぎ立てたり、さまざまな「餌付け」(ゴミや遭難遺体、畑なども含まれる)を行うことで、結局は人間が直接・間接に「危険な熊を作り出している」面があるということである。

    熊は、その攻撃能力から見ると信じられないほど温厚な生き物であるという。山で出合わないようにし、出合ってもできるだけ(この本に書いてあるような)適切な対処を行うことで、遭遇事故の多くは防げるはずだ、と著者は説いて行く。

    山歩きをする身としてはいちいち噛みしめたい内容であるし、人側も統一的な見解を持ってワイルドライフに相向かうべきという意味で、山に入る人みんなに読んでもらいたい本である。

  • 凶暴な熊というイメージから表情を持った動物へとイメージが変わった。しんダフりやプーさんのように描かれている熊も何だかわかった。凶暴な熊にしているのは人間であった。

  • 【北海道のヒグマのその他の生態】(仮説)

    行動圏の中を通る、人がつくった道路の真ん中で糞をよくする。

    生息密度は、同じ水系地域の中では、山奥の森林エリアよりも農地に隣接する森林エリアの方が高いことが多い。

    日中に藪の中で寝入ることがしばしばある。寝入っているヒグマは人の気配(熊よけの鈴、等)に気づくのが遅い。

    サケの遡上数が多い水系では河原周辺に出没する確率がサケの遡上シーズン中に上昇する。


    (注)北海道環境生活部環境局自然環境課のPDFファイル「ヒグマ対策の手引き(令和3年3月24日改訂版)」の「第1 ヒグマとは 2 北海道のヒグマの特徴」のp.5には次の記述がある。
    「行動圏サイズは地域や個体による差が大きく、また、餌資源の豊凶の影響も受けるが、オスで数十km2~500km2、メスで数km2~数十km2と、オスの方が広い範囲を行動する。メスオスともに行動圏は他の個体と重複し、縄張りはみられない。」

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