弥生時代人物造形品の研究

  • 同成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784886217585

作品紹介・あらすじ

弥生時代の人物造形品について、悉皆的な集成と観察を行い、その特質や起源、分布状況を考察。縄文や古墳文化との相違や継承等を論究。

感想・レビュー・書評

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  • 序文に書いているように、弥生人物造形品の全国の資料の統一的な総合的な研究が、まだない中での労作である。後半に全国の図の資料が載っているのが、とっても分かり易くて貴重。

    それでも、私は不満だ。一章を設けて研究すべき論点が幾つかないからである。一つは、なぜ弥生土器の人物造形はほとんどが縄文時代よりもさらに抽象化しているのか。技術がなかったとは言わせない。それが一点。一つは、龍の非常にリアルな顔の造形品が岡山県から出土しているし、龍の紋章はおそらく全国に分布しているはずなのに、一切言及がない。避けたとしか思えない。

    注目したのは、やはり分銅型土製品の論考だ。私の知らなかったことが幾つかあった。
    (1)顔の表情のあるものから、抽象化に変遷して行く傾向がある。ただ、岡山の中心地域では、抽象化しているが、周辺地域では具象化している。周辺に広がるに従い、より理解しやすい具象性を備えるようになったという説が有力。
    (3)用木山などでは、抽象化と具象化が共存していた。
    (4)前期に土偶や土版の類例はないことから、分銅型土製品は縄文時代の土偶土版の系譜を引くものではない、という説が有力。しかも大陸にも類例がない。発生はやはり中国・四国の弥生時代中期・後期の特質の中で発生したのかもしれない。
    ただし、前期に一つ総社真壁遺跡で、初期抽象型くびれのない土偶が見つかっており、注目されている。
    (5)1遺跡から16や33個体も出土する雄町や用木山以外は、一遺跡から一例がほとんど。出土は遺物包含土、土器溜まり、住居跡覆土から。用木山は2/3が住居跡埋め土からの出土で、住居跡床面から一例だけというのもあり、所有形態は個人的なものではなく、集団的所有ではないか。祭具であり、弥生中期に東部瀬戸内地方を中心として打製石包丁が普遍化したのと即応することから、農耕の発展に結びついたものではなかったかと考えられる。墓域からの出土はない。
    (6)用木山、さくら山、愛宕山では、同一人物から作られた証拠はない。専門製作集団はいない。
    (7)銅鐸祭祀と同時期に発生消滅。
    (8)著者は座産の祭祀との関係を指摘している。入墨がないことからも女性だと推測。


    私の「子供の顔」説は、一切触れられていない。そもそもあの邪気のない笑顔の意味を、「辟邪」という説に対して、筆者は、入れ墨土偶がそれをになっているので退けているという。論理がよくわからなかった。私は赤ちゃんの顔だとするのが1番説得力あると思う。
    2017年11月19日読了

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著者プロフィール

設楽博己(したら ひろみ)1956年群馬県生まれ。筑波大学大学院博士課程文化人類学専攻。国立歴史民俗博物館考古学研究部助教授、駒澤大学文学部教授、東京大学大学院人文社会系研究科考古学研究室教授を経て、現在東京大学名誉教授。

「2022年 『遺跡から調べよう! ③古墳時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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