フンボルト理念の終焉?―現代大学の新次元

著者 :
  • 東信堂
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887138049

作品紹介・あらすじ

世界を風靡した理念の虚実と現代大学の新使命。それは近代大学に害毒さえ流してきた、現実無視の固定観念なのか?それとも今なお擁護されるべき、積極的意義を孕む思想なのか?「フンボルト理念」とは後生創作された神話だとするパレチェク仮説を検証すると共に、フンボルトの原論文、その構想現実化の実態と世界への影響等、実証的に検討・解明し、さらに今日の大学の実態に即してその進むべき方向を照射した渾身作。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館本 377.2-U94 (100080053405)

  • あとがきにも書いてあるが、同著者のアメリカの大学やドイツの大学で書かれている個所が多い。ご存知の方は適宜読み飛ばすことができるかもしれない。

    フンボルト理念とは何か。という教科書的な問いの模範解答は、
    「教育と研究の結合」、「奨学金のもらえるゼミナールという一部のエリートを対象」、「1810年に創設されたベルリン大学の基本構想をフンボルトが作った」、「教育より研究中心に据えた」、「アメリカの大学にも波及し、日本では京都帝大を中心に展開」といったことを記述するところが相場かと思っていた。

    読み進める上で、「絶えず未だに解決されていないものを学問として扱う」のは、教師だけでなく、学生もそうすべき、という主張がある。実感としては卒論や大学院レベルにならないとそういう瞬間を味わえないのかな、とも思う。研究を通じての教育は、教師も知らないことを学生が発表する場面があるし、新しい知識を求めるもの同士の連帯感、知的昂奮の様相はとても快い時間である。

    研究を通じて、物事を実証的に明らかにすることは、地味な作業の積み重ねである。努力ができることが研究の要件の1つといるかもしれない。

    ちなみに、ドイツの科学技術政策は、戦争、ナチズム(教育に注力)、により停滞した。

    今日の高等教育段階に求められているのは、国家の経済的文化的な知的センターとして、一部の少数エリートだけでなく、幅広く多様な学生を受け入れて、学習の場を提供することが必要であり、研究は大学だけでなく、企業・行政・市民活動を含めて拡大させていく時代となる、としている。

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プロフィール

1934年、神奈川県生まれ。現在、桜美林大学大学院国際学研究科招聘教授。教育社会学専攻。
[主要著書]
『世界の大学危機』(中公新書、2004年)、『大学再生への具体像』(東信堂、2007年)、『フンボルト理念の終焉?』(東信堂、2008年)など。

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