- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784887217621
作品紹介・あらすじ
ナチス・ドイツが勢力を拡大していった時代、"総統"を崇拝し、心身を捧げた数多くの女性がいた。同時に彼女たちは夫や家族を想い、自らの人生を必死に生きた。ゲシュタポ長官夫人リナ、英国貴族のナチ少女ユニティ・ミトフォード、ワーグナー家の女主人ウィニフレッド、勇敢な女性機長ハンナ・ライチュ、連続幼児誘拐魔カロリーネ・ラシャーなど、特異な時代に翻弄された女性たちの生涯が見事な筆致で描かれる。
感想・レビュー・書評
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「ナチスの女たちー秘められた愛」の続巻。
趣味が良いとはお世辞にも言えない装丁と邦題に若干キワモノ臭があるが、中身は「ともすればこの手の書にはありがちなナチズムに対する憤りを表すこともなく、粛々と」(訳者あとがき)進む好著(ただし翻訳はあまり良くなく、「あとがき書いてる場合じゃないだろう」と言いたい)。
個人的にナチズムに関しては、アドルフ・ヒトラーという一人の男を「怪物」化してそれにすべての責任をおっかぶせるのより、社会の病理・時代の狂気と捉えるほうが好みである。あれがけっして一部の「他のものたち」の所業ではなく、ヴェルサイユ条約以後のドイツである程度の認知を得ていたさまが、本書を読むとよくわかる。
本書の白眉はなんといっても、ゲルダ・ボルマンとカロリーネ・ラシャーの生きざまが描き出すコントラストであろう。戦後も考えを変えなかった者が少なからぬ存在した事実も含め、読後にはいわく言いがたいやるせなさが残った。
2011/7/5〜7/7読了 -
ホントに普通の人なんだな と戦争の本とか読むと必ず思う