- Amazon.co.jp ・本 (454ページ)
- / ISBN・EAN: 9784887217706
作品紹介・あらすじ
年老いた人々はどのように見られ、扱われ、生きてきたのだろうか。ヨーロッパを中心に、絵画や彫刻、文学、演劇、民衆生活の諸資料など、豊富な題材の検討を通し、老年期の多様な姿を浮かび上がらせる。図版230点以上を収載。
感想・レビュー・書評
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ヨーロッパのみが対象とはいえ、老人について考えさせられた。昔のほうが良かった、と昔から人間は愚痴ってきたんだなぁ、やっぱり。
以下、老人の歴史のついて普通のありがちな思い込みを崩されそうな記述。
18世紀においてさえ、イギリス、フランス、スペインでは人口の少なくとも10%は60歳以上であった
たしかに、20世紀以前のいかなる時期においても、平均寿命はどこでもわずか40から45歳程度であった。しかし、このことは大多数の人々が中年期に死亡したことを意味しない。平均寿命の計算は、非常に高かった乳幼児死亡率の影響を受けていたからである。
高齢者の人口比率は、地方によってはさらに高いことも会った。これは、産業化以前の時代にあっても若い世代が仕事を求めて広域移動することは稀ではなく、年老いた世代が残されたためである。
生存している子どもがいないために、家族によって面倒を見てもらえない高齢者は非常に多かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2010.01.24 日本経済新聞に掲載されました。
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日経日曜書評
快楽と悲哀、成熟と衰弱、二律背反の世界に生きている
今日ほど老人が社会階層をなしといれ時代はない。実は、高齢者ほど、健康、財力、生きがいのすべてにおいて、格差のおおきな時代はない。
優美で威厳、醜悪で悲哀にみちた老人たちに向き合えば、示唆を語ってくれるにちがいない