- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784887470378
作品紹介・あらすじ
~ 初々しいふたりと すこし疲れたふたりに ~
「祝婚歌」「I was born」などで知られる詩人・吉野弘さんのアンソロジー。
他に、「夕焼け」「奈々子に」など代表作を網羅しました。
「これは、ぼくの民謡みたいなもの」とみずからコメントした詩「祝婚歌」は、
多くの人に暗誦され引用されて広まっています。
「現代詩がひとびとに記憶され、愛され、現実に使われるということは、
めったにあるものではない」と、茨木のり子さんにも絶賛された一篇です。
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
(...)
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい
(「祝婚歌」)
感想・レビュー・書評
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ほぐす
という作品が印象に残りました。
誰かと関係を築いて行く過程よりも、関係を終わらせることの方が、よほど難しい。その人が居なくなって初めて、2人の時間や共有した感情がいかに尊いものだったか。
固く結ばれた紐を解いている時にふと思った、というような詩。
未来への期待や不安ばかり育てるのではなく、ちゃんと目の前の人や自分の感情と向き合っていくことこそ、幸せを考えるということなのかなと、思いました。せかせかしすぎてて、瞬間を見落としてたなと、ちょっと反省。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
数年前に贈り物としていただいた詩集。ぱらぱら読んだきり、読み通せていなかった。
「二人が睦まじくいるためには」という題であるものの、別にお説教くさい内容ではなく、日常の風景や自然を切り取ったものから、子供の誕生に関わる詩まで、幅広く収載。
私が詩に感動するとき、その根底にあるものは共感だと思うのですが、必ずしも好きな詩ばかりではなかったです。もしかしたら子供ができたらまた感じ方が変わるのかも。
現時点で好きだったのは、『生命は』『奈々子に』『遊び』『虹の足』。
『祝婚歌』
二人が睦まじくいるためには
(略)
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
(略) -
二人が睦まじくいるためには
愚かであるほうがいい
立派すぎないほうがいい
結婚式でよく読まれる、「祝婚歌」はとても有名ですね。
吉野さんの作品をきちんと読むのは初めてでしたが、詩集に集められた作品は小さな日常を静かに営む家族の視点でした。
(詩人、長田弘の死を悼み) -
吉野弘さんを初めて知ったのは、是枝裕和監督の「空気人形」という映画に、「生命は」という詩が引用されていた時でした。それ以来、吉野さんの詩を読むようになりましたが、そこには国語の教科書で習った「I was born」や、何故か何処かで見たのか、「祝婚歌」など有名な詩がありました。
本書には吉野さんの様々な詩集から厳選された詩が編まれていますが、その一篇一篇は素晴らしく、どのページを開いても吉野さんの優しく、しかし鋭い洞察、視線、思いを感じて、切なくなったり、なんと言っていいのか、言葉にならない思いが次々溢れてくるのです。
茨木のり子さんが寄せられた文章からも、吉野さんのお人柄、ご夫婦のあり方、茨木さんとのエピソードなども知ることが出来、読み応えがありました。
先日の茨木のり子さんの詩集でもそうでしたが、出版社の童話屋 田中和雄さんが編者あとがきとして巻末に寄せられています。
詞華集を作ることへの熱い思いや、何より詩、作品そのもの、作者への愛がしみじみ感じられ、このあとがきを読んだだけでとても幸せな気持ちになれました。
童話屋さんの本をまだまだ読んでみたくなりました。
タイトル「祝婚歌」ではなく「二人が睦まじくいるためには」と決まったときのエピソードも本当に素敵です。 -
優しいまなざしの観察者
母を、子を、神聖なもののように見つめている
奈々子に が特に好き
子に対する、これ以上の愛はないと思う
ひとはほかからの期待に応えようとして、自分を駄目にしてしまう
自分を愛することをやめるとき、ひとは他人を愛することをやめてしまう
自己肯定感が大切という風潮は最近のものだと思っていたけれど、ずっと前からそれを伝えている人がいたなんて -
吉野さんの言葉はとても美しい。
知性のきらめき。慎重に慎重に、選ばれた言葉なんだろうと思う。
美しくて、ちょっと切なくて泣けてくる。
お父さんとしての愛情を随所に感じるせいかもしれない。
読むほどに、とても良い詩集。
傷ついたり悩んだりすることがあれば、必ず力になってくれるだろう。
ありがたい。
恩師に頂いたものです。大切にします。-
本当にいい詩集だと僕も思います。
辛いとき、苦しい時に読み、嬉しいとき幸せな時に読み何度も読み返していきたいですね。
これからの人生...本当にいい詩集だと僕も思います。
辛いとき、苦しい時に読み、嬉しいとき幸せな時に読み何度も読み返していきたいですね。
これからの人生にきっと必要な詩集に出合えた気がします。
そして、また感想を伝えあいたい詩集です。
尊敬する教え子へ。2015/05/08
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夕焼け、奈々子に、小さな出来事が特に良かった。
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小ぶりしっとりと手に収まる装丁は、吉野弘さんの誌に流れる、静かでやさしい調べと美しく調和しています。また一つ、大切な本が増えました。
「祝婚歌」は結婚式のスピーチでよく読まれる詩らしいです。とてもよい詩でした。
彼女と喧嘩したり、自分の正しさを押し付けそうになったり、非難しそうになるたび、この歌を読み返そうと思います。
2人の娘に対する詩もいくつか収載されており、自分が父になった時、また感じ方が変わるんだろうなぁと思います。
巻末の茨木のり子さんの「祝婚歌」にまつわるエッセイも、とてもよかったです。 -
結婚して20年余り、イビキをかいて寝ている妻の横で祝婚歌をかみしめる夜。
著者プロフィール
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