山いっぱいのきんか: 中国のむかし話

著者 :
  • 童話館出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887500778

感想・レビュー・書評

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  • 中国のある山里で暮らす若者、ランフー。
    ある月夜の晩、山で草刈りをした帰り道に、山道いっぱいに並べられた金貨を見つけた。その夜は、八月の十五夜さまで、山の神さまが月の光に金貨をさらす日なのだという。


    面白い!
    が、何とも後味の良くないトホホなお話だ。「しょいかごだけでも捨てなきゃ良かった」という最後の家畜たちの嘆きに、こっちまでしゅんとしてしまう。
    ランフー、なんて愚かなの…と溜め息をつきたくなる一方、身に余る幸運に出くわした時に浮わついた行動を取ってしまうのはわかる気もするなぁ。
    私は自分の思いつきに強い自信を持てるタイプではないので、見通しが不確かな状況でお金を捨てるなんてとてもできないって思うけど……大金に目が眩んだら、案外同じようなことしちゃうのだろうか。

    素晴らしい幸運に恵まれたと思いきや、お話があれよあれよと良くない方向に転がっていくので、娘が横でハラハラ聞いているのが伝わってきた。
    この絵本をかなり気に入ったようで、何回も「読んで」と持って来る。昔話によくある「キンギン ザイホー、ウチデノコヅチ、オオバンコバン ガ ザックザック」な描写が大好きな娘にとっては心弾む絵本だったみたい。確かに、深い緑や紺色の山道を埋めつくす無数の金貨が、月明かりでキラキラ輝く様子は、とっても綺麗。
    絵は太田大八。じっと眺めていたくなる絵だ。

  • 教訓のあるお話です。もっともっとと欲しい気持ちがふくらんでしまう。あと一回とにている。なのでとても親近感わくお話。

  • 2022.10.3 4-1

  • 息子が読み終わった後に面白かった!と言った本です。読んでいるうちに話に引き込まれてしまいました!

  • 中国の昔話絵本。
    鉄板の君島久子さんの文と、大好きな太田大八さんの絵。
    こんな山があるなら、私も2トントラックに乗って駆けつけたい(笑)。
    目の前にあったら、どうしてももっともっとと欲張ってしまうのは人のサガなのかもしれませんが、動物たちの言う通り、しょいかごは捨てちゃダメだよね。
    読み語りにも適していると思います。
    オススメ。

  • 欲張るとロクナことにならない、というよくあるお話。

  • 2013.5.22 3-3

  • H22年5月 6-3

  • 中国の民話。

  • あれも欲しい、これも欲しい、もっともっと欲しいと求めても、結局は満足できず、不満の中でずっと苦しみ続けることが人の常・・・そして、それを戒める言葉を【少欲知足(しょうよくちそく)】と言います。
    「欲を少なくすれば、今あるだけで充分満たされていることを知ることが出来る」と言う意味です。

    さて、この絵本もまさに少欲知足をそのまま表現したような内容です。
    月夜の晩に山へ草刈に行った男(ランフー)は、金色に輝く山道があることに気づきます。
    近寄ってみると、そこは金貨がぎっしり敷き詰められた道。
    驚くランフーに、金貨の管理をしているものと思われるお婆さんが現れ、金貨を3枚だけ渡して山を降りように促されます。
    しかしランフーは、道に敷き詰められた金貨を忘れることが出来ずに・・・。

    この手の話は、物事がエスカレートすると歯止めが利かなくなる愚かさの例えとして、非常に効果があると思います。
    最後に、3枚の金貨も手元に戻らなくなったランフーに対して、家族が浴びせた言葉が、また少欲知足を感じさせます。


    お話は単純なのですが、最後のオチの意味が低学年にはちょっと伝わりにくいかな?と言うことで、小学校中学年~に分類してみました。

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著者プロフィール

君島久子 栃木県に生まれた。慶應義塾大学卒業、都立大学大学院修了。武蔵大学教授をへて、国立民族学博物館教授となる。中国民族学、文学を専攻、特に民間伝承および児童文学を研究。中国、東南アジア、日本を含めた広いアジア地域での比較研究をすすめている。1965年、『白いりゅう黒いりゅう』(岩波書店)、1983年、『中国の神話』(筑摩書房)で共にサンケイ児童出版文化賞を受賞。また1976年、『西遊記上・下』(福音館書店)で日本翻訳文化賞を受賞した。そのほか『ほしになったりゅうのきば』『たなばた』『しんせつなともだち』(福音館書店)、『チベットのものいう鳥』『王さまと九人のきょうだい』(岩波書店)、『アジアの民話』(講談社)、『月をかじる犬』(筑摩書房)など多数の著訳書がある。大阪府在住。

「2020年 『あかりの花 中国苗族民話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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