クジラは潮を吹いていた。

著者 :
  • DNPアートコミュニケーションズ
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887523524

感想・レビュー・書評

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  • すごく面白かったです。
    デザインとは何なのかという事を実在の商品やイベントから知れます。どんなものにもデザインした人がいる、という当たり前のことを再確認させてくれました。ふと目についた商品、言葉、イラストにどのような背景やメッセージがあるのか読み解きたくさせる、デザインという扉への参考書としてずっと手元に置いておきたくなる本でした。

  • 値段を上回る価値がある良書。
    タイトルの意味を知って感嘆した。
    デザイン「あ」の監修、おいしい牛乳、キシリトールガムなど手がけたデザイナー、佐藤卓が数々の作品の背景や視点を惜しげもなく披露する。
    優れたデザイナーは、課題の本質を捉え解題を可視化するは元より、誰もが腑に落ちる論理展開で言語化する。
    だから時代の寵児たらしめるのだろう。

  • 同著書「塑する思考」と同様の内容で、今までの仕事を一言ずつ振り返るような構成。ひとつひとつはショートショートのような文量なので、少しずつ読む読み方にぴったりだと思います。デザインの仕事をしていなくても、世の中にある有名な商品がどんなことを考えて作られているのか、見えない物に想いを馳せるような良い機会を与えてくれるでしょう。

  • 多くの人が具体的なデザインに参加して出来上がったもので成功した例などない。デザインリーダーの不在は誰も責任を取らない「悪くはないがよくもない」と言うものになってしまう。多くの人が関わり多くの意見を組み入れることはデザインで最も大切なことであるが、「デザインの決定においては民主主義はありえない」

    「売るためのデザイン」は、とかく生活の現場での「使うためのデザイン」を忘れがちになる。

    多くの人がよってたかって誰も責任を取らなくて済むシステムは、行く行く力を失い、その存在自体消えていくことになる。

    クールミントのペンギンは、前から2番目が手を挙げている。それを広告等では一切伝えないことを提案。購入者に発見する余地を残してみたのである。発見者は必ず隣の人に伝えたくなる。つまり人と人をつなぐパッケージである。

    バング&オルフセンのポスターを1995年。静かな佇まいから耳をすませば上質な音が聞こえてきそうな気がする。

  • タイトルの「クジラは潮を吹いていた。」という意味が、確かに読んでみるとよく分かった。

    いやぁ、気づかなかったなそんなこと…というちいさなことにも目を配れる人、自分だけではなくいろんな立場に立った視点でものを見られる人だからこそできるデザインというのがあるのだと改めて思う。
    あたり前のようにそこにある、身近なモノたちを今一度しっかりと見てみようと感じた。

  • QuizKnock山本さんのおすすめ。
    日常にあるデザインに込められた想いはほとんど汲み取られずに日常に溶け込んでいる。

  • 読み終わると、商品の形やパッケージのデザインをしっかり見るようになるでしょう。
    なぜこの形なのか。この色なのか。
    今までより世界が色づいて見えそう。

  • デザインするということや、デザイナーの仕事とはどういうものなのかをわかりやすく、豊富な具体例を挙げながら綴られた良書。タイトルの意味がわかったときには感動があった。

    素人なので、なんとなく、デザイナーは商品ロゴやパッケージのレイアウトやイラストなどをコチャコチャする人、みたいな雑なイメージだったので、例えば瓶の形や大きさ、素材、販売戦略などにも関わるとは知らなかったし、その際にかなりの深度で分析し抽象するのだと知った。

    栄養ドリンク剤や育毛剤は、分からなさが大事なのね、とか。自分が欲しい眼鏡をデザインしたのに、自分がかけるのは恥ずかしかったりなど。

  • 佐藤卓さんが、商品やロゴタイプなどのデザインをした過程を振り返りながらその当時考えていたことや、そこから学ばれたことなどがが一つずつ丁寧に書かれていて、とても分かり易く、読んでいて新しく気づかされることや「なるほど!」と思うような作品が多々あり、とても面白かったです。

    手掛けられた作品の写真が全てカラーで載っていたのも凄く良かったです。



    「デザイン」とは、「物を作ること」ではなく「人と環境をつなぐ媒体」であるということ。物は「情報の入口」であるということ。(p.226)



    人や環境は日々移ろいゆくものだからいつまでも変わらないデザインはない…、だから、時代に合わせて変化させていくことがやっぱり必要なのだと改めて感じました。
    日常の様々な場面で得ることができる学びや発見。それをデザインに生かすことや、目に見えないものを見える形にして人に伝えることって本当に大変だけど、素敵なお仕事だと思います。



    題名の『クジラは潮を吹いていた。』
    最後まで読み終わった後に表紙を見返して納得!
    変化していく中でも、残したいものを大切に大切にされる、佐藤卓さんの想いがすごく伝わってきました…!!

  • この書籍を手に取ったのは、佐藤卓の考えている「身体性」についての考えに触れたかったからである。そのことが一番表れているのが、ご自身のサーフィンに関して綴った「波乗り」である。彼にはサーフィンで波にもみくちゃにされた時、思わず笑いが込み上げてしまう、そんな部類の人間であることが垣間見えたような気がする。
    今後は、彼が「身体」を真正面から向き合う、そんな本に出会いたいと思う。

    あとは、あの有名なデザインの秘密がわかり、単純に面白かった。例えば、「チロリアン」。クールミントガムの2番目のペンギン、クジラの潮吹き。人に教えたくなる。
    さらに、この本の好感が持てるのは、広告として成功した事例だけではなく、失敗もさらけ出していることである。
    そこに、佐藤卓の負けん気が見えたような気がした。

  • テスト 貸出中

  • 佐藤卓氏の手掛けたデザイン。コンセプトや裏話など。気づきが楽しい。なるほどと。
    C0070

  • デザイナー・佐藤卓の作品集。手掛けた仕事ごとに、当時のエピソードや所感を自ら書き加えた、初の試み。
    -----
    「ひらめき」について書かれた部分がとても印象的だった。考えて考えて考え続けていくと、ふっとそれまでに考えてきたもの同士が交わる瞬間がくると。そう感じられることはあまりないが、ひらめきを踏まえた作品はきっと人に伝わる――というもの。同様の感覚は私にもあって、ああ、よくぞ言語化してくれた、というかんじだった。何か物事をつくる人というのは、みんなこんなふうに感じているものなのだろうか?

  • 佐藤卓さんが自分のデザインのプロセスや思いを描いている本。タイトルの意味がわかった時に、佐藤さんの温かさ・人間愛を感じ、感動した。

  • 2014.12

  •  グラフィックデザイナーの佐藤卓さんが自分の作品を振り返ってエッセイ集。エッセイというか、自分のプロダクツの解説である。佐藤卓の作った商品はコンビニやなんかにたくさんあるんだけれども、いい仕事も、そうでもない仕事もみんなその時の一生懸命なんだよな、というのを認めつつ、ちゃんと次に活かそうという姿勢がプロフェッショナルと思うのです。

     こういう本が世に出ていて、読めるのがデザインに関わるものの末端としては、とても嬉しい。

  • 手がけたデザインひとつひとつに意図や想いが反映されていてかつ説得力(購買意欲をかき立てる)がある。
    ひとつのデザインをマイナーチェンジさせながらブランドを育てていくという考え方が特に新しい学びだった。

  • グラフィックデザイナー佐藤卓さんのポートフォリオのような一冊。
    明治おいしい牛乳、ロッテクールミントガム、キシリトール、チロリアン、・・・など今までの作品を2、3ページずつまとめたもの。それぞれの商品の良さを捉えたカ写真も魅力。卓さんは、大学の頃、何度か教わったことが有る。私の尊敬するクリエイターの1人だ。
    様々な既製品を紐解いて行く、「デザインの解剖学」は非常に新鮮で面白い授業だった。
    好きなデザインは沢山ある。(卓さんだけに。)だけど、やっぱ人に愛されるデザインにはそれなりの理由がある。デザインのコンセプト。それがないとやっぱり優れた商品は生み出せない。改めて感じた。
    おいしい牛乳、クールミント、キシリトール、等はあまりに有名なので、ここでは語らない。あえて注目したのは、富士銀行のキャッシュトレイ。それまでの富士銀行のトレイは、通帳やお札の大きさと連動していない無骨で大きな正方形の皿状のものだったらしいが、卓さんは、このようなリニューアルを測った。
    下のトレイにお札が入っていることが分かる5つの穴、大切な印鑑が転がらないための印鑑用の溝、カウンターに置いた時に出る音を消す為のゴム、そして、両手でお客さんに丁寧に差し出す際に両側を優しく持ち上げられるライン。いくつもの工夫が凝らされたトレイ。確かに普段はあまり目にすることがない地味なものだが、重要なコミュニケーションツールになりうることを知った。
    今日、銀行に行く用があった。訳あって2軒はしごしたのだが、無意識にトレイを見てしまった。一軒目の銀行はごくフツウのタイプだったが、二軒目の銀行は、富士銀行のトレイそっくり。(卓さんのアイデアを拝借したのだろうかは謎だが)思わず、行員さんがそれを使用するしぐさに見入ってしまった。
    プロダクトデザインは自分の分野外だけど、考え方は同じ。やっぱ、考えられ、工夫されたデザインは素晴らしい。(でも、もっと考える時間が欲しいといつも思うが。。)
    そして、この不思議なタイトルも、最後まで読めば納得するアイデアの利いたしかけになっている。
    また、すぐに世の中から消えた「失敗の仕事」も掲載して、それが失敗に結びついた理由も書かれているところは何だかカッコ付け過ぎてない感じがして好感が持てた。

    「(クールミントのデザインについて)前から二番目のペンギンに手を挙げさせた。これに気付いた人は必ず隣りの人に伝えたくなる。売るためだけのデザイン
    ではなく、人と人を繋ぐデザイン。コミュニケーションとは何なのか。何かデザインの少し先が見えてきた瞬間だった。」
    デザインにはサービス精神も必要なんだな。こういうの好きだ。ちょっとした遊び心がとても重要だったりする。
    改めて、デザインって奥が深いと感じた。そして、久々に卓さんの講演が聴きたくなって来た。

  • 20130522
    デザインあ展、物販にて、デザインする人がどんなことを考えてるのかに興味があって購入。

    気付かなければそれまでで、
    気付いてしまえばそれ以上、だ。

    面白かった~

  • 【配置場所】工大一般図書【請求記号】674.3||S【資料ID】10803034

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著者プロフィール

佐藤卓
妖怪収集家。1996年、山形県生まれ。宮城県在住。大学在学中にブログ『宮城妖怪事典(仮)』を開設。県内各地の民話や郷土史に眠る妖怪を発掘し、その魅力を広めるために活動中。本事典の表紙イラスト担当、妖怪掛け軸作家「大蛇堂」氏の個展『宮城の妖怪展』(2020年、2021年)には情報提供を行い、同イベント中の対談トークショーにも出演した。

「2022年 『日本怪異妖怪事典 東北』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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