若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? (ディスカヴァー携書)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887597129

作品紹介・あらすじ

この本一冊あれば、日本の「政治の仕組み」を語ることができます。政治がカバーしなければならない分野は膨大なのですが、ここに書かれた「仕組み」を知っていれば、政治がどのように動いているのか、何が変化を妨げ、何が変化を促進するか、がわかるはずです。そのなかで、自分たちにできることが何なのか、ということも。

感想・レビュー・書評

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  • 若者のための現実的な政治入門。
    わかりやすさと、身も蓋もないまとめが魅力的。

    4つのプレイヤーの性質がよくわかる。

    ・有権者 誰かに政治をよくしてほしいと期待しているが、
    自分一人投票するだけでは結果を出せない。
    したがって勉強しても無駄、リテラシーがない。
    ・国会議員 当選しなければただの人。
    自分を当選させてくれる人のために働く。
    ・特別利益団体 組織票で政治家に圧力をかけ、
    自分たちだけに便宜をはかってもらう。
    ・官僚 予算拡大のために法律をつくる。
    特別利益団体に圧力をかけて天下り。

    若い有権者へのシンプルなアドバイス。

    ・リテラシーがないのだから、選択を誤る可能性が高いと心得る。
    ・世代の投票率=国会議員が重視するウェイト を上げるため
    とにかく投票に行く。
    ・結果に中立的なように、投票先はサイコロを振って決めてもよい。
    ・政党政治なので候補者は無視して政党で選ぶ。
    ・マニフェストは守られないので読まなくてよい。
    ・政党間競争を機能させるためには政権交代を促す。

  • 若者の政治無関心や低投票率に警鐘を鳴らした本。

    若者が選挙に行かない理由としては、単純に「面倒であるであるから」や「興味ないから」だけではなく、1票が与える影響力を考慮したうえで棄権するという「合理的棄権仮説」や「合理的無知仮説」など様々な要因が考えられる。とにかく選挙に行くことが大事であり、たとえ間違った意見だとしても、行かないよりはましだと答えている。

    投票の棄権は非常に難しい問題で、「行かないよりはまし」といった言及には疑問が残る。かといって投票率が50%を切ることもかなり問題ではあるから、自分の中でもまだうまく説明ができない。

    政治学の入門書として読むのも良さそう。後半は現行制度批判や扇動的な内容が多く当初からの内容がずれていた気がするが、、

  • すごくシンプルな話。選挙とは 子どもの椅子とりゲームや玩具の奪い合いと変わらない。国会議員は国民の代表でもなければ国民のために働いているわけでもない。彼らは自分が当選するためと自分に投票してくれる人のために働いている。
    現在日本では20〜30歳の投票率がとても低く、20代の有権者は日本に1500万人いるのに有効投票数は500万票あまり。これは国会議員の立場からすると、1000万人の棄権者は日本に存在していないのと同じ、ということ。
    国会議員候補者が 当選率がより高い政策を考えるならば、「若者を活かす街づくり」よりも 「お年寄りが安心して暮らせる街づくり」と掲げるのは当然のこと。
    つまり社会は「投票してくれる人に対して優しい」仕組みになっている。だから投票しなければ若者はどんどん損をする。
    個人的に重要視ししているのは、どこに入れるかよりも入れたという事実による投票率。
    「どこも支持しない」という意思表示(白紙投票)も出来るから、「どこに入れても同じだから選挙に行かない」っていうのは筋違い。
    極端な話、政治家は国民の為に政治をしているのではなく、自分に投票してくれる人の為に投票をしているわけだから、政治家にとって選挙に行かない人は「存在していない」と同じ。
    20代の投票率が下がればその分の20代の人は存在しないと見られて、20代より投票してくれる(投票率が高い)年代に有利な政治になっていくという事。
    選挙に行かないっていう事は、自分がこの国の国民じゃないから法律がどう変わっても構わないよって言っているようなもの。それじゃぁ自分に不利・不都合な制度ができても文句は言えない。
    選挙に行かないっていう事は、自分が毎日買い物をする度に支払っている消費税や自分が稼いだ給料から引かれている所得税などの税金を何にどう使ってもいいよって言っているようなもの。
    一票につき700円近くの税金がかかっているので、投票権を持ちながら投票をしないのは自分のお金でもある700円を捨てるも同然という事。
    どこにも投じなくてもいいし、鉛筆転がしてもいいので、とにかく選挙に行くという事をしよう。
    「自分の一票なんて何十万人分の一にすぎないから、日本に影響無いんやし行かなくても良い」ではなく、政治に無知であれ無関心であれ どの候補者にであれ、投票しといた方が良いよ っていうこと。
    普通に面白かったし分かり易かった。タイトルにあるように20歳から35歳で政治に無関心な人にお勧めの一冊。
    ただ、もっともっと落とし込んで、伝わり易い内容・簡潔な文章表現やビジュアル的にも入り易い本にした方が、もっと多くの人に読まれるかも。例えば同じテーマで中高校生向けのものにすると尚良いかと。
    因みに 選挙に行くと貰える「投票済証明書」を出せば、色んなホテルや商店街で割引サービスを受けられるとか。大阪市内で使える所をご存知の方は情報ください。笑。

  • 2009年に出版された本のため、政権交代前の内容なので、民主党政権になってからの動きが知りたくなりました。

  • 政治に今まで特に関心を向けてこなかった人向けの、日本政治入門書。

    日本の政治の主要プレーヤーを「有権者」「国会議員」「特別利益団体」「官僚」の4つに分け、この4つの象徴的な面、それに付随する国内状況を見ていくことで、現代日本の政治の仕組みを捉える、というのが本書の構想。

    政治という複雑な仕組みをシンプルにまとめるというのは非常に難しいことだとは思うが、4つのプレーヤーに分けたところまではいいのだが、どうも各章で語られる話が各論的なような気がして、大枠を説明されているような気にはならなかった。

    私の政治リテラシーが低いせい、と言われればそれまでなのだろうが、各プレーヤーにまつわるトリビアを仕込んだくらいの読後感しか残らなかった。

  • 開始:20090809、完了:20090809

    若者の政治リテラシーをあげるための良書だが、若者が投票に行かなくて損をしているということをちょっとくどく説明しすぎている感がある。以下、気になった言葉。政策は真ん中に位置する有権者の選好に収束していくから自民も民主も変わらなくなる。これがメジアン有権者の定理。政権交代を望むか望まないか。トヨタの献金6440万円。官僚が唯一給料をあげる方法は出世すること。農林水産省、2年で10人の大臣が交代。2年で社長が10人代わる会社はない。大臣に官僚の人事権がない。国と地方の財政赤字は800兆円、1人頭630万円。日本に唯一あるのは人的資源。

  • 2009.11.10開始〜2009.11.13読了

    <b>帯コピー:「投票率 20歳代:35%、60歳代:75% あなたが政治家なら、どちらの声を聞きますか?」</b>

    タイトルは、世代間において、今の政策から受けられる金銭的恩恵が、いくらくらいの差になっているのかをあらわしたもの。
    僕は正直いって、「マイノリティである」自分が投票しても、世間の流れは止められない⇒選ばれる政治家はメディアに流される連中の票によって決められている、という理論から投票に行っていなかったのだが、この本では「自分が行っても行かなくても投票結果は同じ」ということは事実であると認め、かつそこからさらに突っ込んだ先のことが書いてあった。

    それは、自分が投票に行くことで、仮に選ばれる政治家が変わらなかったとしても、自分の所属する年齢層の投票率が上がるので、出馬する政治家がその年齢層のことを無視できなくなる、という点だ。

    ここはまさにカルチャーショックだった。いわれてみれば当たり前のことだが、まったく気づけていなかった。
    もし政治家のターゲットが年寄りではなくわれわれ若者世代に移れば、まったく違ったマニフェストが設定されるのは間違いない。

    他にも、今の日本の政治は政治家が悪いのではなく、むしろ官僚が自分たちの利益を最大化するために、いいように日本の法律を調整しており、それによって特定の団体だけが利益をこうむるという構図が出来上がっていることにあるという部分をわかりやすく説明しており、「官僚が悪い」ということが漠然と分かっていながら内容をちゃんと理解できていなかった自分にとってはまさに「ディライト」な瞬間の連続だった。

    あとがきに、これを象徴するような一文が記載されていた。

    <blockquote>政治とは、幼稚園児のおもちゃの奪い合い、高校生の不良の喧嘩、企業の社員間の社長の椅子取りゲーム、さらには団体スポーツの勝ち負けとさほど変わらないもの、というふうに考えて差し支えないのです。
    </blockquote>

    この本を最後まで一気に読みきると、この意味がはっきりと理解できます。

    僕のように、政治的リテラシーの低い人たちに、ぜひとも読んでもらいたい一冊。
    はっきりいってカルチャーショックとも言える衝撃を受けたので、MAX評価としました。

    以下、引用。
    [more]

    <blockquote>われわれ有権者は、選挙にあたっては棄権もするし、政治リテラシーもあまりない。でも他力本願的に、誰か世の中をよくしてくれないかなと願う動物である。
    「有権者が自分達の力を行使しない代わりに、別のグループ(利益団体と官僚)が、その政治的空白を埋めている(つまり政治を動かしている)」
    </blockquote>

    この本の主幹となる部分。まさにその通り。

    <blockquote>米国のように、共和党であろうと民主党であろうと、法案単位で自分の意思を決定できるシステムならば</blockquote>

    日本でなぜこうなっていないのかの意味がわからない。なんのために自分たちの代表として政治家を選ぶのか。

    <blockquote>現在の日本の政党政治は数で決まるような仕組みになっているので、人物本位で候補者を選ぶというのは(略)意味をなさない。
    </blockquote>
    残念ながら、日本では政党で選ぶしか方法がなさそうだ。

    <blockquote>年収は、約2200万円。その他に文書通信交通滞在費が年1200万円、立法事務費が年間780万円等々あり、全部あわせると4000万円を超えます。「お金持ちになりたかったら、国会議員になれ」です。
    </blockquote>

    2世、3世議員が増えるのもうなずけます。

    <blockquote>「メジアン有権者の定理」
    「国会議員は選挙に落ちればただの人」自分のイデオロギーがどうのこうのなどとは言っていられません。有権者第一主義です。したがって(略)政策はだんだん、真ん中に位置する有権者の選好に収束していき(略)自民党も民主党もほとんど同じような政策になっていくのです。</blockquote>

    これはわかっていながら目を瞑っていた事実。こうやって冷静に説明されると当たり前だな、と思う。

    <blockquote>自民党のマニフェストについては(略)前回の選挙時のマニフェストなら、読む価値はあります。
    </blockquote>

    これは正確に言うと与党はこの方法、野党は新しいマニフェストと考えるべきか。しかし、

    <blockquote>自分は、政権交代を望むのか、望まないのか?望まないのだったら与党に投票し、望むのだったら野党に投票すればよい。
    </blockquote>

    要するにこういうことでしょうね。結局は、有権者の選好に寄っていくのであれば、今に満足しているかそうでないかだけで選べばよいと。野党は票を得るために、それが不本意であったとしても、与党に反対するわけですし。

    <blockquote>公務員は理論的には「必要悪」である。
    公務員の数は(略)先進国では少ない方だが、官僚の影響力は比類がないほど強大である。
    強大すぎるがゆえに改革は難しい</blockquote>。

    強大すぎる?って、どれほどの人数がいるのかといえば、

    <blockquote>66万人いる国家公務員のうち、30万人いるのがいわゆる「国家官僚」
    </blockquote>

    国家公務員の半分近くとは驚き。そりゃ強大だわ。


    <blockquote>有権者は自分の利益のため、
    国会議員は自分が当選する確率を最大にするため、
    特別利益団体も自分達の組織の利益のため、

    に行動するので(略)官僚も「自分の利益」のために働いている(略)
    官僚の「自分の利益」(略)は、

     ?自分の所属する省庁の予算が増えること
     ?自分が出世することによって、収入を増やすこと
    </blockquote>

    おそろしいけど、これが現実。
    だからこそ、予算を使い切るために全力を注ぎ、来年も予算を獲得する。官僚とて国家公務員なので、結局は年功序列。どんなに頑張っても年齢だけで給料が決まっていく。
    そして、唯一収入を上げることができる方法が、自分が出世をすることであり、この組織において出世をするために必要なことは、どんなに汚い手段を使ってでも予算を獲得すること。こういう最悪のスパイラルが、現在の官僚の腐敗を生み出している。

    <blockquote>大臣に人事権はない。
    1年に1回くらいは大臣が抗体してしまうので(略)仕事内容をよく知る大臣というのは稀。ちょっとくらい嘘の報告をしても分からない。予算申請のときに、誇張した数字を出してもわからない。で、自分の省庁に都合の悪い情報は隠します。
    他方、大臣には人事権もありません。大臣として孤立するのは嫌だし、情報は官僚から受け取るものだけなので信じるしかない。こうして、結局は、大臣が省庁の操り人形になってしまうのです。それが嫌なら干されてしまいます。</blockquote>

    おそろしや官僚システム。というかやはり、政権が長く続かないことも、腐敗が進む結果に繋がっている気がする。

    そして、最終的な結論がコレ。

    <blockquote>誰がわが国の法律を作っているのか?
    (略)75%以上は(略)省庁の役人が国会議員に成り代わって法律を作成し、国会を通過すれば実行している(略)
    したがって、
    官僚による官僚のための法律
    これが実情です。
    </blockquote>

    大臣をいくらでも操作することができ、自分達の利益を最大目的とするのが人間として当たり前とするなら、官僚という組織がこういう行動をとるのは当然、ということになります。

    逆に、このシステムを打破するためには、我々がいくら自分に合う国会議員を選出したところで、ダメなのではないかという気もしてきた。ここまで腐った組織を根本から変えるなら、民主党のように長きにわたり野党をやってきた人間達に、腐った連中をボコボコにする勢いで教育的指導を入れてやるしかない。それが適正であるかどうかは別にして、今はとにかく「刺激」を与えないと変化を作り出せない。

    今、彼らが必死になってやっている「業務仕分け」に、未来を期待したい。

  • オビの解説のとおり、政治、選挙のリテラシーがあがった。
    ほんと、入門本として超おすすめ。


    ◇世代会計からみた受益格差
    ○1975年生まれから1985年生まれが最悪

    ◇政治の世襲制
    ○優秀でやる気がある志の高い若者が国政に出るのは不可能
    ○質の低下

    ◇日本には、特別利益団体が多数存在する
    政治家の活動に対して私たちは、無知である

    ◇2008年9月13日 読売朝刊
    大口献金企業
    1位 トヨタ 6,440万円 すべて自民党
    2位 キヤノン 5,000万円 すべて自民党
    3位 三菱重工業 4,000万円 内、200万円が民主党

    ◇わたしたち有権者はおしなべて政治リテラシーが低く、
    政治の場で何が起こっているのかをよく知らない
    「?→国会議員→政策・予算」

    ?は、特定利益団体や、官僚組織

    ◇国会議員の仕事は、総額軽く1億円を超える
    この人達に、庶民感覚を求めるのは、ないものねだり
    自分に庶民感覚があると言う国会議員は、基本的にまやかし


    ◇「政党助成金」
    国民一人当たり、一律250円あげてる
    政党を維持したいのなら、自分でかせぐべき
    民主主義なのにちょっとおかしい

    ◇提言「中央官僚30万人のうち10万人は削減可能」
    地方分権改革推進委員会が、2008年8月1日に総理大臣に
    提出した「国の出先機関の見直しに関する中間報告」
    で地域における総合的な行政主体である地方自治体の
    仕事とかぶっている

    ◇私たち有権者は、合理的に無知になっている

    ◇日本の借金は、800兆円を超えている
    国民ひとり630万円の借金

  • 政治リテラシーのない人にはお勧めの本です。
    誰に投票したらよいかわからなくても投票率を上げる為には行かないといけません。その理由が明確に書かれています。

    自分にできることは、この本で読んだことをたくさんの人に知ってもらうことだと思いました。それが日本のためになると思います。

  • 社会
    思索

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著者プロフィール

群馬県出身。埼玉県立松山高等学校を経て1979年早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1984年ボストン大学政治学修士号取得。1993年オレゴン大学国際関係修士号取得。オレゴン大学政治学博士号(Ph.D.)取得。米国アイダホ州立ルイス・クラーク大学助教(tenuretrackAssistantProfessor)、オレゴン大学認知科学研究所客員准教授(visitingAssociateProfessor)、早稲田大学国際部准教授・教授を経て、2004年より早稲田大学国際教養学部教授。メディア出演の機会が多い。

「2021年 『恋愛・結婚でうまくいっている人の5つの習慣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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