とっちゃまん宮川俊彦の読書読解教室 読書感想文書くときブック
- ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010年6月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784887598195
感想・レビュー・書評
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読むことは自分の問題意識との対話
本を読むときは、その中に飛び込んで没頭しよう(中略)そうして
読み終えたら、今度は本との間に距離を置くんだ。そして、「いっ
たいこの本は……?」と考えるのだ。これが「本を対象化する」と
いうことだ
君は本と対話をしなければならない。そして、君は自分の今の考え、
問題だと思っていること、これでいいとしていることについて、本
と対決していくんだ
例えばイソップの『北風と太陽』を読んだとしよう。この物語を読
んで、「温かさや優しさが、人の心をほどいていく」と理解する。
それで、間違いではない。学校の先生も、それさえ語ればマルをく
れるだろう。でもね、少し掘り下げて考えたら、疑問はいっぱい出
てくるはずだ。「人の心を裸にするとはどんなことかな。それはし
ていいことなのかな」とか、「北風は、なぜ吹くことしか思いつか
ないのか」とか
意見がひとつに凝り固まっていたら、それはそこで完結するだけだ。
君はまだ成長の途上。いろんな価値観や尺度を本から取り入れて、
自分でも編み出し、使ってみることだね。矛盾があったって構わな
い。こんな人もいる、こんな考えもある、こんな見方もあると、多
くの視点や観点を理解して、たくさんの尺度を自分の中に取り入れ
ることが、自分を作り、成長することだ
「なぜ?」のある本を選ぶ
全員から非難されても、百年経って評価されるものだってある。人
にほめられたり、気に入られることを求めちゃいけないんだ。でな
いと、使い捨てにされてしまう
「秘すれば花」などとも言う。思いを言葉にして、募らせていくこ
とを主人公は知った。書き手として、これは進化だね。秘密の作品
があると、公表する作品も作りやすくなる
この話は決して温かくはない。この物語の季節、秋から冬と同じく、
哀切と寒ささえ感じられる。だからこそ、余計に温かさが欲しくなるのだ
「成長する」とか「大人になっていく」ということは、「話せない
ことが増えていく」ということでもある
人と競ったり、感情を露わにしたときに、人の本質が見える。そう
した場面を作り出すのは何かを探求してほしい
何かにすがり、頼らないと生きられないという境遇は、人の尊厳を
問い直させる
「こっちを向いてよ」と言って、大切なことを語れば、それで聞い
てもらえるというほど、人というのは簡単ではない。人々の向いて
いる方に、自分の身を置いて語る、そうした語り方を考案する必要
がある。その意味では、作品の表現技法から、その時代の人々の動
向も読解できる
1章 読書感想文を書く前に
2章 2010年夏の課題図書 徹底読解
・『ミリーのすてきなぼうし』
・『とっておきの詩』
・『むねとんとん』
・『いじわるな ないしょオバケ』
・『こぶとりたろう』
・『点子ちゃん』
・『ともだちのしるしだよ』
・『やんちゃ子グマがやってきた!』
・『すみ鬼にげた』
・『建具職人の千太郎』
・『リキシャ★ガール』
・『海は生きている』
・『明日につづくリズム』
・『ビーバー族のしるし』
・『奇跡のプレイボール』
3章 世界はきみの読解を待っている
・ 世界のすべてが感想文の対象だ
・ とっちゃまんオススメの本詳細をみるコメント0件をすべて表示