食える数学

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887598492

感想・レビュー・書評

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  • 現役の大学教授が、現場の問題に数学を生かしていこう、というメッセージを発信していることに、まず勇気づけられた。

    全編を通じて「数学はこんなに実用的なんだよ」という内容で、自分が本書に期待していた、「どうすれば数学を使って食えるようになるのか」という点についてはあまり触れられていなかったのが残念。

  • 学校で習った数学が、研究分野などでどのように使われているか。という話。
    研究をしていない身としては、統計の方法をメモしておくにとどめる。
    1.データの測定
    2.もしくは、データ収集
    3.データの加工。データの切り出しやグラフ、表の作成など。
    4.データの解釈

  • タイトルに期待しちゃいけませんね。専門家ならではの、文系にはわからない鳥瞰視点は面白いけど、深い分析があるわけでなく、直ぐに使えるわけでもないので中途半端かな。

  • 工学部で数学を教える数学者が、数学の実用性について、悩み、考えた事を書いた本。
    「数学なんて将来何の役にたつのか?」という子どもからのキラークエスチョンへの答を期待したが、流石に安直なキラーアンサーは記されてはいなかった。(数学全般におけるキラー回答はないが、「因数分解の実用性」については、良い答が明かされている。 )
    文系人間にとって、大学の数学なんぞ神の領域に近いのだか、工学部で必要な数学と数学部の数学は違うというのが、何かわかる気がした。ギリシャの神様とローマの神様ぐらいは違うという事らしい。

  • 高校生の時に出会いたかった本。
    と思ったが、著者は私より2歳年上。本書の出版は2010年だから、考えるだけムダか…

    高校生のときにこの本に会っていたら、数学科へは進まなかっただろうなぁと思う。
    「数学科数学は証明こそがその本体」とあるように(P.122)よくわからない証明ばかりをやっていた。
    εδ(イプシロンデルタ)論法なんて、まさしく挫折したそのひとり。

    もしかしたら工学科へすすんで、別の人生だったのかも。

    ただ。
    プログラマ時代に先輩、「数学科で学んだことは、世の中ではなにも役立たないかもしれないが、『A=B、B=C、だからA=C』と論理的に考える力は大いに役立つよ」と言われたことを思い出した。

    この本は、バーコードやSuicaなど身近なものを数学で説明しているのもおもしろい。
    そうそう、公開鍵と秘密鍵は楽しいプログラムだったわぁ

  • 私はものすごい文系だけど、読んでておもしろかった。
    バーコードとか暗号とかクマさんとか、数学嫌いな人のことをとっても意識して書かれてる。
    訳注があげあしとられないようにことこまかに書いてあって、人間性が見られておもしろかった。

  • 第1章は実際の世の中で数学が役に立っている分野が紹介されている.整数論と暗号,微分方程式と津波の解析,フーリエ解析と地中の構造の分析,確率論とベイジアンフィルター.数式に頼らずにさらりとうまく説明してある.
    第2章以降はちょっとどういった読者を対象としているのかちょっと分からない話になる.工学部での数学教育の話しになったり,高校生に先取り学習を勧めたり.すこしまとまりがないように感じた.個々には興味深い話しはあるのだけど..
    p.192に「高校の内容を骨の髄まで理解していれば計算技術としては十分だ」と書いてあるが,これはどうかな.工学部の多くの大学生のレベル的目標がこれだとするとちょっとまずいんじゃないか.中堅エンジニアのレベルが将来大きく劣化するのではないかと思ってしまう.日々学生と向き合っての本音の感想なのだろうが,こういうのは心では思っていても書いてほしくはないと私は思う.
    いろいろ書いたが,3,4時間もあれば読めてしまう数学の本を書く著者の能力には感心した.

  • 整数論を使った暗号、
    微分方程式を使った津波解析、
    確率・統計学を使ったスパムフィルタ、
    グラフ理論を使ったソーシャルネットワーク分析など。

  • 現代社会に不可欠な技術に数学が使われている事例を多く紹介し、数学の知識をみにつけることが役に立つことを例証している。ただし表面的な紹介だけで数学の中身の説明はほとんどない。したがって難易度は低く、おもしろい数学の話が読めると期待していて読むと期待はずれの感もある。
    また数学が得意な高校生で余裕のある人達が大学生向けの数学を学ぶ時には、純粋数学の専門書よりは工学系の応用的なテキストを使うことを薦めている。これは数学の専門書が概念や証明の厳密性にこだわっており、多くの初学者には何のためにそんなことをしているか分からないからであろうが、個人的にはあまり賛同できない。工学系のテキストならば、その気になれば老けた後でも読めるからである。やっぱりなんでも基礎が大事じゃないないかしら。

  • 最初のワイルズの名言に大きく頷いて購入。・・・まぁまぁかなぁ・・・笑


    「数学なんて将来役に立たないから学びたくない」という生徒はごまんといるけど、それってなんで断言できるんだろう、と考えた。本書に出てくるように整数論なんて300年前は数字遊びくらいにしかとらえられてなかった。ちゃんとした数学という学問としての市民権すら得てなかった。でも今はその学問がなけりゃクレジットカードもバーコードも自動改札も作れない。300年前は「役に立つはず」なんて想像もできてなかったはずだ。人間の想像力なんてたかがこんなもんなのだ。それをなぜ「将来的に役に立たない」なんて断言できるのか。はっきり言って自分の想像力を過信しているか、考えもしないで嫌いだから言い訳で逃げているとしか思えない!


    ・・・なんて頭ごなしに生徒に言ったら嫌わらるだろうなぁ・・・笑 

    でも、自分が想像していることには限界があるということを意識して想像することは大切だと思うな。

著者プロフィール

1967年東京都生まれ。博士(理学)。東北学院大学工学部教授。日立製作所中央研究所などを経て現職。著書に『「超」入門 微分積分』『直感を裏切る数学』『ウソを見破る統計学』『現代暗号入門』(以上講談社ブルーバックス)、『Pythonと実例で学ぶ微分方程式』(コロナ社)などがある。

「2023年 『Pythonでしっかり学ぶ線形代数 行列の基礎から特異値分解まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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