博士漂流時代 「余った博士」はどうなるか? (Dis+Cover Science)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887598607

作品紹介・あらすじ

1950年代以降、科学技術振興政策によって大量に生まれた「博士」には、なんと就職先がなかった…。かつては「オーバードクター」と呼ばれた彼らのために「ポスドク」という働き口が用意されたが、これも不安定で低収入、しかもその先に研究機関や企業での就職が保証されているわけではない。かくて「博士余剰」問題は未解決のままだ。こうした博士の就職難により大学院進学者も減少、これでは日本の科学技術研究の未来も危ぶまれる。しかしまだ遅くない。日本社会よ、博士をもっと活用しよう!博士の活用は科学技術の発展、そして不況にあえぐ日本の再生につながるはずだ。博士余剰問題を統計データと取材に基づいて考察し、具体的な解決策を提言する希望の書。

感想・レビュー・書評

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  • 1950年代以降の大学院増加、博士のポスト不足はバブルで一息ついたものの、その後の大学院重点化で博士余りの状況になった。年功序列の企業には受入れられず、任期制・非正規雇用で博士の価値下落。国費をかけた優秀な博士たちを活用しないなんて、もったいないのに。

    博士目線での本文に、付録で異なる立場から見たコメントがあって、より広い問題だとわかりました。活用できないなんてもったいない。10年後の今はどうなんでしょうか。

  • 博士漂流時代「余った博士」はどうなるか?。榎木英介先生の著書。博士余剰問題、ポスドク問題は少子高齢化で人手が足りない日本社会にとって深刻な問題。日本には優秀で高学歴で専門性の高い博士たちに活躍してもらえるような社会制度が十分でないように思います。優秀な高学歴博士たちの活用は、高学歴博士たちにとっても、日本社会にとっても、プラスになるはず。

  • 今更言う必要もないが、とても良い本だ。「博士+X」のいろんなバージョンをみんなで考えてみるのも面白いかもしれない。

  • 「サイエンス・ブック・トラベル」から。

  • 博士の余剰問題、いわゆるポスドク問題に切り込んでいる。社会的コストが費やされている博士を使い倒さないのはもったいないので、社会全体で博士を「活用」しようと主張している。そして、具体的に、博士+X(博士+国会(=政策秘書)、博士+ちゃんこ料理店(=化学の大使)、博士+研究支援者(=コサイエンティスト)など)という生き方を提案している。
    著者の、社会的にもったいないので、博士はどんどん活用すべきという主張には共感を覚えた。しかし、具体的な提案は、科学の大使やコサイエンティストなど、博士、社会の双方にとって本当に需要があるのか疑問のあるものも多く、この問題の難しさを感じた。
    著者は、博士の能力低下が問題の原因ではないと主張しているが、昔に比べて博士の母数を大幅に増やしている以上、能力の低下は否定しがたいと考える。博士の能力が低くない根拠として、ノーベル賞受賞者はほとんどが博士ということを挙げているが、優秀な博士がいることは当然であって、博士全体の中で能力の低い博士が少なからずいることが問題なのである。この点、付録での博士問題の識者へのインタビューで、「本来なら大学院に行ってはいけない人、本来なら博士号を取ってはいけない人が博士を取っている」ことが問題と指摘しているのは至当だと思う。
    あと、この問題については、ポスドク1万人計画など、政策の失敗の面が強いということを改めて感じた。

  • 進路支援図書「シュウカツの友」
    2012/2/14更新 052号 紹介図書
    http://www.nvlu.ac.jp/library/friends/friends-052.html/

  • [ 内容 ]
    1950年代以降、科学技術振興政策によって大量に生まれた「博士」には、なんと就職先がなかった…。
    かつては「オーバードクター」と呼ばれた彼らのために「ポスドク」という働き口が用意されたが、これも不安定で低収入、しかもその先に研究機関や企業での就職が保証されているわけではない。
    かくて「博士余剰」問題は未解決のままだ。
    こうした博士の就職難により大学院進学者も減少、これでは日本の科学技術研究の未来も危ぶまれる。
    しかしまだ遅くない。
    日本社会よ、博士をもっと活用しよう!
    博士の活用は科学技術の発展、そして不況にあえぐ日本の再生につながるはずだ。
    博士余剰問題を統計データと取材に基づいて考察し、具体的な解決策を提言する希望の書。

    [ 目次 ]
    はじめに
    第1章 博士崩壊
    第2章 博士はこうして余った
    第3章 「博士が使えない」なんて誰が言った?
    第4章 博士は使わないと損!
    第5章 博士が変える未来
    付録 博士の就職問題について識者に聞く

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • ポスドク問題は深刻の度を増しつつある。なぜ博士が多すぎる状況が生まれたのか。打開策はあるのか。人材として博士を有効活用するために必要なことは何か。問題を指摘するだけでなく、具体的な対策を提案しているところが良い。

    私自身ポスドクをやっていたし、現在も身近なところで問題を見ているだけに、耳が痛い意見もあれば、希望を感じる提言もある。長い間問題が認識されているにもかかわらず、なかなか解決も難しい。短いスパンで立てた対策は、だいたい碌なことにならないということはよくわかる。

  • 博士の育成にはそこそこの国費が投資されてることも考えると、この本でも指摘されるように、もっと教育なり研究支援なりにその力がいかされるとよいと思った。社会と研究がうまくリンクしてないという問題を認識できた。

  • 70年代にも博士は余っていた、という話は驚きだった。バブル時代は就職先が多かったそうなので、結局景気の影響に左右されるんだろうな。。

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著者プロフィール

病理専門医。細胞診専門医。医学博士。
1971年生まれ。95年東京大学理学部生物学科動物学専攻卒。同大学院博士課程中退後、神戸大学医学部医学科に学士編入学。04年卒。医師免許取得。06年博士(医学)。09年神戸大学医学部附属病院特定助教。兵庫県赤穂市民病院を経て近畿大学医学部で病理解剖と研究倫理を担当。2020年フリーランス病理医として独立。
著書に『博士漂流時代』(DISCOVERサイエンス、科学ジャーナリスト賞2011受賞)『嘘と絶望の生命科学』(文春新書)ほか。

「2021年 『病理医が明かす 死因のホント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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