花泥棒: 細江英公写真絵本

著者 : 早坂類 鴨居羊子

• 冬青社 (2009年11月1日発売)

感想・レビュー・書評

[kaamosさんの感想 · 2011年3月3日]

白黒写真の中で、でかい目をぎょろつかせた太った娼婦のような無数の人形が、「生」を確かめながら自分を粗末に扱っていた。一番の衝撃は、線路で横になり電車のレールに首を乗っけた、先を想像するととても恐ろしい写真。その人形の顔はにたにたいひひ、と口が裂けんばかりに笑い、高速で回転する車輪がその首の上を通過するのを、ただひたすら待機していた。呪われそうな寒気、最高である。なぜかこの写真の不気味世界が浄土なのかもしれない、と思ったりもした。「ハロー ハロー」