あなたへの社会構成主義

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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784888489157

作品紹介・あらすじ

心とは?自己とは?事実とは?より豊かな未来につながる"対話"のために、ガーゲンが今、世界の「常識」を問い直す。新たな"対話"の可能性を拓く実践的・社会構成主義入門。

感想・レビュー・書評

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  • <blockquote>インターネットというのは、まるで私たちを包みこむ子宮のようです。
    インターネットでの経験は、私が、私を呑みこもうとする一方で私自身が加わらなければ成り立たないようなプロセス―――システムに織りこまれて存在するプロセス―――の中で生かされているということを、常に思い起こさせるのです。 p319</blockquote>

    話し出そうとした瞬間に、
    私たちは既存の構造によって「話をさせられて」いる。

    自明ともいえた常識を振り返り、
    新しい意味を対話により創り出していこうという、
    理論と実践のための入門書である。

    「社会構成主義 Social Construction」については、
    中原淳氏の著作や、いわゆる「組織開発」関連の文献で、
    時折触れられているので、ずっと気になってはいた。 [more]

    社会構成主義の主な関心は、
    定義、枠組み、構成である。
    言語による構成は、すなわち文化への参加であるという。

    今は疑いもなく用いられている定義が、
    実は、どんな変化を経てきたのかを示し、
    どのようなプロセスによって、
    その特定の用語が好ましいとされてきたのか。
    そして、そのような用語が、
    多様な人々や事態をいかにして枠にはめこんでいくのか。
    対話や言語がいかにして私たちの世界を創り出しているのか。

    ここで「対話」は、
    大きく三つの役割を担うとされている。

     ・構造としての対話

       安定して繰り返されるまとまりの慣習
       特に、メタファー(比喩)とナラティブ(語り)

     ・レトリックとしての対話

       言語の慣習や構造がいかに世界を枠づけるのか

     ・プロセスとしての対話

       快適な相互関係、会話、交渉、議論などがいかに進んでいくのか

    総じて、人々がいかにして共に現実を創造していくのかを問い、
    変化を生み出す媒体としての対話が提案される。



    【目次】

    1.伝統的人間観の行きづまり
     揺らぐ「自己」観
     激しさをます嵐―――真理、理性、道徳
     学問世界の動揺―――言語の重要性

    2.共同体による構成 ―――事実と価値
     新しい言語観―――写し絵からゲームへ
     イデオロギー批判の見直し
     文学批評の見直し―――テキストから共同体の中の言語へ
     社会構成主義の四つのテーゼ
     科学的知識の社会的構成

    3.対話の力 ―――明日を創る試み
     構造としての対話―――生活の指針となるメタファー
     構造としての対話―――物語(ナラティブ)的現実
     説得としての対話―――レトリックというレンズ
     プロセスとしての対話―――実用的な次元
     自己の会話的構成

    4.社会構成主義の地平
     実証研究に対する疑問
     現代における私たちの生活を探究する―――質的研究
     歴史的・文化的探究―――自己って何?

    5.「個人主義的な自己」から「関係性の中の自己」へ
     生成的理論
     個人主義とイデオロギー
     関係としての自己―――第一ステップ
     関係の中の存在―――新たなビジョン

    6.理論と実践(1)―――対話のもつ可能性
     解釈学的な問い―――「心」から「関係」へ
     三つのD―――対話(Dialogue)、言説(Discourse)、差異(Difference)
     変化力のある対話へ向けて―――第三のアプローチ

    7.理論と実践(2)―――心理療法・組織変革・教育・研究
     社会的構成としてのセラピー
     組織における意味の創造
     教育―――共同的実践と共同体
     学問的表現―――新しい世界製作の方法

    8.理論と実践(3)―――マスメディア・権力・インターネット
     意味の渦
     権力のパターン
     テクノロジーと社会

    9.「批判に答える」
     現実主義―――「だって、確かに世界はそこにあるじゃないか!」
     経験や心的状態に関する疑問
     懐疑主義の矛盾
     相対主義の弊害
     何がなすに値するのか―――関与に関する問い
     社会構成主義とエリート主義の危険性
     社会構成主義と科学の進歩

  • ガーゲンによる社会構成主義の入門書。文章量は多いが、内容はとてもわかりやすく読みやすい。
    社会構成主義はただの屁理屈、詭弁のような考えと捉えられやすいかもしれない。しかし、ガーゲンが述べるところのそれは、意味の創造に強調点があり、極めて建設的な考え方である。
    本書の内容は、心理学を学ぶ人、心理療法を行う人の視野を広げ、より柔軟にするだろう。また、社会学をはじめ、その他の学問を学ぶ人や一般読者にもオススメである。本書を一読した誰もが世界の見え方を一変させ、自己や他者への関心をより深めるだろうから。

  • 「議論に戦争というメタファーをあてはめることによって、私達の役割が決まってしまいます。逆に、もし、それを別なものにしたいと思うなら、異なるメタファー――例えばゲーム、探検、ダンスなど――を用いればよいのです」

    人間の生き方というのは、割と自分が日常でどういうメタファーを使っているのかで決まるところがあるのかもしれないと思う。

    日常で用いているメタファーと異なるメタファーを用いることで、また世界に別の可能性を見出す。それはうまくやれば、灰色の日常をワクワクのあふれるゲームの世界にすることもできる可能性だ。

    僕は昔からゲームとかのフレームワークで世界を捉えようとしてきたのだけど、それも日常にあるメタファーとは異なる視点で人生を捉え、自分の中で消化させるための試行錯誤だったのかもしれない。そして多分、多くの宗教や文化がやっていることは、個人の中にメタファーの多声性を呼び覚ますことなのだろう。

  • 私の社会構成主義❣️

  • 難しい哲学の本。
    自分にとって今必要ではない。

  • Beの肩書きの兼松さんの参考文献

  • 読了

  • 2018.07.04 フューチャーセッションで紹介される。

  • 原題:An Invitation to Social Construction(1999)
    著者:Kenneth J. Gergen
    訳者:東村知子
    装丁:白沢 正

    【他の著作】
    邦訳2004年 『社会構成主義の理論と実践――関係性が現実をつくる』https://booklog.jp/item/1/4888488649
    邦訳1998年 『もう一つの社会心理学――社会行動学の転換に向けて』https://booklog.jp/item/1/4888484023

    【本書の書誌情報】
    社会構成主義の重鎮ガーゲンによる、「常識」を覆す社会構成主義への格好の入門書。平易な文章で、ガーゲンとの対話の世界へ誘う。

    出版年月日 2004/11/01
    ISBN 9784888489157
    判型・ページ数 A5・378ページ
    定価 本体3,500円+税


    【やや簡易な目次】
    プロローグ ――私たちの進むべき道 [i-ii]
    目次 [iii-viii]

    第1章 伝統的人間観の行きづまり 001
    本書について 007
    揺らぐ「自己」観 009
    激しさをます嵐 ――真理、理性、道徳 020
    学問世界の動揺 ――言語の重要性 030
    本章をふりかえって 047
    注 048
    文献案内 049

    第2章 共同体による構成 ――事実と価値 051
    新しい言語観 ――写し絵からゲームへ 052
    イデオロギー批判の見直し 057
    文学批評の見直し――テキストから共同体の中の言語へ 063
    社会構成主義の四つのテーゼ 071
    科学的知識の社会的構成 076
    本章をふりかえって 086
    注 087
    文献案内 091

    第3章 対話の力 ――明日を創る試み 093
    構造としての対話 ――生活の指針となるメタファー 097
    構造としての対話 ――物語(ナラティヴ)的現実  102
    説得としての対話 ――レトリックというレンズ 108
    プロセスとしての対話 ――実用的な次元 114
    自己の会話的構成 120
    本章をふりかえって 127
    注 129
    文献案内 132

    第4章 社会構成主義の地平 135
    実証研究に対する疑問 136
    現代における私たちの生活を探究する――質的研究 143
    歴史的・文化的探究 ――自己って何? 152
    本章をふりかえって 168
    注 169
    文献案内 171

    第5章 「個人主義的な自己」から「関係性の中の自己」へ 173
    生成的理論 173
    個人主義とイデオロギー 176
    関係としての自己 ――第一ステップ 183
    関係の中の存在 ――新たなビジョン 193
    本章をふりかえって 205
    注 206
    文献案内 209

    第6章 理論と実践(1)――対話のもつ可能性 211
    解釈学的な問い――「心」から「関係」へ 212
    三つのD ――対話(Dialogue)、言説(Discourse)、差異(Difference) 219
    変化力のある対話へ向けて――第三のアプローチ 228
    本章をふりかえって 243
    注 243
    文献案内 245

    第7章 理論と実践(2)――心理療法・組織変革・教育・研究 247
    社会構成としてのセラピー 248
    組織における意味の創造 260
    教育 ――共同的実践と共同体 265
    学問的表現 ――新しい世界製作の方法 272
    本章をふりかえって 280
    注 281
    文献案内 283

    第8章 理論と実践(3)――マスメディア・権力・インターネット 287
    意味の渦 289
    権力のパターン 300
    テクノロジーと社会 308
    本章をふりかえって 318
    注 319
    文献案内 322

    第9章 「批判に答える」 325
    現実主義 ――「だって、確かに世界はそこにあるじゃないか!」 328
    経験や心的状態に関する疑問 331
    懐疑主義の矛盾 334
    相対主義の弊害 338
    何がなすに値するのか ――関与に関する問い 344
    社会構成主義とエリート主義の危険性 346
    社会構成主義と科学の進歩 349
    本章をふりかえって 352
    注 352
    文献案内 353

    訳者あとがき(東村知子) [355-361]
    事項索引 [362-364]
    人名索引 [365-367]



    【詳しい目次】
    プロローグ――私たちの進むべき道 [i-ii]
    目次 [iii-viii]

    第1章 伝統的人間観の行きづまり 001
    本書について 007
    揺らぐ「自己」観 009
      二元論的世界の問題――「外的世界」vs.「内的世界」/知識の問題――鏡としての心/自分の心がわかるとは?――内なる眼という問題
    激しさをます嵐――真理、理性、道徳 020
      客観性、真理、科学の問い/理性と教育の役割/道徳と責任/ポストモダンの胎動
    学問世界の動揺――言語の重要性 030
      第一の事件――言葉は、現実をありのままに写しとるものではない/第二の事件――価値中立的な言明など存在しない/第三の事件――記号論から脱構築へ/絶望から新しい未来へ
    本章をふりかえって 047
    注 048
    文献案内 049

    第2章 共同体による構成 ――事実と価値 051
    新しい言語観――写し絵からゲームへ 052
      言語ゲーム/生活形式と「事実ゲーム」
    イデオロギー批判の見直し 057
      精神病――フーコーとその後
    文学批評の見直し――テキストから共同体の中の言語へ 063
      アイデンティティの政治学
    社会構成主義の四つのテーゼ 071
      私たちが世界や自己を理解するために用いる言葉は、「事実」によって規定されない/記述や説明、そしてあらゆる表現の形式は、人々の関係から意味を与えられる/私たちは、何かを記述したり説明したり、あるいは別の方法で表現したりする時、同時に、自分たちの未来をも創造している/自分たちの理解のあり方について反省することが明るい未来にとって不可欠である
    科学的知識の社会的構成 076
      何が科学的事実であるかは科学者コミュニティによって決定される/「新しい」科学的事実は複雑に入り組んだ関係性の産物である
    本章をふりかえって 086
    注 087
    文献案内 091

    第3章 対話の力 ――明日を創る試み 093
    構造としての対話 ――生活の指針となるメタファー 097
      心のメタファー
    構造としての対話 ――物語(ナラティヴ)的現実  102
      自己についての語り
    説得としての対話 ――レトリックというレンズ 108
      客観性のレトリック
    プロセスとしての対話 ――実用的な次元 114
      ゴフマンとガーフィンケルの遺産
    自己の会話的構成 120
      「存在論」「倫理」「自己」の創造/社会的な釈明――アイデンティティと責任
    本章をふりかえって 127
    注 129
    文献案内 132

    第4章 社会構成主義の地平 135
    実証研究に対する疑問 136
      優れた実証研究とみなされるための五つの基準/実証研究がもたらした成果
    現代における私たちの生活を探究する――質的研究 143
      語り(ナラティヴ)――人々が生きている世界をつなぐ/共同的研究/アクションリサーチ ――社会変革のうねり
    歴史的・文化的探究 ――自己って何? 152
      「自己」の歴史的変遷/異文化研究、自文化理解
    本章をふりかえって 168
    注 169
    文献案内 171

    第5章 「個人主義的な自己」から「関係性の中の自己」へ 173
    生成的理論 173
    個人主義とイデオロギー 176
      「孤立した魂」という問題/手段としての他者/見せかけだけの関係/「周りはみな敵」という悲劇/権力の
    問題/社会的なものの軽視
    関係としての自己――第一ステップ 183
      象徴的相互作用論/文化心理学/現象学と他者
    関係の中の存在――新たなビジョン 193
      バフチンと対話主義/関係の中の存在
    本章をふりかえって 205
    注 206
    文献案内 209

    第6章 理論と実践(1)――対話のもつ可能性 211
    解釈学的な問い――「心」から「関係」へ 212
      「真実の」解釈をもたらす方法はあるか/意味は関係の中から生み出される
    三つのD ――対話(Dialogue)、言説(Discourse)、差異(Difference) 219
      他者性と意味の終わり/第一のアプローチ ――議論、取引、交渉、調停/第二のアプローチ ――ハーバーマスと対話の倫理
    変化力のある対話へ向けて――第三のアプローチ 228
      非難から関係の中の責任へ/自己表出の重要性、他者を肯定すること/行為を調和させること――即興のすすめ/自己内省――多声性への期待/新しい世界の共同的創造
    本章をふりかえって 243
    注 243
    文献案内 245

    第7章 理論と実践(2)――心理療法・組織変革・教育・研究 247
    社会構成としてのセラピー 248
      解決中心療法――ブリーフ・エンカウンターの力/ナラティヴ・セラピー/多声的な共同実践――複数の意味がもたらす実り
    組織における意味の創造 260
      価値を認めようとする問い――対立から共同体へ/未来の探求と共同体の構築
    教育――共同的実践と共同体 265
      じっくりと考え、反省すること――教室での共同的実践/多声的な教育学
    学問的表現――新しい世界製作の方法 272
      「一人の人間」の視点に立つこと――具体的な記述/内省と多声性――私は誰?――多様な声のるつぼパフォーマティヴに向けて
    本章をふりかえって 280
    注 281
    文献案内 283

    第8章 理論と実践(3)――マスメディア・権力・インターネット 287
    意味の渦 289
      メディアと操作/犠牲者から復讐者へ――「行動する視聴者」/仮想の世界を泳ぐ
    権力のパターン 300
      権力――ポスト構造主義の視点
    テクノロジーと社会 308
      インターネット――新たな共同体? それとも単なる虚構?/サイポグ――私と機械は一心同体
    本章をふりかえって 318
    注 319
    文献案内 322

    第9章 「批判に答える」 325
    現実主義――「だって、確かに世界はそこにあるじゃないか!」 328
    経験や心的状態に関する疑問 331
    懐疑主義の矛盾 334
    相対主義の弊害 338
    何がなすに値するのか――関与に関する問い 344
    社会構成主義とエリート主義の危険性 346
    社会構成主義と科学の進歩 349
    本章をふりかえって 352
    注 352
    文献案内 353

    訳者あとがき(東村知子) [355-361]
    事項索引 [362-364]
    人名索引 [365-367]

  • これは、革命的にわかりやすい社会構成主義入門だ。

    こんなに分かりやすくていいのかと思う。教科書上手なアメリカ人のなせるわざとしかいいようがない。

    社会構成主義というもの自体が、ある意味、分かりやすいものと言える。つまり、フーコーとか、デリダとか、ハーバーマスとか、訳の分からないヨーロッパ系の思想を噛み砕いて、地に足のついたものにしつつ、単なる批判ではなく、実践に向けたものが社会構成主義ではなかろうか。

    そういう意味では、実にアメリカ的にポジティブに社会的に構成されているのが、社会構成主義ではなかろうか。

    などと、ちょっと皮肉っぽい、つまらん感想を書いてしまったが、この分かりやすさはほんとに感動的なんですよ。

    私が、学生時代から最近まで読みつつ、実践してきた、というか実践しようとしてきたことのエッセンスがここにあるとさえいえる。

    ここに、構造主義からポスト構造主義、脱構築などのフランス現代思想、そしてウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」から「哲学探究」への移行、あるいは論理実証主義から解釈学への移行、決定論的な宇宙観から複雑系的な世界観への移行、仏教思想、アプリシアティブ・インクワイアリーや「対話」の実践、といったものがすべて、きわめて「分かりやすく」書いてある訳ですね。

    こんな本をもっと早く読んどけば、よかった。

    と思うと同時に、これまで、ぐちゃぐちゃと訳の分からない本を読んだり、つまらんことに悩みつつ「対話」を実践してきたからこそ、ここまで、すらすらと「分かって」しまうのだろう。そこにまた不思議な幸福を感じた。

    原題は、"an invitation to social construction"であって、”constructionism"ではない。 つまり、「主義」ではなく、「社会構築」に向かった「誘い」なわけだ。

    理論=主義ではなく、実践。

    これも、私の最近の志向にぴったりあっている。

    アメリカ人も、なかなか良いとこあるじゃん、と久しぶりに思った本であった。

    なんだかんだ、いって、ベトナム戦争や黒人や女性などの社会進出、同性愛や中絶問題といった大きな社会的な変革や議論を経験している国だからねー。

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