クリムト 新装版 (アート・ライブラリー)

著者 : キャサリン・ディーン 冨田章

• 西村書店 (2012年1月1日発売)

感想・レビュー・書評

[郁さんの感想 · 2021年10月25日]

モザイク風の流麗な曲線による装飾性と結びついた蠱惑的な様式の特徴は、画面の平面性にある。画家が何を主題（動機や目的）にして描いたかを考えないと、作品は立体性を有しない。例えば、ニーチェの『悲劇の誕生』から着想を得たと言われる〈音楽 Ⅰ〉は、アポロンとディオニュソスを用いて、どのように両者を一体化させているかに考えが及んでいないので、わたしは消化吸収できていない。音楽と文学のあいだにある切り分けがたい総合芸術として鑑賞し、理解を深めたい。
愛知県美術館へ行く度に観ている〈黄金の騎士(人生は戦い)〉がお気に入り。