- Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
- / ISBN・EAN: 9784890137244
作品紹介・あらすじ
「次に何が起こるかなんてわからないわ。そもそも、人生ってそういうもんでしょ」
人種差別の激しかった南アフリカで、し尿処理場で汲み取り桶運びに明け暮れる女の子がいた。
ノンベコ13歳。天才的な数学の才能はあるけれど学校には行ったことがなく、だから当然読み書きのできないこの少女が、大人になって遠くスウェーデンの国王と首相の命を救うことになろうとは、誰も予想だにしていなかった。
物語の舞台は南アフリカからスウェーデンへ――。
開発の途上で余ってしまった爆弾1個をめぐって、全然似てない双子、いつもへべれけの爆弾開発者、じゃがいも農家の伯爵夫人、のん気な王様、きれい好きな首相、モサド諜報員、そして胡錦濤国家主席まで、ひと癖もふた癖もある人物が入り混じって、てんやわんやの大騒ぎ。
爆弾は誰の手に? ノンベコの恋の行方やいかに? そして、スウェーデン国王は共和主義者の魔手から無事逃れられるのか?!
デビュー作『窓から逃げた100歳老人』で全世界に笑撃を与えたヨナス・ヨナソンが贈る、ハチャメチャ・コメディ第2弾!
感想・レビュー・書評
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読書メーターから移記
完璧な完成度のエンタメ小説。読書の楽しさをあらためて感じられる最高のどたばたで、現実社会のシニカルな面もあって、莫迦話にもなってないことも素晴らしい。気分転換に最高の一冊かも。タイトルだけが違和感。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者の作風・文体のファンである。例によって破天荒な進行だが、笑いの裏に共感できる主張が感じられる。主人公は南アフリカ出身の最貧困層の黒人の女の子だが、持ち前の機転と弛まぬ向学心によってハチャメチャな、あり得ない人生の行く末にハッピーエンドが待っている。ひょんなことから存在するが、存在しないとされている核、これをめぐって、同名の双子(性格が真逆)、同名ゆえに存在しないことになった片割れ、飲んだくれの技術者、イスラエルの諜報員、常識はずれの中国人3姉妹、過激思想の女の子など風変わりな人物群と、中国の胡錦濤国家主席、スウェーデンの王と首相が入り乱れて、どんな展開になるのか先がまったく読めない物語に引き込まれていく。深刻な事態なのに、生真面目なバカさ加減が同居しているおかしさが秀逸。読後感がいい。
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翻訳ならではの言い回し、文化背景の違い等、慣れるのに時間がかかります。読むのにも時間がかかりますね^^;
ハチャメチャコメディで面白かったですけれど、こんなに長くなくても良かったのかな、と思いました。ノンベコの順応力、したたかさは、生きてこその思い故、広い意味で生きてるっていいなぁと思わせてくれる本でした。 -
うーん、なかなか、難しかった。
最初の、南アフリカ・ソウェトでの話。
核爆弾開発と、三人の中国人姉妹登場など、ノンベコの能力を巡る序盤としては面白かった。
ところが、スウェーデンに降り立ち、二人のホルゲルとの出会いから、徐々にセレスティン宜しくイライラし始める。
王政廃止を訴える父を継いだホルゲル兄が、あまりにもおバカすぎて。
そして、ノンベコの大局観も輪をかけて、核爆弾というかなりシリアスな展開には馴染まなくて。
身内でゴタゴタとやっているイメージなのに、その場にいる人が国家主席やら王やら首相なわけで、アンバランス感が否めなかった。 -
窓から逃げた100歳老人
に続く第二弾
十分楽しませてもらいました
ありえない設定なのに実在の人物を取り混ぜて話は進みます
絶望しそうになったり、応援したり、最後はほっとさせてもらいました
主人公ノンベコの周りは個性ありすぎの人たちばかり
第三弾も執筆中とか
楽しみです
≪ 爆弾が 世界を破壊 しないため ≫ -
黒人差別が歴然としていたころの南ア、最底辺の家庭に生まれた少女ウンベコ。両親を亡くし、し尿処理場で働く。読み書きも知らないウンベコだが、数字に関しては天才的な才能がああり、処理場の管理者をも圧倒させる。数学的才能と機知に富む発想でピンチを切り抜けていく。次々現れる奇怪な人々、ありえない偶然。スウェーデン国王まで登場してテンヤワンヤ!
あれよあれよと、読んでしまいました。実在の人物も辛らつに書かれていたり、笑って読んでしまいましょう。 -
スウェーデンの作家ヨナス・ヨナソン、2013年発表の小説。南アフリカが秘密裏に作った核爆弾をめぐってのドタバタコメディ。面白いです。
南アフリカの貧民街に生まれた黒人少女が主人公。文盲が当然の街で育った少女は持ち前の才覚で独力で文字を覚え、数学的才能を開花させます。しかし貧民街は脱出したもののひょんなことから原爆の秘密研究所で囚われの身となり掃除婦として強制労働に従事することになります。才能ある少女はそこで駄目所長を陰で支える存在となりますが・・・。
約10年後に一発の原爆と共にスウェーデンに脱出した少女(その時にはもう少女ではなく大人ですが・・・)はスウェーデンで狂信的反王政主義者の青年とその双子の弟に出会います。この双子の生い立ちの物語りがもう一つの主軸として語られますが、ハチャメチャなお話し。
そんなこんなで最終的に原爆をいかに処理したか、という数十年に渡る長大な物語りは、史実に則しながらも虚実入り乱れての痛快な大ボラ話、皮肉やブラックユーモアもたっぷりの大変面白い作品です。
数十年に渡る長大な物語りだけに、語られるエピソード一つ一つはかなり大雑把と言う印象を受けるものが多いです。著者の前作「窓から逃げた100歳老人」に比べるとスケールも小さく、ちょっと物足りない感もします。主人公の黒人女性もやや類型的で今ひとつ魅力に欠けます。この作品の中で最も輝いているのは狂信的反王政主義者の双子兄とパートナーのアナーキスト少女のおばかカップル。めげずへこたれずおばかを貫くこのカップルはすごいです。 -
抱腹絶倒の冒険活劇。
貧乏とか、肌の色とか、生まれた国とか、性別とか、そんな障害を知性と行動力で次々と解決していく主人公のノンベコに元気をもらえます。
作者は元ジャーナリストで、物語に出てくる史実がそんなわけないのにリアリティ帯びてるのも面白いところです。