国を救った数学少女

  • 西村書店
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本棚登録 : 678
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784890137244

作品紹介・あらすじ

「次に何が起こるかなんてわからないわ。そもそも、人生ってそういうもんでしょ」

人種差別の激しかった南アフリカで、し尿処理場で汲み取り桶運びに明け暮れる女の子がいた。
ノンベコ13歳。天才的な数学の才能はあるけれど学校には行ったことがなく、だから当然読み書きのできないこの少女が、大人になって遠くスウェーデンの国王と首相の命を救うことになろうとは、誰も予想だにしていなかった。
物語の舞台は南アフリカからスウェーデンへ――。
開発の途上で余ってしまった爆弾1個をめぐって、全然似てない双子、いつもへべれけの爆弾開発者、じゃがいも農家の伯爵夫人、のん気な王様、きれい好きな首相、モサド諜報員、そして胡錦濤国家主席まで、ひと癖もふた癖もある人物が入り混じって、てんやわんやの大騒ぎ。
爆弾は誰の手に? ノンベコの恋の行方やいかに? そして、スウェーデン国王は共和主義者の魔手から無事逃れられるのか?! 
デビュー作『窓から逃げた100歳老人』で全世界に笑撃を与えたヨナス・ヨナソンが贈る、ハチャメチャ・コメディ第2弾!

感想・レビュー・書評

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  • 読書メーターから移記

    完璧な完成度のエンタメ小説。読書の楽しさをあらためて感じられる最高のどたばたで、現実社会のシニカルな面もあって、莫迦話にもなってないことも素晴らしい。気分転換に最高の一冊かも。タイトルだけが違和感。

  • 前作の『窓から逃げた100歳老人』よりは楽しく読めた。
    理由は、死者をポイ捨てするような描写がなかったから。

    面白くはあったんだけど、不満もある。
    国を救った…の国はどこのこと?
    最初は南アフリカのことかと思ったんだけど、最終的にはスウェーデンのこと?と思ったり。
    そして、割と早めに主人公のノンベコは少女よりも大人になっていた。

    なぜそういうことになるかというと、歴史上の実在の人物をストーリーに絡めようとするからだと思うの。
    要は南アフリカの文盲の少女が、持ち前の数学的才能と機知で、底辺の生活を脱出。
    その際に、どういうわけかあってはならないはずの原子爆弾がついてきて、それを安全に処置するためにてんやわんやの大騒ぎ…って話なのだ。
    本当なら手に汗握って、スピーディーな展開に心臓バクバクさせながら読むべきなのに。

    生まれ故郷を脱出するのに、5歳から9年ほど「し尿処理場」で所長として働く。
    所長を首になり、世界に向かって歩き出したとたんに交通事故に遭い、被害者なのに賠償金を払うために加害者の下で10年以上掃除婦として働かされる。
    あってはならない原子力爆弾を取引に使い、逃げ出した先がスウェーデン。
    手違いで爆弾までスウェーデンに届いてしまったので、その処理に悩むこと10数年。
    冗漫なんだよ。

    歴史上の人物は必要なのかな。
    確かにスウェーデン国王はチャーミングではあったけど。
    かと思うと、宗家の三姉妹は、あの有名な宗家の三姉妹とは全然違ったし。

    欧米の小説で割とあるスラップスティックなコメディ。
    本屋大賞の翻訳部門にノミネートされていたから読んだけど、彼の作品はもういいかな。
    面白く読んだけど、残るものは特にない。
    もっとずっしりと読みごたえのある本を読みたいのだ、私は。

  • 著者の作風・文体のファンである。例によって破天荒な進行だが、笑いの裏に共感できる主張が感じられる。主人公は南アフリカ出身の最貧困層の黒人の女の子だが、持ち前の機転と弛まぬ向学心によってハチャメチャな、あり得ない人生の行く末にハッピーエンドが待っている。ひょんなことから存在するが、存在しないとされている核、これをめぐって、同名の双子(性格が真逆)、同名ゆえに存在しないことになった片割れ、飲んだくれの技術者、イスラエルの諜報員、常識はずれの中国人3姉妹、過激思想の女の子など風変わりな人物群と、中国の胡錦濤国家主席、スウェーデンの王と首相が入り乱れて、どんな展開になるのか先がまったく読めない物語に引き込まれていく。深刻な事態なのに、生真面目なバカさ加減が同居しているおかしさが秀逸。読後感がいい。

  • 翻訳ならではの言い回し、文化背景の違い等、慣れるのに時間がかかります。読むのにも時間がかかりますね^^;
    ハチャメチャコメディで面白かったですけれど、こんなに長くなくても良かったのかな、と思いました。ノンベコの順応力、したたかさは、生きてこその思い故、広い意味で生きてるっていいなぁと思わせてくれる本でした。

  • うーん、なかなか、難しかった。
    最初の、南アフリカ・ソウェトでの話。
    核爆弾開発と、三人の中国人姉妹登場など、ノンベコの能力を巡る序盤としては面白かった。

    ところが、スウェーデンに降り立ち、二人のホルゲルとの出会いから、徐々にセレスティン宜しくイライラし始める。

    王政廃止を訴える父を継いだホルゲル兄が、あまりにもおバカすぎて。
    そして、ノンベコの大局観も輪をかけて、核爆弾というかなりシリアスな展開には馴染まなくて。
    身内でゴタゴタとやっているイメージなのに、その場にいる人が国家主席やら王やら首相なわけで、アンバランス感が否めなかった。

  • 窓から逃げた100歳老人
    に続く第二弾
    十分楽しませてもらいました
    ありえない設定なのに実在の人物を取り混ぜて話は進みます
    絶望しそうになったり、応援したり、最後はほっとさせてもらいました
    主人公ノンベコの周りは個性ありすぎの人たちばかり

    第三弾も執筆中とか
    楽しみです

    ≪ 爆弾が 世界を破壊 しないため ≫

  • 南アフリカのアパルトヘイト下で最底辺の人生を始めた少女が自分の道を切り拓き原爆の脅威から世界まで救うことになる。
    実在の王、首相などの世界の要人が実名で登場し、史実をなぞっている部分もあるだろうが、ほとんどは奇想天外でハチャメチャな冒険譚だ。
    タイトルほどには「数学」が前面にはなく、むしろマルチリンガルな語学と頭の回転がいい主人公、そしてその他の登場人物もクセがあるけれど憎めないキャラクターたちで、ストーリーに引き込まれた。
    16-21

  • 黒人差別が歴然としていたころの南ア、最底辺の家庭に生まれた少女ウンベコ。両親を亡くし、し尿処理場で働く。読み書きも知らないウンベコだが、数字に関しては天才的な才能がああり、処理場の管理者をも圧倒させる。数学的才能と機知に富む発想でピンチを切り抜けていく。次々現れる奇怪な人々、ありえない偶然。スウェーデン国王まで登場してテンヤワンヤ!

    あれよあれよと、読んでしまいました。実在の人物も辛らつに書かれていたり、笑って読んでしまいましょう。

  • スウェーデンの作家ヨナス・ヨナソン、2013年発表の小説。南アフリカが秘密裏に作った核爆弾をめぐってのドタバタコメディ。面白いです。

    南アフリカの貧民街に生まれた黒人少女が主人公。文盲が当然の街で育った少女は持ち前の才覚で独力で文字を覚え、数学的才能を開花させます。しかし貧民街は脱出したもののひょんなことから原爆の秘密研究所で囚われの身となり掃除婦として強制労働に従事することになります。才能ある少女はそこで駄目所長を陰で支える存在となりますが・・・。
    約10年後に一発の原爆と共にスウェーデンに脱出した少女(その時にはもう少女ではなく大人ですが・・・)はスウェーデンで狂信的反王政主義者の青年とその双子の弟に出会います。この双子の生い立ちの物語りがもう一つの主軸として語られますが、ハチャメチャなお話し。
    そんなこんなで最終的に原爆をいかに処理したか、という数十年に渡る長大な物語りは、史実に則しながらも虚実入り乱れての痛快な大ボラ話、皮肉やブラックユーモアもたっぷりの大変面白い作品です。

    数十年に渡る長大な物語りだけに、語られるエピソード一つ一つはかなり大雑把と言う印象を受けるものが多いです。著者の前作「窓から逃げた100歳老人」に比べるとスケールも小さく、ちょっと物足りない感もします。主人公の黒人女性もやや類型的で今ひとつ魅力に欠けます。この作品の中で最も輝いているのは狂信的反王政主義者の双子兄とパートナーのアナーキスト少女のおばかカップル。めげずへこたれずおばかを貫くこのカップルはすごいです。

  • 抱腹絶倒の冒険活劇。
    貧乏とか、肌の色とか、生まれた国とか、性別とか、そんな障害を知性と行動力で次々と解決していく主人公のノンベコに元気をもらえます。
    作者は元ジャーナリストで、物語に出てくる史実がそんなわけないのにリアリティ帯びてるのも面白いところです。

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著者プロフィール

著◆ヨナス・ヨナソン(JONAS JONASSON)  1961年スウェーデンのヴェクショー生まれ。ヨーテボリ大学卒業後、地方紙の記者となる。その後、メディア・コンサルティング会社およびテレビ番組制作会社OTWを立ち上げ成功。テレビ、新聞などのメディア業界で20年以上活躍した後、『窓から逃げた100歳老人』を執筆し、デビュー。世界で累計1500万部を超える大ベストセラー作家となる。本書は、『国を救った数学少女』『天国に行きたかったヒットマン』『世界を救う100歳老人』(いずれも西村書店)に続く5作目。

「2022年 『華麗な復讐株式会社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ヨナス・ヨナソンの作品

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