バーナデットのモミの木 新装版

  • 西村書店
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784890138784

感想・レビュー・書評

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  • 衝撃の結末にやるせない思いが残ります。これだからアンデルセンは…と思わず声を上げてしまいました。

    森の小さいモミの木は、まわりの木を見上げては「はやく大きくなって、海を渡ったり、見知らぬ町に行きたい」と憧れを抱きます。お日さまの光や、風は「ここにいることを喜びなさい」と諭しますが、モミの木には届きません。

    大きくなってクリスマスの日に切られたモミの木は、へやのまんなかに綺麗に飾られて、でも次の日には引きずり倒されやねうらに運ばれて行きました。森にいた自分はしあわせだったと気づいた時には、庭で小さく切られ、たきぎにされてしまいます。そしてあのラスト!
    知らず知らずのうちに、モミの木に人の一生を重ね合わせて読んでいました。

    語りかけてくるようなバーナデットの幻想的な絵に魅了されます。青い月明かりに浮かぶ雪の森では、動物たちが小さいモミの木をかこみ優しく見守っているようです。階段をころころころげ落ちたハンプティ・ダンプティのユニークな姿は子どもの目をきっと楽しませることでしょう。

  • モミの木が主役の、クリスマスの一冊。
    子どもの頃は好きだったお話だが、大人になった今読むと、物悲しさばかりが残る。
    アンデルセンの人生と照らし合わせてしまうからか、それとも「物悲しい」ことをたくさん知ってしまったからか。
    とまれ、人生は不幸でも幸福でもない。憧れたり失望したりの繰り返しである。
    得たものがあると思った直後には失うものがあったり。
    そして気が付いたときには、ほぼ間に合わない。
    小学校の低学年からとあるが、果たしてどれほどの子たちがこの本の世界を味わえるだろう。
    私がそうだったように、何となくロマンチックだからと好きになる子もいるかもしれないが。
    約10分。先ずは大人が読んでみると良いだろう。

    「ここにいることをよろこびなさい」と何度言われても理解できないモミの木は、「ここではないどこか」を、いつも望んでいる。
    そしてついに念願叶って「どこか」に連れて行かれ有頂天になるが、その喜びもつかの間のことだった。。。

    バーナデッド・ワッツの絵がたいそう温かく美しいので、よけいに物悲しさが際立つ。
    モミの木は不幸だったのか、いや違うだろう。悲しかったのかというとそれも違う。
    気づいたことが、幸せだったと思いたい。たとえその後の生が、ほんのわずかでも。
    生き急がず、感謝して毎日を送ろうと、大人になった私はこの本を再読してそう考える。

  • モミの木が主役の物語。
    モミの木の一生がつらくやるせなかった。
    今ある幸せに気づいて喜ぶことの大切さを描いた絵本。

  • 生まれたばかりの小さなモミの木が
    周りの木々たちが大きく成長していたり、切り倒されて
    どこか素敵な場所へ連れていってくれるのを羨ましいと思う。

    だけど自分がその立場になってみると
    クリスマスが終わると物置に放置され、1年後には薪として使われて
    「森にいた頃が懐かしい。楽しかったな」と過去に思いを馳せ
    生涯を終える……アンデルセンらしいアンハッピー。

    人間でも自分より幸せそうな人を見ると
    羨ましいなぁって思ったり、人によっては妬んだりすることがある。

    でもその前に、今の自分自身がどんなに恵まれているのか。
    どれだけ幸せなのか……そのことに気づかないとダメ!って気持ちに。
    素晴らしい教訓が織り込まれてます。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「アンデルセンらしいアンハッピー。」
      バーナデット・ワッツのイラストが素晴しくて、教訓的な話は忘れ去って読んでます。。。
      「アンデルセンらしいアンハッピー。」
      バーナデット・ワッツのイラストが素晴しくて、教訓的な話は忘れ去って読んでます。。。
      2013/03/25
  • 26年度(5-1)

    12分

  • 日々不満に感じず、感謝して過ごさなくてはね・・・

  • 小さなモミの木が周りの木たちが切られてどこに行くのか知り、そして自分も海や街へ行きたいと言うが、みんな、そこにいることを幸せに思えという。
    しかし、小さなモミの木にはその意味が分からなかった。
    成長したモミの木はあるとき切られ、クリスマスツリーとしてある家に運び込まれ、りっぱに飾り付けられる。
    とても、幸せな瞬間をすごすモミの木だが、子供たちがやってくると飾りつけは剥ぎ取られてしまう。
    翌日、また飾りつけられるのかと思うが、物置にしまわれてしまう。
    雪が地面を覆っているから植えられないのだと、モミの木は解釈する。
    ねずみたちが少しの間話し相手になったものの、モミの木がチーズの話を出来ないと知るともう来なくなってしまった。
    1人寂しく冬を過ごして春になり、モミの木は庭に出される。
    葉っぱを伸ばそうとするが黄色く枯れてしまっていた。
    子供が枯れているモミの木のてっぺんにまだクリスマスの星の飾りが付いている、と枝を踏みながら飾りを取ってしまう。
    そして、モミの木は暖炉の薪としてくべられ、灰になって行く中、森の中にいたときが幸せだったのだと気づき、あのときをもっと幸せだと感じているべきだったと思うのだった。
    外では子供はモミの木がもっとも幸せだった一晩につけていた星の飾りを胸に飾っていた。

    なんとなく、読んだことがあるような。
    アンデルセンなので一度は読んだことあるのかも知れない。

    クリスマスの楽しい絵本の中に一緒に並んでいた絵本だけれど、物悲しい。
    そのときが幸せだったというのは、そのときが過ぎてからでないと気づかないもの。

  • 2011年12月6日

    <THE FIR TREE>

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