平和の敵 偽りの立憲主義

著者 :
  • 並木書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784890633340

作品紹介・あらすじ

集団的自衛権の行使容認に関して、多くの憲法学者が「立憲主義を破壊する」と非難の声をあげた。本心では、彼らの多くが自衛隊の存在を「違憲」だと考えている。だが、「立憲主義に反する自衛隊を廃止せよ」とは主張しない。国民の反感を恐れているからだ。彼らは「集団的自衛権」の問題に限って、「立憲主義が破壊される」と叫んでいる。彼らの説く立憲主義は一貫性を欠いた、国民を欺く卑劣な「偽りの立憲主義」にほかならない。

感想・レビュー・書評

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  • 本書を読んで、近代立憲主義について、学ぶことができたのはとても良かったです。集団的自衛権や集団安全保障に関しては、以前から他の本を読んで知ってはいましたが、ロシアや中国を念頭に置いた事態に関して理解を深めることが出来たのは収穫でした。

  • 多くの書籍で引用されている会議録だがまだまだ知らない人が多いと思われるので資料として記録しておく。吉田発言は芦田修正を完全に無視した暴言で、日本の政治が気分によって動く様相をありありと映し出す。敗戦からまだ1年を経てない時期ゆえ、戦争に対する嫌悪感は理解できるが、床屋のオヤジが言うならまだしも一国の総理が議会で説くような内容ではあるまい。原理原則を軽んじ、本音と建前を器用に使い分ける国民性を恥じるべきだ。
    https://sessendo.blogspot.com/2018/11/9.html

  •  近代立憲主義に基づけば自衛隊は憲法に反しているため、自衛隊を否定しなければならない。しかし、自衛隊を無くせとは言わない「左」の振る舞いと、安全保障のため矛盾を抱えたまま様々な普通の国と連携しなければならない自衛隊の屈辱的な作戦の数々(人間の盾作戦など)、それから憲法の制定過程での「アトミックエナジー」のエピソードと徹底した検閲における当時の人々の心境が取り上げられている。リベラルは僕の中のイメージではやや賢人政治(?)的で、知識人が善導する感じを抱いてきたが、岩田氏のかかげるリベラルな保守は、たまにはサボってもいい愛国といった感じか。「積極的リベラリズム」という点においては、やたら伝統や日本を賛美する「右」もそれから「左」もほとんど共通している。非常にわかりやすく、基本的なところを押さえられている良い本だと思う。憲法と現在の日本が決定的に「あってない」ということが一点目。それから、軍隊を無くせという「極端な人生観」は、王や賢人による民への強制となることが二点目。よって、この二点を解消するには、日米安保で安全を確保しつつ、憲法を、人間の消極的リベラリズムを維持できる形として改正すること。以上が整理されて書かれてあると思う。いわゆる左翼批判本ではない。

  • 若干筆が走り過ぎのきらいはあるが、主張は正しいし納得的だ。
    憲法9条があるから戦後70年の平和が保たれたというリベラルの主張は、単なる空想にしか過ぎない。

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著者プロフィール

昭和58年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学大学院修了。現在、拓殖大学客員研究員。専攻は政治哲学。著書に『だから、改憲するべきである』(彩図社)、『政治とはなにか』(総和社)、『逆説の政治哲学 正義が人を殺すとき』(ベストセラーズ)等がある。

「2015年 『人種差別から読み解く大東亜戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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