サイボーグ・フェミニズム 増補版

制作 : 巽 孝之 
  • 水声社
3.28
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本棚登録 : 118
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784891764463
#SF

作品紹介・あらすじ

91年、刊行と同時に多大な反響を巻き起こし、いまなお絶大な影響力を与え続ける文化批評の正典、大幅な増補を加えて完全復活。

感想・レビュー・書評

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  • エディプス神話もエデンの園といった起源神話も持たず、女/男、生物/機械といった二項対立の境界に位置する者=サイボーグをフェニミズムのイメージとして捉えた『サイボーグ宣言』、シュペングラー風の全体的・父権的思考と読み、「なにかが欠落している」=全体性の欠如を指摘し、反論する黒人男性ゲイ作家サミュエル・ディレイニーの論考『サイボーグ・フェニミズム』、『サイボーグ宣言』でも扱われているアン・マキャフリイの『歌う船』の主人公たるサイボーグに何故性差を付与したのかという男性から女性に性転換しレズビアンの作家ジェシカ・アマンダ・サーモンスンの論考『なぜジェンダーを呼び戻すのか?』、この3点のテクストを主に収録した刺激的な論考集。機械はすでに女性であり、女性的能力であり女性的肉体組織の一側面であるから、支配も威嚇をしない機械に対して責任を負う、と、ダナ・ハラウェイは高らかに宣言する。「わたしたちはすでにみなサイボーグなのだ」と。

  • 「私は、女神よりは、サイボーグになりたい」

    2009年公開のアニメ映画『イノセンス』(『攻殻機動隊』シリーズの中の一作)に登場する「ハラウェイ博士」の名前の由来となった「ダナ・ハラウェイ」の有名なフレーズ。

    女性の身体に神秘性を見出したり(スピリチュアル・フェミニズム)、女性らしさを礼賛されて女神として崇め奉られるよりは、無機質なサイボーグになりたい。

    個人的に身体嫌悪を極めていたころに、共感して、救われたフレーズ。(とはいえ、やっぱり、サイボーグやロボットのような理路整然とした存在にはなれないな、という、諦観や納得につながっていたのですが……)

    (北村紗衣さんの論考「フェミニストの私が、魔女になることを諦めた理由」(『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』収録)もおすすめ https://note.com/kankanbou_e/n/n7ec8c1b1f945 )
    (ダナ・ハラウェイ研究者である「逆卷しとね」と”現代魔女”の実践者「円香」、「まどかしとね」による2024年発行のZINE『サイボーグ魔女宣言』がオモシロイです。「男らしくない」「女らしくない」「人間らしくない」トランスジェンダー~ノンバイナリーの世界、「人間観」を拡張する実践。エコロジカル・フェミニズムほか、SFやファンタジーに惹かれるなら是非)

    SF映画に登場する「理想の女性像」としての「女性型サイボーグ」「女性型ロボット」に興味関心あるひとにおすすめ。

    また、「機械化・自動化によって職を失う女性たち」についての指摘あり。(NASAの計算手たちのエピソードについては映画『ドリーム』を)「AIの普及によって人間の仕事が奪われる」という惹句より以前から、女性たちは機械化によって家事労働から解放される、という経験を積み重ねてきたと気付かされます。

  • ダナ・ハラウェイ「サイボーグ宣言」★★
    サミュエル・ディレイニー「サイボーグ・フェミニズム」★
    ジェシカ・アマンダ・サーモンスン「なぜジェンダーを呼びもどすのか?」★★★
    ダナ・ハラウェイ、巽孝之「サイボーグ・フェミニズムの文学」★★★
    巽孝之「M・バタフライ、あるいは」★★
    小谷真理「サイボーグ・フェミニズムの新世紀」★★★

  • 構造主義の知識を少しずつではあるが理解してきたので、今度はポスト構造主義といわれる著作を読んでみようと思い、本書を読み始めた。本書は個人的にはかなり衝撃的な著作である。構造主義(西欧科学)の基本概念である差異における二項対立を解体するサイボーグは現代の複雑な情報化社会、多文化社会での主体のありようを説明するための隠喩として用いられる。本書は認識に必要とされるべき境界を解体し、複合的なものの存在を提起する。本書で取り上げられたSF小説もぜひ読みたいと思った。

  • この論文良い!たぶん悪いこと言っているわけじゃないと思うし、感覚で適当に読んでても興奮した!
    また「サイボーグ・フェミニズム」についての論考が三つ入ってて、ひとつの論文が多面的になる感じも良かった!

  • 1300 馬場ブコフ

  • 読み始めて暫くの間は意味を取ろうと四苦八苦していたが,そのうち諦めた(笑)
    何せ基軸になっているハラウェイの文章が論旨飛躍満載で,文章でつっかえつっかえ読むより肉声でシャウトしてるのを聴いた方がいい感じ.今ならポッドキャストで音声出版した方がいいんじゃなかろうかと.スライドショー風に図版も入れられるし.

    また,併載されている注釈や評論も,理解を佐けるには殆ど役立たない,というより理解を佐けるための編集構成ではないから,生真面目に意味を拾って行っても,ますますわけわからぬことになるであろう.

  • 半分はゴミと考えても、残りから得る足場の高さは他に代えがたいかも知れない。ともあれ再読して自分のなかでの価値や位置をもう少し確定したい。

  • 未読

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著者プロフィール

1944年生まれ。コロラド州デンヴァー出身。1972年、イェール大学にて生物学の博士号を取得。ハワイ大学、ジョンズ・ホプキンス大学で教鞭をとり、1980年、カリフォルニア大学サンタクルーズ校人文科学部意識史課程教授に就任。文理融合型のフェミニズム理論を推進する。現在、同大学特別名誉教授。主な著書に『猿と女とサイボーグ』、『犬と人が出会うとき』(以上、青土社)、インタヴュー集『サイボーグ・ダイアローグズ』(水声社)、共著に『サイボーグ・フェミニズム』(水声社)がある。

「2013年 『伴侶種宣言 犬と人の「重要な他者性」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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