民事訴訟実務と制度の焦点: 実務家、研究者、法科大学院生と市民のために

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  • 判例タイムズ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (752ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784891861254

感想・レビュー・書評

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  • 裁判官から見た民事訴訟手続き全般についての本。
    2005年から判例タイムズに連載されていた原稿を加筆整除したもの。
    法律にかかわる人が、裁判実務のリアルなところを知りたいと思うときに是非とも読むべき本だ。
    サブタイトルに「市民」と入っているのは、司法記者や人文系の研究者、理系の専門知識が必要な訴訟が増えているために医師・理系研究者をもターゲットにしているから、ということだ。

    とても解りやすい文章で、まるで裁判官の生の声が聞こえるよう。
    また、エレガントな物腰の文章なので、これはこういうことなのだろうと行間を読むのも楽しい。いわゆるビジネス本やノウハウ本とはまったく異なるスタンスで、ところどころは痛烈で、読んでいて心が穏やかになる(笑)。


    「ここで、通常の訴訟手続においても、同様に、当事者の主張立証のあり方や裁判官の争点整理のあり方の相違が訴訟の帰趨に影響しうるかという問題について述べておきたい。
    従来の議論においては、裁判官の意見は、「それはあまり影響しない、勝つべきものが勝つのが民事訴訟である」といったものがいずれかといえば多かったように思う。それに対しては、研究者サイドから、本当にそうなのかという疑問が寄せられることがあった。
    筆者は、結論からいえば、通常の民事訴訟手続においても、仮の地位を定める仮処分命令手続の場合と同じく、その勝敗が当事者の主張立証のあり方によって左右されることはありうると考えるほうである。」

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著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。東京大学法学部卒業。1979年から裁判官。2012年明治大学教授に転身、専門は民事訴訟法・法社会学。在米研究2回。著書に、『絶望の裁判所』『ニッポンの裁判』(第2回城山三郎賞受賞)『民事裁判入門』(いずれも講談社現代新書)、『檻の中の裁判官』(角川新書)、『リベラルアーツの学び方』『究極の独学術』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『教養としての現代漫画』(日本文芸社)、『裁判官・学者の哲学と意見』(現代書館)、小説『黒い巨塔 最高裁判所』(講談社文庫)、また、専門書として、『民事訴訟法』『民事保全法』『民事訴訟の本質と諸相』『民事訴訟実務・制度要論』『ケース演習 民事訴訟実務と法的思考』(いずれも日本評論社)、『民事裁判実務と理論の架橋』(判例タイムズ社)等がある。

「2023年 『我が身を守る法律知識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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