淋しかったからくちづけしたの: 林静一傑作画集少女編

著者 : 林静一

• パルコ (2005年2月1日発売)

作品紹介・あらすじ

あふれる叙情、胸に刺さる切ない一冊。

感想・レビュー・書評

[中村佑介さんの感想 · 2013年8月21日]

漫画家・イラストレーター、アニメーター、そして現在は画家としても活躍されている林静一先生の現在書店で購入できる唯一にして、今までで一番作品点数の多い画集である。

この画集には"竹久夢二の再来"と言われたのも頷けるほど影響の色濃い時期の初期作品から、仙台銘菓『萩の月』のビジュアルイメージ、また子供向けに描かれたものに至るまで、数多くの作品が掲載されているが、その中でももっともポピュラーなのはやはりロッテ"小梅"キャンディーのパッケージイラストだろう。

"西洋的である"という事が今以上に絶対的価値を持っていた80年代のポップカルチャーにおいて、あの日本人以外の何者でもない少女のキャラクターに日本中の人が心を奪われた。あいにく筆者は梅風味のもの全般が苦手だった為、子供の頃にパッケージだけ見ては惹かれつつも、実際に食べてみたのは大人になってからだ。すると驚くことに、イメージよりずっと酸っぱくないのである。しかし酸っぱいものが欲しい時になぜかまた択んでしまうのは何故だろう。

つまり僕らはパッケージのあの少女に自分の初恋を重ねて、キャンディ本来の味よりずっと甘酸っぱさを感じているのではないだろうか。その証拠にみんな彼女の事を"小梅ちゃん"と呼んではいないだろうか。もう一度言うが、あのキャンディの商品名は"小梅"、なのである。

そのように、力を持った少女の絵とは、想い出の中で本物の人間と錯覚してしまうものを指すのである。そしてやはりこの本を閉じた後も、"読み終わった"や"観た"ではなく、"会ってきた"、そんな温度がここにずっと残るのだ。

[ユウロさんの感想 · 2016年8月21日]

新刊の大判画集を前に再読。ハンディなサイズに憂いのある横顔の美少女たちが儚げな風情で収まっている。個人的には源氏物語の再録があるのがうれしい。解説で「これは林静一版『少女コレクション序説』である」と語られていたが、その通りである。けっこうきわどい絵もあったりするがどこかつくりものめいた白い肌の少女たちからは白痴美を感じゾクリとした。和風から現代風まで様々な林静一の画業が凝縮されている一冊。

[19120さんの感想 · 2015年12月27日]

タイトルが秀逸すぎる。

[みとさんの感想 · 2015年2月24日]

女性の繊細さとエロス
少女の白い肌に細い首筋、俯いた目の表情…。
林静一さんって言ったら小梅ちゃんが有名だけど、それだけじゃないんです！こんなにも色気のある、美しいイラストを沢山描かれているんです！
ただ、あの絵。赤い背景の中の刀持った少女の絵、あれが見られると思い込んで買ってしまったんで、それだけが悲しかったです。。。
あの絵はどの本で見られるんだろう。

[yoimachigusaさんの感想 · 2013年4月1日]

圧倒的な画力があります。ただ可愛いとかきれいなだけではなかったのだと気づきました。

[zon-bさんの感想 · 2012年9月9日]

小梅ちゃんしか、知らなかったけど、少女から、大人の女性まで描かれるんですね。
なんか、初々しさと、エロスが入り混じる作品集。

[nauschkaさんの感想 · 2011年8月21日]

少女の可憐さと、無垢なエロさが相俟って
突き抜けきれてない突き抜け感がよい。
そんな林さん一流の世界観を満喫できる画集。

[猫武炸成さんの感想 · 2010年10月20日]

2010年10月20日

装丁/東學
監修/桑原茂夫

[mamitiさんの感想 · 2010年5月3日]

赤色エレジー貸してもらって、まぁ、かっこよかったので、画集かいました。
小梅ちゃんはしってたけど、かわいい～☆

[まいこさんの感想 · 2010年1月23日]

えろーい！

著者プロフィール

1945年に満州で生まれる。62年東映動画に入社、「狼少年ケン」などの制作に参加。67年「ガロ」にてマンガ家デビュー、 70年に連載を開始した「赤色エレジー」があがた森魚のヒット曲のモチーフともなり、一大センセーションを起こした。テレビCMやNHK「みんなのうた」のアニメーション、絵本など、幅広いジャンルに表現領域を広げ、74年アートディレクターを務めたCF「ロッテ小梅」で数々の賞を受賞。

「2021年 『林静一コレクション 又吉直樹と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」