レジナルド (サキ・コレクション)

  • 風濤社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784892193958

感想・レビュー・書評

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  • 前回読んだ(クローヴィス物語)時は「飼い犬のリードをうまく操縦できない飼い主」のような気分に陥ったので、どうしたものかと思っていたが今作は非常に楽しめた。皆さんが当時の英国文化を理解しないことには。と書かれていたので、注釈をパタパタめくりながら読みました。全編通してレジナルドの物言い(なぜか年上女性とばかり)で構成されているのに、主人公ではないという設定が好きだな。 レジナルドは利発で頭がいいだけで、空気読まない意地悪な感じはしなかった。デモデモダッテ人間よりだいぶ好感持てます。

  • 評価しない。
    自分以外の対象を辛口に批評する場合、自分にもその批評の矛先が向けられる恐れがあると意識できるか、つまり、自分も完璧な人間たりえず、他者を切るには自分も血を流す覚悟が必要であることを自覚できているかで、純文学作品の深みも決まる。
    とすれば、高慢でペダンチックで直情的で独りよがりの『レジナルド』に深みはない。自分は高みから物を言っている。自己の論理矛盾をこの男は絶対に認めないし、それを(一般にわかる)ユーモアでかわす余裕もない。
    比較すればさらによくわかるだろう。
    まず、シェイクスピアの道化。リア王しかり、結局沙王の道化は忠義心なり、我を秘めつつ、皮肉りながらも何かを諭そうとするところが根底にある。これに対し、レジナルドにはそれがない。
    次に、ワイルドとは、世紀末の退廃性が似通うし(時代背景)、警句調も似る。しかし、ワイルドの方が鋭いし、普遍的だ。サキのそれは、イギリスのエドワード7世時代の上流階級という限られたそれに対してしか妥当しない。日本受けしないのはわびさびを欠く点のみならず、国も時代も違うという点も指摘されなければならない。
    最後に、日本的には(私は必ずしも好きではないが)、O・ヘンリーのような分かりやすい説話的なものの方が好まれるのだろう。芥川や志賀直哉が好まれる風土がある。
    以上より、自己陶酔的なレジナルドには純文学的な深みが欠けるから、私は本作品を評価しない。

  • もっと教養があれば楽しめるのだろうに、と読書をしながら思うことはしょっちゅうだけれど、この本には最初から最後までその悔しさしかない!
    ヘコむわ…本の内容じゃなくて自分にヘコむわ…。
    と言って、全て理解出来たところで、あてこすりや皮肉、ブラックユーモアに満ちたこの作品を好ましく思うかはわからないのだけど…。
    サキは他に短編数編読んでいるものの、今のところあまり好みではない。
    意地の悪い作者は好きだけど、さじ加減が合わなくて…。

  • 挿し絵にひかれて読んでみた。不思議な本だ。

  • サキ・コレクションの第1弾。
    サキというと先頃、白水Uブックスから『クローヴィス物語』が刊行されたばかりだが、こちらは風濤社から。
    相次いで刊行された短編集の主人公に共通点が多く見られるのは面白い。
    造本も凝っていて、本文用紙には薄いグレーの紙を使用している。このグレーが挿絵の画風とぴったりだ。サキの挿絵と考えるとややおどろおどろしさが勝っているような気もするが、絵自体は好み。
    続刊も出るようなので楽しみだ。

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著者プロフィール

Saki.
1870 - 1916.
作家・ジャーナリスト。
本名はヘクター・ヒュー・マンロー(Hector Hugh Munro)。
インド帝国警察に勤務したのち、ジャーナリストとして活躍。
そのかたわら数多くの短篇小説を執筆し、
短篇の名手と称される。第一次世界大戦時に軍に志願し、
フランスにおいて絶命。
近年の邦訳に
『サキの思い出 評伝と短篇』
(エセル・M・マンロー、ロセイ・レイノルズ、サキ 著、
花輪涼子 訳、彩流社、2017年)、
『四角い卵  白水Uブックス』(和爾桃子訳、白水社、2017年)、
『平和の玩具  白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2017年)、
『けだものと超けだもの 白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2016年)、
『クローヴィス物語 白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2015年)、
『ウィリアムが来た時』(深町悟訳、国書刊行会、2019年6月)、
『サキ短編 『スキャンダルの行方』 Kindle』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services International,
Inc.、2019年)、
『サキ短編 『ビザンチン風オムレツ』』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services
International,Inc.、2017年)、
『サキ短編 『ラプロシュカの魂』『困った雄牛』』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services
International,Inc.、2017年)ほか。



「2019年 『鼻持ちならぬバシントン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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