「いい家族」を願うほど子どもがダメになる理由 -誰も気づかなかった成果主義家族の落とし穴

著者 :
制作 : 藤川 進 
  • ハート出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784892955945

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  • 家庭に「成果主義」はなじまない。
    著者の主張はこの一言に尽きるのである。

    お金を稼がなければならない仕事においては、プロセスもさることながら何より結果が求められることは当然である。ところでそうした考え方が、家庭に持ち込まれてはいないだろうか、と著者は問うのである。

    家庭が円満である状態を保つことが子どもを「いい子」に育てることと近い意味を持つのであれば、著者の指摘はまさに的を射たものとなる。
    親の目の前で言うことをなんでもよく聞く「いい子」。
    親の言うとおりの友達選びをする「いい子」。
    親が望むとおりに(言葉にする、しないにかかわらず)よく勉強し、レベルの高い学校に入る「いい子」。

    我々は子どもにこのような姿を望み、暗にそうなるよう促してはいないだろうか。これらはすべて子どもに「結果」を求める、とてつもなく大きなプレッシャーとなる。耐えられなくなった子どもは自らの心を閉ざし、あるいは暴発させ、ようやく「逃げ道」を作るのである。

    私も父親として、結果ではなくプロセスを大事にした家庭生活を送りたいものだ。本書に紹介されるような事例は、「必ずそうなる」ものではないだろうが、「どの家庭にも起こり得る」ものであることは自明である。ゆったりとした心で子どもの成長を見守る親に、自ら成長してゆきたいと強く思う。

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著者プロフィール

静岡県出身。子ども家庭教育フォーラム代表。教育・心理カウンセラー。
相談活動を“生業”にし、30年以上にわたってカウンセリング・マインドの生活・日常・庶民化を心がけている。この間、千葉明徳短大幼児教育科客員教授、千葉大学教育学部非常勤講師、文京学院大学生涯学習センター講師を務め、相談員、教育・福祉臨床を目指す人たちと「関係性」に依拠したカウンセリングを学び合っている。千葉県松戸市在住。

「2021年 『「還る家」はありますか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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