出雲王朝の隠された秘密―浮かび上がる古代の神々と国のかたち (ベールを脱いだ日本古代史III)
- ハート出版 (2013年5月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784892959233
作品紹介・あらすじ
60年に一度の遷宮で注目の巨大パワースポット・出雲大社の謎。元半導体エンジニアの「高次意識」研究家が明かす。
感想・レビュー・書評
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「本が好き」様より、献本でいただいた一冊となります。
『ハーバード白熱日本史教室』と同じく、理系の方による「歴史」の紐解きな感じで。
シリーズ3作目とのことで、前2作を読んでいる前提の箇所がちょっと多いかな、
個人的には興味のある分野ですので、遡ってみようかな、、と思いますが。
恐らく、邪馬台国が連合国家として君臨していた前提の論調も、
その辺りが影響しているのかなぁ、、とは思いました。
「歴史学者が唯物史観の呪縛から解き放たれ、歴史を研究する上で、
『記紀』をまともな資料と見るようになったのは最近のことのようである。」
なお、前半から中盤にかけて述べられている事は至極真っ当で、
社会への還元との視点が欠けている時点で、考古学はやはり補助学だなと実感です。
後半にやや神憑り的になってくるのは、この著者さんの作風なんですかね。
「情報がおりて来た」は、諧謔にしても、ちょっと首をかしげてしまいました。。
さて、出雲とヤマト勢力の関係について、個人的には、、
天孫降臨と、出雲における国譲りの儀式は、
ヤマト王朝が日本を統一していったモデルケースの一つと見ています。
そういった意味で、他の有象無象の国々(勢力)も、出雲と同じように、
ある程度の正当性を担保されて継承していったのではないかなと。
実際は血で血を洗う戦乱を経たのでしょうけども。
出雲の系譜もさかのぼれば、元はアマテラスと姉弟神となる、
スサノオに行きつきます、、となると、結局は、同族での争いかなとも。
また当時の稲作の伝播状況などを考えると、
大陸からの帰化民族と、ポリネシア系の帰化民族が、
九州でまぜこぜになって、一大勢力となったのかなぁ、とも。
その過程で、複数に分かれた民族が、九州から出雲に、
そして、出雲から機内、そして諏訪に移っていったのかなぁ、、とも。
スサノヲのヤマタノオロチ退治の逸話も、
鉄器を扱う民族との融合(ないしは征服)とも見れそうですし。
ちなみに最近の稲作伝播の研究だと、大陸から日本列島に定着し、
その後、朝鮮半島に渡ったとの見方もあるようです。
今後、この辺りの事実が整理されてくると、
もうちょっと興味深い説も出てくるのかなぁ、、と。
邪馬台国論争も、単体の国家ではなく連合国家とみれば、
九州にも機内にも、その正当性を謳う政権があったと言えそうですし、、
なんてのは、さすがに乱暴ですね。
何はともあれ、文化に根付いた「大きな物語」を作るのは、
歴史学の社会責任でもあり、社会的有用性の一つでもあると思います。
自省も込めて、先の大戦後の歴史学界はその責任を放棄してきたよなぁ、、
なんて、E・H・カーがその著書『歴史とは何か』で述べている、
「自分で考えるという面倒な義務から歴史家たちを免れさせる」
との言葉を反芻しながら、さて、次の世代にどう伝えていこうかな、とも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ベールを脱いだ日本史シリーズ完結。
この巻ではほとんどヘミシンク関連の内容はなく、意外。
考古学や古代史の方法論はわからないので専門家はどう思うかわかりませんが、(方法はともかく受け取った)情報を元に仮説を立て検証し、まとめていく過程は読んでて唸らされました。
とはいえ、やはり全体としてはヘミシンク技術や体験に理解ある人向け。
ヘミシンクやアセンションに関係なく進んでさあ終わり、というところでこの本は必要な人のところへ届くのだというくだりで納得。