踊り候え

著者 :
  • 風来舎
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本棚登録 : 27
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784893019998

感想・レビュー・書評

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  •  海外を転々としたり、国内でも一つ所に留まらなかったり、流浪の匂いがする。安定したら描けないんだろう。そういうひとだったんだろう。
     絵画でも文学でも、ショックを与えられるようなものがいいというのに共感した。平穏なものも悪いわけではないけど。
     生きていると、どうしようもないものがまとわりつく。そのどうしようもないものをどうにかするために、絵を描いたり文章を書いたりする。常々感じていたことだけど、芸術って、そういう飢餓を満たすためというか欠損を埋めようとするエネルギーから発動されるんじゃないかなと改めて考えた。

  • (2006.05.09読了)(2006.05.05購入)
    5月5日、古書店の好きな神さんが帰宅すると、鴨居玲の本があったので、買って来たよ、と言う。見てみるとこの本だった。神さんというのは便利なもので、だんなの趣味を心得ているので、古書店で、この本を見つけたときだんなが鴨居玲を好きなことを思い出して、買ってきたというわけです。
    鴨居玲の作品を見たのは、1970年代に銀座の日動画廊でだったと思います。生きることに絶望したような酔っ払いに衝撃を受けました。
    それ以後は、どういうわけか東京近郊で、鴨居玲を見る事はありません。広島出張の際にひろしま美術館で、数点見ることができたときは嬉しかった。
    ネットで調べたら、5月14日まで、ひろしま美術館で、没後20年展が開かれ、5月20日からは、長崎県美術館で開かれるということです。今回も東京近郊での予定はありません。残念です。

    この本は、鴨居玲の死後、彼が雑誌や新聞に書いたものを集めて、編集したものです。鴨居玲のファンとしては、彼の肉声が聞けるような気がするので、嬉しい限りです。幾つかの絵も収められています。

    【目次】
    Ⅰ 私の村の物語
    Ⅱ それも人生、これも人生
    Ⅲ 画家の声
    追想

    ●ラテン系の人々(16頁)
    南のラテン系の人々は、面子にこだわり、義理人情を云々して、そして涙もろい。南米のブラジルにいたっては、「この世に金と友情で解決できない事はない」などと表現する。
    ●急行はなぜ高い(58頁)
    マノロ君の奥さんが、突然駅員に向かって「なぜこの汽車は、マドリードまで少ない時間なのに、同じくマドリードまでの他の長い時間の汽車より、値段が高いのか・・・?」と怒鳴り始めた。(長い時間がかかるなら値段が高いのは分かるけど、短いのに高いのは納得できない、というのは、もっともです。)
    ●出発時間(94頁)
    午前10時。11時発の飛行機のためにチェックイン。ところが、相手はいとも冷ややかに「お客様これは帰りの飛行機で、新潟行きは午後一時でございます」と言う。あらゆる呪いを吐きながら、空港のレストランで、ひたすら飲む。
    ●自己嫌悪の日々(101頁)
    さてこの私、慣れぬ文章で四苦八苦、加えてこの数年、壁に突き当たったようで思うように絵も描けずに、酒びたりの放蕩無頼の日々、ますます自己嫌悪に陥るばかり。しかし悩んでばかりいても道の開けるはずのものでもない。絵を描くという一種の手仕事の世界には、直接、体で考える部分もあるのではないだろうかと、ほんのわずかな「もしや」に期待をかけて、一昨年春より百枚の裸婦のデッサンをと念じ、以来病院に通う以外はほとんど外出なしの生活。(1980年6月)
    ●望み(111頁)
    「神様、いっぱいの酒と、美味しいチーズさえありますれば決して大それた贅沢な事は望みませんゆえ、何もしないで過ごせるような人生を、おあたえ下さるわけには参りませんか・・・」
    ●若い人物を描かないのは(167頁)
    今まで若い人を描かなかったのは皺がないんですよ、彼らには。人生の何かが出てこないんだな、のっぺらぼうで。
    ☆関連図書
    「一期は夢よ 鴨居玲」瀧悌三著、日動出版、1991.09.07

    画家 鴨居 玲
    1928年 石川県金沢市生まれ(一説によると、1927年大阪府生まれ)
    金沢、ソウルで小学校時代を過ごした
    1940年 関西学院中等部に入学
    1946年 金沢美術工芸専門学校に第一期生として入学
    1948年 第二回二紀展にて初出品、初入選
    1949年 二紀会同人に推挙
    1950年 金沢美術工芸専門学校本科洋画専攻科を卒業
    1969年 第十二回安井賞展にて安井賞を受賞
    1971年 スペインに渡る
    1973年 第二十七回二紀展にて文部大臣賞を受賞
    1976年 スペインからパリに移る
    1977年 パリから帰国
    帰国後は、神戸に居を定める
    1985年9月 死亡

  • 画家 鴨居玲さんの本です。数点の絵画も紹介されています。

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鴨居玲の作品

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