小説「安楽死特区」

著者 :
  • ブックマン社
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レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784893089274

作品紹介・あらすじ

2024年、日本で「安楽死法案」が可決した。東京オリンピックが終わり、疲弊してゆくわが国で、病を抱え死を願う男と女が、国家の罠に堕ちてゆく・・・。

感想・レビュー・書評

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  • 現役の医師が書いた、安楽死がテーマの小説。

    2024年、疲弊しきった日本の高齢者対策の一つとして、政府は合法的に安楽死ができる「安楽死特区」を設置、そこでの安楽死をめぐる議論と、集ってきた人たちのそこに来るまでの各人のバックグラウンドストーリーを通して、安楽死の必要性の有無を読者に考えさせる内容となっている。

    100歳社会と言われるようになった時代において、長生きは健康面、生活費等の観点から高リスクとなることからも、個人的には、一定の条件付きではあるが、安楽死を合法化は一つの施策として真面目に議論されるべきではないか、と感じた。

  • めちゃめちゃ近未来の4年後のお話。東京五輪が失敗し、もうすぐそこに見えているのが恐ろしい。書いてるのがお医者さんだけあってその辺リアリティが凄い。

    日本の超高齢化社会の財政逼迫の解決手段として、安楽死特区を作ってみてそれをスタンダードな政策に出来ないかと実験的にやってみたお話。いわゆる緩和ケア、ホスピス的なこと。でもその特区に住むには条件があって、身体及び精神の耐えられない痛みが伴い、回復する見込みがないまたは代替手段がなく、本人の明確な意思表示がある場合。

    そこで認知症の場合はどうなか?などと本当に昨今の課題が描かれていた。そろそろ尊厳死のことも真剣に議論なされないといけないのか。興味深く読めたけど、ただ物語的にはいまいち。

  • 内容紹介
    死にたい、と願うのはエゴですか?
    生きていて、と望むのは愛ですか?

    このごろ、「早く日本でも安楽死を認めてほしい」という人が増えた。 その先にどんな未来が待ち受けているのか、書きたかった。

    2024年、日本で「安楽死法案」が可決した。東京オリンピックが終わり、疲弊してゆくわが国で、病を抱え死を願う男と女が、国家の罠に堕ちてゆく・・・。

    『平穏死10の条件』『痛くない死に方』他、終末期に関する多くのベストセラーを出している著者が、渾身の想いで書き下ろした初の本格医療小説!


    内容(「BOOK」データベースより)
    まだここだけの話、ということで“安楽死特区”構想についてざっくり説明しますね。国家は、安楽死法案を通そうと目論んでますよ。なぜなら、社会保障費で国が潰れそうだからです。しかし国民皆保険はどうしても維持したい。それならば、長生きしたくない人に早く死んでもらったほうがいい、そう考えています。ベストセラー医師による、初の本格医療小説。





    著者は医師ということもあるせいか とても考えさせられる内容だと思います。
    日本は老人でいつか溢れ返る可能性がある未来について何か対策はあるのかな?と歳をとるとともに強く感じています。
    15年位前に父親が急死し どんどん歳をとるにつれ 死については何かしら考えることも多くなっています。
    人はなかなか死について 真剣に考えることがあまり出来ないと思いますが 死は誰にでも平等にやってくるものだと思っています。
    家族に もしかの時はどうして欲しいか...とかって話をすると とても現実には受け入れられないのか嫌がります。
    でも そういう話をすることはとても大事なんじゃないかと私は思っています。
    今の私は長生きはしたくないと思っていますが 安楽死を望むかと言うとまだわかりません。
    しかし、延命治療は望みません。
    難病でスイスでの安楽死を選んだ方の番組を観ましたが あれ程楽に逝けるならと思いがちですが あの方の人生は壮絶な人生だっただろうと想像することしか出来ないので 今の私には是非はわかりません。
    死について考えることをすると 今生きることについてもとても前向きになってる自分を感じています。

  • 末期ガンや認知症や進行性の難病などから逃れ、自分で死期を決める安楽死の是非を提起する。日本では安楽死が法制化されていない。近未来、2025年に東京のど真ん中に安楽死特区を設立して合法化される話。医師による投薬は自殺幇助や殺人罪に問われない絶対条件のもと本人の意思が尊重される。医療保険制度の破綻、財政の逼迫により無駄な医療しないという狙いが命と経済を天秤に掛けたとも。過剰な医療は自然に枯れて逝くことを阻害し無理やり生かしておくことに、尊厳死はこれからの課題ともいえるのではないかと感じた。

  • 当事者になったら切実な問題だわ。

  • いつかこんな日が来るのだろうか、もういないと思うけど。

  • 柿谷さんの70歳死亡法案以来。タブーに踏み込んで高齢者問題に真っ向から。コロナでいっそう深刻に。小説としては、人間描写や情景描写に難ありだけど、一気に読了。

  • +++
    ~日々、死と向き合っている医師だから書けた、現代人のエゴイズム、そして愛と情~

    まだここだけの話、ということで“安楽死特区”構想についてざっくり説明しますね。国家は、安楽死法案を通そうと目論んでますよ。なぜなら、社会保障費で国が潰れそうだからです。しかし国民皆保険はどうしても維持したい。それならば、長生きしたくない人に早く死んでもらったほうがいい、そう考えています。ベストセラー医師による、初の本格医療小説。
    +++

    日進月歩する医療の進歩と超高齢化社会という、ありがたいのかそうでないのか判断に迷う現実に切り込んでいて興味深い。ひと昔前は、当たり前のように施されてきた延命治療であるが、それを選ばない自由は保障されつつある現代ではある。だが本作には、2025年という、間近に迫った未来に起こり得る現実が描かれていて、目前に迫っているだけに切迫感がある。開業医の鳥居が言うように、枯れるようにして逝けるのがいちばんだろうが、なかなかそうはいかない現実で、安楽死という選択がどう扱われるのか、わが身のこととなった時にどうするのか、さまざま考えさせられる。医療現場のことはともかく、政府の目論見があまりにも身勝手で、呆れかえる。改めて、ぴんぴんころりで逝きたいと思わされた一冊である。

  • 既に日本の医療保険制度は崩壊してると思う。医療の進歩、高価な薬、高齢者の増加など。これからは、一定の年齢になったら、濃厚治療を保険で行わず、自費で行うのも仕方ない。金持ちが長生きする時代が来るのだと思う。
    そこにこの安楽死問題は欠かせない。筆者はあとがきで「現実にならないことを祈る」そうだが、それでいいのだろうか?
    事件となって失敗に終わってしまった安楽死特区。安易に逃げてないか?
    初めはソフトランディングにならざるをえないだろう。将来、といわず、今すぐにでも具体化しなきゃダメなのではないか?
    誰も鈴をつけにいかない日本。

  • 小説の中の「安楽死特区」がこういう状況になるとは…残念に思う部分もあるが
    様々な考え方があるだろうと思う。

    自分は無理に長生きしたいとは思ってないけど
    この先もずっとそうかわからない。
    考えるきっかけをくれた小説だった。

    あと「自殺しようとした人は罪に問われないが
    それを手伝った人は罪になる」ことにはっとした。
    ----
    がんや認知症で死ぬ人が多いのは、長寿国の証だ。107
    まもなく歩けなくなる私にとって、歩くという名前は希望な見えます。でも、このメッセージに落胆したのならば、会ってほしくはない。同情だけで会いたいと言わないでほしい。すでにもう充分に傷ついているので109

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著者プロフィール

長尾和宏(長尾クリニック院長)
1984年 東京医科大学卒業 大阪大学第二内科入局
1984年 聖徒病院勤務
1986年 大阪大学病院第二内科勤務
1991年 市立芦屋病院内科勤務
1995年 尼崎市に長尾クリニッック開業、現在に至る
[役職]日本慢性期医療協会 理事、日本ホスピス在宅ケア研究会 理事、日本尊厳死協会 副理事長・関西支部長、日本在宅医療連合学会 評議員 他多数
[所属学会]日本在宅医学会、日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本認知症学会 他多数
日本医事新報にて「長尾和宏の町医者で行こう!!」連載中

「2020年 『あなたも名医!医師にとっての地域包括ケア 疑問・トラブル解決Q&A60【電子版付】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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