小説「安楽死特区」

著者 :
  • ブックマン社
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784893089274

作品紹介・あらすじ

2024年、日本で「安楽死法案」が可決した。東京オリンピックが終わり、疲弊してゆくわが国で、病を抱え死を願う男と女が、国家の罠に堕ちてゆく・・・。

感想・レビュー・書評

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  •  ちょっと、いや…だいぶ重~いタイトル!東京オリンピック後の日本…高齢社会により社会保障費が増大し国の財政状況は悪化の一途を辿っていた…。2024年、国と東京都はオリンピック関連施設やその周辺住宅地や施設を買収するとともに、法整備をすすめて「安楽死特区」をスタートさせた。末期がんで余命宣告を受けている元副都知事、難病を発症し日常生活に介護が必要となった元薬剤師は恋人であるカメラマンと共に、そして認知症の診断を受けた女流作家が、安楽死を望み移り住むことになったのだが…。

     自分らしく、自分で自分のことがわかるうちに死にたい…それが自らの思いだとしても、家族は納得できないケースも多いですよね。自分がちゃんと意思表示できるうちにと、エンディングノートをつけたり、家族と前もって話をしておくのも必要なのかもしれません。

     でも、この作品は『小説「安楽死特区」』と銘打ってある通り、小説です!ラストの意外な展開に驚きました。なんで…??どうして??こうなっちゃうのか…が、自分の中で腑に落ちないんですよね…。

    • aoi-soraさん
      かなさん
      ずいぶん恐ろしげな本ですね(⁠(⁠(⁠;⁠ꏿ⁠_⁠ꏿ⁠;⁠)⁠)⁠)
      遠い未来の話でなく、現在か。
      読みたいような読みたくないよう...
      かなさん
      ずいぶん恐ろしげな本ですね(⁠(⁠(⁠;⁠ꏿ⁠_⁠ꏿ⁠;⁠)⁠)⁠)
      遠い未来の話でなく、現在か。
      読みたいような読みたくないような…
      2024/02/06
    • かなさん
      1Q84O1さん、おはようございます!
      そうなんですよ~このタイトルにやられますよね!!
      で、いつか読もうと思っていて
      やっと読めたん...
      1Q84O1さん、おはようございます!
      そうなんですよ~このタイトルにやられますよね!!
      で、いつか読もうと思っていて
      やっと読めたんですが…
      ちょっとリアリティありすぎて怖い感じでした(;・∀・)
      2024/02/07
    • かなさん
      aoi-soraさん、おはようございます!
      そうなんですよね…著者の長尾さんは現役のお医者様で、
      だからだと思うんだけれど、リアリティが...
      aoi-soraさん、おはようございます!
      そうなんですよね…著者の長尾さんは現役のお医者様で、
      だからだと思うんだけれど、リアリティがあって、
      なんか、「安楽死特区」もし作られたら…とか思っちゃったり…
      でも、ラストは思いがけない展開でしたね…。
      2024/02/07
  • 読友さんの感想を読んで興味を持った作品。東京都に設置された「安楽死特区」。本人の自己決定権、特区であれば医師は自殺幇助に問われない、欧米との整合性、これを順守することで安楽死特区の効力が出てくる。孤独担当大臣・池端、小説家・澤井、薬剤師・酒匂が安楽死を実行するべくマンションに入居する。末期がん、認知症、多発性硬化症、3人がそれぞれの(身体的・精神的)痛みは本人にしか分からない。これを家族が理解しようとしてもやはり難しいのだろう。しかし、えええっ!1番目に実施した池端の安楽死は大変なことになってしまった。

  • 安楽死法制定前の準備段階として安楽死特区を政府がスタート。その裏に医療保険制度崩壊を乗り切る政府のある目論みが隠されていた。作中の発砲事件が不自然。

  • 尊厳死という言葉を初めて知った。本当に色々と考えさせられる。私の父の死は尊厳死だったのか。

  • コロナ禍前に書かれた医療小説。
    人はいかに生きるか、いかに死ぬか。
    苦しみ抜いて、苦しませ続けて、生きる、生かすべきなのか。どこまで自己決定が許されるのか。
    枯れるように死ぬ。それが叶えばベストだと思う。
    ただ恐れ遠ざけるのではなく、死を見つめ、受け入れ、生をよりよいものにするのが大事だと思う。
    死なない人はいないのだから。

  • 現役の医師が書いた、安楽死がテーマの小説。

    2024年、疲弊しきった日本の高齢者対策の一つとして、政府は合法的に安楽死ができる「安楽死特区」を設置、そこでの安楽死をめぐる議論と、集ってきた人たちのそこに来るまでの各人のバックグラウンドストーリーを通して、安楽死の必要性の有無を読者に考えさせる内容となっている。

    100歳社会と言われるようになった時代において、長生きは健康面、生活費等の観点から高リスクとなることからも、個人的には、一定の条件付きではあるが、安楽死を合法化は一つの施策として真面目に議論されるべきではないか、と感じた。

  • めちゃめちゃ近未来の4年後のお話。東京五輪が失敗し、もうすぐそこに見えているのが恐ろしい。書いてるのがお医者さんだけあってその辺リアリティが凄い。

    日本の超高齢化社会の財政逼迫の解決手段として、安楽死特区を作ってみてそれをスタンダードな政策に出来ないかと実験的にやってみたお話。いわゆる緩和ケア、ホスピス的なこと。でもその特区に住むには条件があって、身体及び精神の耐えられない痛みが伴い、回復する見込みがないまたは代替手段がなく、本人の明確な意思表示がある場合。

    そこで認知症の場合はどうなか?などと本当に昨今の課題が描かれていた。そろそろ尊厳死のことも真剣に議論なされないといけないのか。興味深く読めたけど、ただ物語的にはいまいち。

  • 読みやすくも感情が伝わってくる文章。
    作者が医者で本作が小説としては処女作だと知り驚いた。
    2024年の日本に安楽死特区が作られ、そこに関係する数人の人物を通して、安楽死は本当に正しいことなのか?また、辛く痛い思いをしている人を無理に生かすことは必要なのか、その両方を描いている。

    正直最後のどんでん返しよりも、そのまま安楽死していく人の心情を見ていたかったのが本音。
    それでも爽やかな読後感は十分にあり、読んで良かったと思える小説。
    この本を読んでの自分の意見
    「安楽死制度に賛成」

  • 日本尊厳死協会副理事長など数多くの役職を兼ねておられるドクターの著書。
    とても興味深く読みました。

    自分の死をどう選べるのかとても不安な中で
    リビングウイル、書いていますが……

    「尊厳死」と「安楽死」は全く違うのですね。
    貧乏な私はどうしましょうか?

    ≪ 生き切って 死ぬ時どうぞ 痛くなく ≫

  • 長尾先生の小説。
    先生の本音があちこちに書かれている。

    安楽死をテーマにした本はいろんな方が書かれているが、やはり考えても悩んでも答えが出ない

    実際にどんながんも完全に完治する未来がきたとしたら、亡くなる人が減ってますます超高齢化が進み、社会が立ち行かなくなると気がする

    将来、死に時を選べる日が来るのだろうか

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著者プロフィール

1958年香川県生まれ。医学博士、医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。東京医科大学卒業後、大阪大学第二内科を経て95年に兵庫県尼崎市で開業。一般社団法人 日本尊厳死協会副理事長・関西支部長。日本慢性期医療協会理事なども務める。ベストセラーとなった『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)、『病気の9割は歩くだけで治る!』(山と渓谷社)など著書多数。

「2022年 『完全図解 介護に必要な 医療と薬の全知識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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