猫町

著者 :
  • パロル舎
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本棚登録 : 510
感想 : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (86ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894191679

感想・レビュー・書評

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  • 前からずっと気になっていたシリーズ。「月に吠えらんねえ」を読んでいたら、今こそ読まねば!と思って借りた。

    パロル舎って素敵♪金井田さんの版画も趣があって、ついうっとりしてしまう。

    幼い頃の夕方の百貨店内で迷子になった不安感がよみがえってきた。迷い込んでしまった紺色の町が美しくって、何度も読んだ。版画と文字や行の配置が歪んでいるように見える部分があって、すごく圧縮や圧迫をこわかった…。(視覚的にこわいというか…不安を感じた)だけど雰囲気がたまらなくいい。不安で懐かしくって泣きたくなる。

    古い鉄道の転てつ器とか懐かしい。自分が生まれるよりも前の時代なのにね。ノスタルジー。

  • 詩人・萩原朔太郎、唯一の小説

    猫、猫、猫。どこを見ても猫ばかりの不可思議な町が登場する。それは、深い眠りのように寂しく、けれど、心地のよい暗さだ。詩人らしく幻想的な作品で、読者を未知の旅へと妖しく誘う。版画家・金井田英津子の装丁、挿絵も素晴らしく書棚に飾ると、にゃんとも絵になる。

    《錯覚された宇宙は、狐に化かされた人が見るのか》
    《理智の常識する目が見るのか》
    《そもそも形而上の実在世界は、景色の裏側にあるのか表にあるのか》

    第四次元の別の宇宙に迷い込みたい方は、ぜひ。 

  • 方向感覚がトチ狂った主人公(薬中)が、不思議な町に迷い込む絵本。

    「―――元来私は、磁石の方向を直感する感官機能に、何か著しい欠陥をもった人間である。そのため道のおぼえが悪く、少し慣れない土地へ行くと、すぐ迷子になってしまった。その上私には、道を歩きながら瞑想に耽る癖があった。(14頁)」

    ああ~~~私がいる(笑)
    (最近は下北沢でぐるぐる迷子しました。迷った分、色んな道を歩けるから、それで良いのだ。方向オンチはポジティブじゃないとやってられませんね。)

    萩原朔太郎。読了して思いましたが、太宰と同じくらい変わった人だなと。「竹」しか知らなかったから意外。
    金井田英津子の版画とイメージぴったりの良い絵本です。造りが細部まで凝ってる、大人のファンタジー。アニメDVDも出てるんですね。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      危ないじゃなく倒産していたようです。エフ企画に引き継がれたようなのですが、、、

      「大人向けの絵本として売り出せば」
      そうですよね、独特で良...
      危ないじゃなく倒産していたようです。エフ企画に引き継がれたようなのですが、、、

      「大人向けの絵本として売り出せば」
      そうですよね、独特で良い本を出されていたのに、、、営業力が足りなかったのかなぁ~

      「金井田さんなら『厄除け詩集』」
      他の出版社が引き受けてくださるか、再建されるか、、、消えて無くなるのは惜しい本です。
      2012/07/05
    • ダイコン読者さん
      倒産・・・;
      営業力かあ(==;)むずかしいですよね。良い本をこつこつと出す堅実さと、華やかな営業力、どっちも持ってる会社って。

      いい本が...
      倒産・・・;
      営業力かあ(==;)むずかしいですよね。良い本をこつこつと出す堅実さと、華やかな営業力、どっちも持ってる会社って。

      いい本が絶版になるとムキー!ってなりますね(^^;)パロル舎が復活しますように!
      2012/07/08
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「パロル舎が復活しますように!」
      理論社の「よりみちパン!セ」が、イースト・プレスに移った時に、大長編シリーズも引き受けて欲しいと思っていた...
      「パロル舎が復活しますように!」
      理論社の「よりみちパン!セ」が、イースト・プレスに移った時に、大長編シリーズも引き受けて欲しいと思っていたら、、、
      理論社は復活されました。目出度い!
      パロル舎も復活しますよ、きっと。。。
      2012/07/09
  • 本の中に「幻燈」っていう言葉が出てくるのだけれど、私にとってこのお話しはまさしく「幻燈をみているような」かんじでした。

  • 幻想ノスタルジー

  • 蝿を叩きつぶしたところで蠅の「物そのもの」は死にはしない。単に蠅の現象をつぶしたばかりだ。最初のページにショウペンハウエルの言葉がある「私」は旅にロマンを感じなくなった。どこへ行っても同じような人間、同じような村や町、同じような暮らししか見られない。蝿をつぶしたところで同じような蝿がまた飛んでくる、という詩人らしからぬ感傷から話が始まる。そして詩人の「私」は2つの経験談を語る。ひとつ目は家の近所でいつもの角を曲がったら見知らぬ街に迷い込んでしまったパラレルワールド的な話。もうひとつは、北陸のK温泉近くで迷い込んだふしぎな町を歩いていくといつの間にか猫、猫、猫だらけの街路に出て昏倒する。憑き村や猫の精霊が住む村を信じると言うが一方でモルヒネ中毒の詩人だとも白状する。朔太郎の厭世観と不安の根源は何だったのだろうか。金井田英津子の版画がとても良い。 

  • ストーリーをひきたたせる金井田英津子さんの版画が味わい深かった。

  • 中学生くらいから何度か読んだ後、この本は絵が気に入っての購入。
    挿し絵のない本で読んでいても文章のイメージ喚起力が強いので、映像が気持ちに残っている。 その映像と方向性は違うのだけれど、違和感はなく、しかも遥かに遥かに豊かです。

    部分は見知っているのに、空間は不安に満ちている。 奇妙でありながらどこかで懐かしい感覚が沸く町。 そして、ある一瞬世界が裏返り、戻ってきた「ここ」は本当になじみの「ここ」なのかと不安を煽られます。

    こういう、「似てはいるけど確実に現実とはズレた世界」を描く絵はいろいろあって、現代のものはレトロ感がわざとらしくて生理的にアウトな作品がとても多いけれど、これはすなおに入り込めた。 媚びがないというのか、借り物ではない作者の世界があるというか。
     
     
    この本を買ってからも何度か読み返していますが、気が付くと、文ではなく絵の中を彷徨っています。 どうやら私にとって猫町は、萩原朔太郎ではなく金井英津子の絵の中に移動してしまったようです。

  • ”散文詩風な小説”とあるように、詩人である萩原朔太郎が残した数少ない小説のひとつです。

    一人の詩人が迷い込んだ猫だらけの「猫町」 薬物に侵された詩人の妄想か、それとも現実なのか。読んでいると、作者の不安がこちらにまでなだれ込んでくるようで、少し怖くなります。
    でも気になってページをめくってしまう、不思議な魅力がこの本にはあります。

    また、版画家の金井田英津子さんの装幀・装画が素晴らしいです。
    手元に置いておきたくなる一冊です。

    図書館スタッフ(学園前):トゥーティッキ

    ----------
    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/707950

  • 文章と絵の組み合わせがすばらしい!

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著者プロフィール

明治19年(1886年)群馬県生まれ。詩人、小説家。「日本近代詩の父」と称される。中学在学中に級友と共に『野守』という回覧雑誌を出して短歌を発表する。主な詩集に、『月に吠える』『純情小曲集』『宿命』などがある。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『猫町』(萩原朔太郎+しきみ)がある。

「2021年 『詩集「青猫」より』 で使われていた紹介文から引用しています。」

萩原朔太郎の作品

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