猫町

著者 :
  • エフ企画
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本棚登録 : 527
感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (86ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894191679

感想・レビュー・書評

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  • 福岡市総合図書館 統一テーマ展示『図書
    館でねこ歩き』のメイン展示「猫好きの猫好きによる猫好きのための本」で紹介されていた一冊。
    ずっと気になっていたのでこの機会に読んでみました。
    萩原朔太郎……きっと面倒くさい人だっただろうなぁw
    なんというか……薬中の人が、三半規管の不具合のせいだと言い訳しながら、自分が見た幻覚について語る物語でした(苦笑)
    挿絵と装丁はとても素敵です。

  • 2014年5月8日
    本の中に「幻燈」っていう言葉が出てくるのだけれど、私にとってこのお話しはまさしく「幻燈をみているような」かんじでした。

  • 初のまんだらけで買った!
    最初のところ好き。あと読んでるとバイオリンの音がして悔しくなる。
    夜に読むもんだ! と思ったから無理矢理夜に全部読み切ったけど、白い光がさす真っ昼間とかに読んでもいいかも。

  • 幻想ノスタルジー

  • 蝿を叩きつぶしたところで蠅の「物そのもの」は死にはしない。単に蠅の現象をつぶしたばかりだ。最初のページにショウペンハウエルの言葉がある「私」は旅にロマンを感じなくなった。どこへ行っても同じような人間、同じような村や町、同じような暮らししか見られない。蝿をつぶしたところで同じような蝿がまた飛んでくる、という詩人らしからぬ感傷から話が始まる。そして詩人の「私」は2つの経験談を語る。ひとつ目は家の近所でいつもの角を曲がったら見知らぬ街に迷い込んでしまったパラレルワールド的な話。もうひとつは、北陸のK温泉近くで迷い込んだふしぎな町を歩いていくといつの間にか猫、猫、猫だらけの街路に出て昏倒する。憑き村や猫の精霊が住む村を信じると言うが一方でモルヒネ中毒の詩人だとも白状する。朔太郎の厭世観と不安の根源は何だったのだろうか。金井田英津子の版画がとても良い。 

  • ストーリーをひきたたせる金井田英津子さんの版画が味わい深かった。

  • 中学生くらいから何度か読んだ後、この本は絵が気に入っての購入。
    挿し絵のない本で読んでいても文章のイメージ喚起力が強いので、映像が気持ちに残っている。 その映像と方向性は違うのだけれど、違和感はなく、しかも遥かに遥かに豊かです。

    部分は見知っているのに、空間は不安に満ちている。 奇妙でありながらどこかで懐かしい感覚が沸く町。 そして、ある一瞬世界が裏返り、戻ってきた「ここ」は本当になじみの「ここ」なのかと不安を煽られます。

    こういう、「似てはいるけど確実に現実とはズレた世界」を描く絵はいろいろあって、現代のものはレトロ感がわざとらしくて生理的にアウトな作品がとても多いけれど、これはすなおに入り込めた。 媚びがないというのか、借り物ではない作者の世界があるというか。
     
     
    この本を買ってからも何度か読み返していますが、気が付くと、文ではなく絵の中を彷徨っています。 どうやら私にとって猫町は、萩原朔太郎ではなく金井英津子の絵の中に移動してしまったようです。

  • ”散文詩風な小説”とあるように、詩人である萩原朔太郎が残した数少ない小説のひとつです。

    一人の詩人が迷い込んだ猫だらけの「猫町」 薬物に侵された詩人の妄想か、それとも現実なのか。読んでいると、作者の不安がこちらにまでなだれ込んでくるようで、少し怖くなります。
    でも気になってページをめくってしまう、不思議な魅力がこの本にはあります。

    また、版画家の金井田英津子さんの装幀・装画が素晴らしいです。
    手元に置いておきたくなる一冊です。

    図書館スタッフ(学園前):トゥーティッキ

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    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/707950

  • 文章と絵の組み合わせがすばらしい!

  • 萩原朔太郎の文章も良いけれど、金井田英津子さんの版画がとても素晴らしかったです。ダークなファンタジーを感じさせる不思議な雰囲気。挿絵を見ているだけで楽しい気持ちになってきます。絵に合わせて文章が斜めになっていたり、デザイン性が見事でした。こういう本は手元に置いて、いつでも眺められたら良いのだけど…高いです。仕事帰りに深夜の電車の中から街明かりを見ていたら、自分が何処にいるのか分からなくなる瞬間があるの、分かります。そうか、私もあの時神隠しに会っていたのかもしれません。

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著者プロフィール

萩原朔太郎
1886(明治19)年11月1日群馬県前橋市生まれ。父は開業医。旧制前橋中学時代より短歌で活躍。旧制第五、第六高等学校いずれも中退。上京し慶応大学予科に入学するが半年で退学。マンドリン、ギターを愛好し音楽家を志ざす。挫折し前橋に帰郷した1913年、北原白秋主宰の詩歌誌『朱欒』で詩壇デビュー。同誌の新進詩人・室生犀星と生涯にわたる親交を結ぶ。山村暮鳥を加え人魚詩社を結成、機関誌『卓上噴水』を発行。1916年、犀星と詩誌『感情』を創刊。1917年第1詩集『月に吠える』を刊行し、詩壇における地位を確立する。1925年上京し、東京に定住。詩作のみならずアフォリズム、詩論、古典詩歌論、エッセイ、文明評論、小説など多方面で活躍し、詩人批評家の先駆者となった。1942年5月11日没。

「2022年 『詩人はすべて宿命である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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