• 藤原書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894340015

作品紹介・あらすじ

アナール派やフーコー、バルトに多大な影響を与えてきた大歴史家ミシュレが、海と生物(および人間)との関係を気宇壮大なスケールで描く。

感想・レビュー・書評

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  • いつもは、amazonで本を買うのだが、久しぶりに本屋をのぞいて、フェルナン・プローデル関係の本を探していて、偶然に見つけた本。

    ミシュレは、いうまでもなく19世紀フランスの大歴史家なのだが、この本は、いわゆる博物誌シリーズの1冊で、必ずしも歴史の本ではない。

    「海」をテーマに、地理的、自然的な側面、生命進化的な側面、人間と海との関係など、様々な観点から、論じていく。

    そして、ユニークなのは、海辺のリゾートの起源とでもいうべき部分。ここは、歴史的な記述というより、もう海水浴ガイドみたいな感じで、面白い。

    全体に文章は、饒舌で、なんだかユゴーのレ・ミゼラブルを思い出した。あれも本筋と関係ないところで、パリの下水道の歴史とか、えんえんと続くところがあって、鬱陶しいけど、なんだか引き込まれていくという、あの感じだ。

    内容的には、ある種の進化論を前提としているところとか、環境問題というか、持続可能な成長みたいな概念に到達しているところが、実に今日的。である一方、今読むと、19世紀的な勘違いもいろいろあって、それはまたそれで楽しい。

    でも、さすが、ミシュレ、間違っていても、すごく深いんだよな。例えば、人魚は、アシカやジュゴンを見誤っただけではなく、本当に、アシカやジュゴンから進化した生き物として実在したのではないか。それが今いないのは、その姿に恐れおののいた人間が抹殺したせいではないか。という下りは、笑うに笑えない、怖さがあった。

    今読んでも、というか今読んでこそ、スリリングな1冊かもしれない。

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