バルザック人間喜劇セレクション 第9巻

制作 : 鹿島 茂 
  • 藤原書店
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本棚登録 : 43
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894342095

作品紹介・あらすじ

『幻滅』で出会った闇の人物ヴォートランと美貌の詩人リュシアン。彼らに襲いかかる最後の運命は。

感想・レビュー・書評

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  • 『ゴリオ爺さん』で主人公を唆した、悪の親玉ヴォートラン。好きになった美青年を出世させようと画策して逮捕されるが・・
    しぶとく精力的で、バルザックも気に入ったキャラクターなのではないかと思う。

  • 内容はもちろん面白いのですが、イラストが良いです。自分の中のヴォートラン像とは違いますが、そう来たか、という感じです。

  • <閲覧スタッフより>
    約100篇もの小説に2000人を超える人物が登場する『人間喜劇(La Comédie humaine)』。何人もの登場人物が複数の物語間を縦横無尽に動き回る「人物再出法」と言う手法が特徴的です。『人間喜劇』は、バルザックの射程の広さを実感するオムニバス劇場です。
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    所在記号:953.6||ハオ||9
    資料番号:10132383
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  • 下巻
    解説を読んでから、本文を読むと、素晴らしいネタバレの連続。
    それをありがたく楽しむのでいいのですが。


    リュシアンの繊細さ、心弱さがよく現れている。
    誰でも逮捕されて牢獄にとらえられれば怯えるだろうけれど、詩人の魂は耐える力を持たなかったんだな……

    聖王ルイに心を馳せて、罪人としてではなく、詩人として自殺したリュシアンの最期、あの遺書をぱっと読んだときには、心に響かなかった。
    むしろゴリオ爺さんの死期の方が、疲れちゃうほどの長広舌でよっぽど印象深かったんだが、ヴォートランが遺書を読んだときには……
    あのヴォートランがリュシアンの死に打ちのめされて、力落として、そこに遺書を再掲されると、ヴォートランに感情移入してしまって、つらい。
    リュシアンをかわいがってかわいがって、別のあり方をしたもうひとつの自分の魂としてリュシアンを育てたヴォートランには、そりゃあ自分が死んでしまったも同然だったろう。

    「保護すべきスパニエルの子犬がなくなってしまったときに、ライオンもまた衰弱するのではないだろうか?」というようなことが書いてあったが、ヴォートランでさえ共依存の関係に陥ってたんだな。
    自分よりも、他人のために力を発揮する男だったのか。

    そのヴォートランが、悪党ヴォートランが、まさかあんな最期の変身を遂げるとは……
    策略にかかって逮捕されたときの轍を踏まぬように、自分の顔に硫酸をかけて焼いて変形させ、徒刑囚であった焼き印だか入れ墨を消すために、背中中に鞭を当てたり腕に小銃の弾痕を多くつけたりしてまで、痕跡を消して、牧師になりきっていたヴォートランが!
    (立派な胸毛までは隠せなかったようだけど。笑)

    牧師を殺して、聖句を暗唱して、外交官を努めていた、あの悪党ヴォートランが!
    まさか!司直の手先!

    ビビ・リュパンよりも立派な働きはあげるだろうけど。
    そのために、ダブ(親分)は自分を頼った徒刑囚をすべて裏切るのか。
    純粋な悪党でないヴォートランなんて……せめて、きっちりリュシアンの仇だけは討っていてくれるよう願いたい。

  • タイトルに偽りあり、でもあり、偽り無し…(副題は正しいが野暮ったいなぁ)でもある、が、面白ッ!面白すぎて頭がいかれてきたぜニヨニヨ・・・。タイトルからすると、娼婦エステルが主役かと思いそうだけれども、エレーラ神父ことジャック・コラン(ヴォートラン)とリュシアンの話っていう認識が一番正しい。なぜ「偽り無しでもある」のかは、読んだ人の感覚によるかもな。でもあとがきの指摘は、私の感じたことに近かった。うん、そういうことなんだろうなぁ。
    うひー星5つじゃ足りん!

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著者プロフィール

オノレ・ド・バルザック
1799-1850年。フランスの小説家。『幻滅』、『ゴリオ爺さん』、『谷間の百合』ほか91篇から成る「人間喜劇」を執筆。ジャーナリストとしても活動した。

「2014年 『ジャーナリストの生理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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