ゾラ・セレクション 2 パリの胃袋 (ゾラ・セレクション)

  • 藤原書店
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894343276

感想・レビュー・書評

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  • 中央市場のありとあらゆる匂いが漂ってくるよう。動物の皮、肉、血、臓器、腐った野菜、発酵したチーズ。食と人間に圧倒されながら一気読み。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「あらゆる匂いが漂ってくるよう。」
      匂いって時には凶器(狂気?)。或る時は夢を見させて呉れたり(媚薬?)、生きている証のようなモノですね。...
      「あらゆる匂いが漂ってくるよう。」
      匂いって時には凶器(狂気?)。或る時は夢を見させて呉れたり(媚薬?)、生きている証のようなモノですね。。。
      2014/04/07
  • 私は『ルーゴン・マッカール叢書』でどの作品が1番好きかと言われたらおそらくこの『パリの胃袋』を挙げるでしょう。それほど見事に人間の欲望を描いています。 ゾラ得意の映画的手法や、匂いなどの五感を刺激する描写、欲望をものや動物を描くことで比喩的に表現する手腕など、すばらしい点を列挙していくときりがないほどです。 文庫化されていないのが不思議なくらいです。ぜひこの本が世の中にもっと広まることを願っています。

  • <食べ物の色と匂いが織り成すパレード>


    『パリの胃袋』(1873)とは、フランスの文豪エミール・ゾラの作品★ ゾラの著作中ではシンプルで読みやすい小説の一つ。

     流刑地から脱走してきた人間が、“パリの胃袋”こと中央市場を目の当たりに。市場の活気、食べ物の色と匂いが織り成すパレードのような描写が鮮やかです☆

     赤キャベツは「深紅と暗い緋色の痣をもつ見事なワイン色の花と化し」
     キュウリは「黄色っぽい控えめな色」で
     野菜たちはいきいきと「緑のあらゆる音階を歌いあげ」
     牛の肺臓だって「この絹のような柔らかさ、この新鮮な息の通路」
     魚もチーズも負けじと、人のよだれを誘う……

     すきっ腹にきく表現がひしめき合い、ストーリーそっちのけでここだけ見ても魅惑のパラダイスです☆
     こんな風に食材を描写し尽くすゾラは、まるで小説という形式を借りて絵画に取り組んでいるみたい。目で活字を追いながらも、脳内では絵画に見入るような感覚に陥ります☆

     ただし、飢えの後に見たら夢のような光景ではないかと思いきや、彼は小食。食の快楽を貪るどころか、敵意を感じたとか……皮肉な話です★

     さて逃亡してきた主人公は、真面目に働くけど少々の思想がある人。彼の弟の妻は、目の前の現実に即して生活する人間であり、主人公を面倒くさっと感じる。そのことが、彼の運命を左右してしまうのです……★

     おそらく世の中は、彼女のようなタイプが多いでしょう。
     もちろん、生きるために食べることは重要です。
     ただ、本書を読むと、食欲に支配された価値観からの脱出体験ができるのだ。で、考え出すと、社会でどんなに悲しい事故や事件が起きようと、自分はご飯を食べて寝るだけが意識の9割って、単純すぎるし自分本位かも……
     ですが、おなかいっぱい食べてにこにこしてて、面倒なこと言わない人のほうが、堂々と日向を歩いていくよねと、作者も認めて(諦めて)いるようだ。絶望します★

  • あざやかな市場の描写
    パリが灰色の街の分、食べ物の色彩が引き立っていた

  • ひいっ読了!
    ★5が満点なら、★6コくらい必要だろコレ。

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著者プロフィール

エミール・ゾラ
1840年、パリに生まれる。フランスの作家・批評家。22歳ごろから小説や評論を書き始め、美術批評の筆も執り、マネを擁護した。1862年、アシェット書店広報部に就職するが、1866年に退職。1864年に短編集『ニノンへのコント』を出版、1865年に処女長編『クロードの告白』を出版。自然主義文学の総帥として論陣を張り、『実験小説論』(1880年)を書いた。1891年には文芸家協会会長に選出される。

「2023年 『ボヌール・デ・ダム百貨店』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エミール・ゾラの作品

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