「場所」の詩学―環境文学とは何か

制作 : 生田 省悟  村上 清敏  結城 正美 
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894346192

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  • 自己を定義するためには自らがどこにいるのか、その場所を知ることが重要であるという、ゲーリー・スナイダー氏の主張に感銘を受けた。

    自然や環境について考えるときに、それを自分自身や人間の存在を除外して外部から捉えるという方法を取るのではなく、自分自身がその中で生きている(生かされている)場として捉えるということは、重要なのではないかと思う。そして、その第一歩として、「土地との関係の中で自らを定義する」こと、そのために「自らのいる場所を知る」ことが大切になってくる。

    場所を知るとは、人間によって定義・整理された地理的な空間(地名や、「住宅地」といった属性)を把握することではもちろんなく、自らを生かしている自然がどのようなつながりの中にあるのかを把握するといったことだと感じた。これは都会の中にあっても、むしろ都会の中である方が大切なのではないか。例えば、水道の蛇口から出てくる水がどこから来ているのか、それを水源にまで思いをはせて考えてみる。または、自らが捨てたゴミや廃棄物はどこに運ばれていくのか、下水はどこに行くのか。

    また、生物との関係性という観点からは、「原植生」を知ることが非常に大切であるとスナイダー氏は言う。これは、人間に影響される前にその場所がどのような生態系を持っていたのか、言いかえれば自然はもともと何をやりたがっていたのかを知ることである。これを知ることは、その中に人間が入って生活するに当たって、大切な土台となる知識ではないかと感じた。

    水系や生態系といった視点で場所を捉え、その中に自らの位置を確認することは、現代の都市生活者においても得るものの大きい重要なことであると思う。

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著者プロフィール

高 銀(コ・ウン,Ko Un)1933年韓国全羅北道生。韓国を代表する詩人。道で拾ったハンセン病患者の詩集を読み,詩人を志す。朝鮮戦争時,報復虐殺を目撃,精神的混乱に。その後出家,僧侶として活躍するが,還俗し,投獄・拷問を受けながら民主化運動に従事。2000年6月の南北会談に金大統領に同行,詩を朗読。著書に詩集・小説・評論集等150余巻。邦訳『祖国の星』(金学鉉訳,新幹社)『華厳経』(三枝壽勝訳,御茶の水書房)『「アジア」の渚で』(吉増剛造との共著,藤原書店)『高銀詩選集 いま,君に詩が来たのか』(青柳優子,金應教,佐川亜紀訳,藤原書店)。

「2015年 『詩魂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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