- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894346192
感想・レビュー・書評
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自己を定義するためには自らがどこにいるのか、その場所を知ることが重要であるという、ゲーリー・スナイダー氏の主張に感銘を受けた。
自然や環境について考えるときに、それを自分自身や人間の存在を除外して外部から捉えるという方法を取るのではなく、自分自身がその中で生きている(生かされている)場として捉えるということは、重要なのではないかと思う。そして、その第一歩として、「土地との関係の中で自らを定義する」こと、そのために「自らのいる場所を知る」ことが大切になってくる。
場所を知るとは、人間によって定義・整理された地理的な空間(地名や、「住宅地」といった属性)を把握することではもちろんなく、自らを生かしている自然がどのようなつながりの中にあるのかを把握するといったことだと感じた。これは都会の中にあっても、むしろ都会の中である方が大切なのではないか。例えば、水道の蛇口から出てくる水がどこから来ているのか、それを水源にまで思いをはせて考えてみる。または、自らが捨てたゴミや廃棄物はどこに運ばれていくのか、下水はどこに行くのか。
また、生物との関係性という観点からは、「原植生」を知ることが非常に大切であるとスナイダー氏は言う。これは、人間に影響される前にその場所がどのような生態系を持っていたのか、言いかえれば自然はもともと何をやりたがっていたのかを知ることである。これを知ることは、その中に人間が入って生活するに当たって、大切な土台となる知識ではないかと感じた。
水系や生態系といった視点で場所を捉え、その中に自らの位置を確認することは、現代の都市生活者においても得るものの大きい重要なことであると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示