世界の多様性 家族構造と近代性

制作 : 荻野文隆 
  • 藤原書店
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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894346482

作品紹介・あらすじ

家族構成の分析を通して、世界像と歴史観を一変させる革命的著作。

感想・レビュー・書評

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  • マルクス以後初めての包括的歴史の構造分析の大著って煽り文句が全然嘘で無いすごい本。全然社会学に明るくない私はこの歴史分析について何か言えるほどのもの持たないけどめちゃくちゃ面白かった。借りて読んだけど一冊手元におきたい。

    • keisukekuさん
      全く同感です!でも、高価...
      全く同感です!でも、高価...
      2017/05/29
  • 世界の多様性 家族構造と近代性。エマニュエル・トッド先生の著書。家族構造や家族関係が社会の仕組みにまで影響を与えるというエマニュエル・トッド先生の説明には目から鱗が落ちました。現代世界の多様性は家族構造の多様性から来ていたのですね。良し悪しの問題ではなく、違いがあることを認めることが多様性。

  • あと1章で読み終わるのだが、思ったことを書いておこう。明日になったら忘れるに違いないから。養老孟司先生の「あなたの脳には癖がある」ってことを詳しく説明した本なんじゃないかと思ったわけ。だって脳の発達段階の一番最初に家族が来るわけだから、どうしたってその影響を脳が受けないはずはない。倒置法?そんな訳で続いては『あなたの脳にはクセがある』を読み直そうかと...

  • 世界の家族類型とイデオロギーは密接に関係するというお話。なるほど。

  • 『帝国以後』で、世界的に知られるようになった人類学者エマニュエル・トッドが、30才台で世に問うた衝撃の問題作『第三惑星』と、その続編ともいえる『世界の幼少期』を併せて一冊にまとめたものである。『帝国以後』におけるアメリカ分析の鮮やかさには舌を巻いたが、家族類型や識字率、出生率といった人類学的データを世界を読み解く解析格子に用いる独特の手法は、すでに当時においてほぼ完成していたことが改めてよく分かる。

    しかし、序文に自ら語っている通り『第三惑星』は、一部の評者からは好意的に受けとめられたものの、若さゆえの性急さから、順当な手続きを欠いた論証や過激な論調が仲間の人類学者や言論界からはかなり手厳しい評がかえってきたという。しかし、その着眼点は画期的なもので、それまで誰によっても唱えられたことのないものであった。

    たとえば、「なぜ共産主義が革命プロセスのはてにロシア、中国、ユーゴスラヴィア、ベトナム、キューバにおいて勝利したのか」、あるいはその他の地域ではなぜそれが失敗したのかという問いに、あなたならどう答えられるだろうか。当時ロシアも中国もマルクスの言う資本主義が高度に発達した国家ではなかった。そもそも工業国ですらなかったのだ。

    トッドが、目をつけたのは家族だった。結婚した子が親と同居するか、家を出るか。親の遺産は長子あるいは末子が相続するのか、それとも平等に分割相続するのか、といった観点から、二つの相対立する価値(自由/権威。平等/不平等)を使って、四つのカテゴリーからなる類型パターンを創り出した。自由、平等を価値とするフランスの平等主義家族。子どもたちの独立を要求するが平等は求めないイングランドの絶対核家族。父への服従と遺産の不分割の上に確立され、規律は重んじるが平等は無視するドイツの権威主義家族。平等と規律を併せ持ち、兄弟たちの父への服従を特徴とするロシアの共同体家族。ヨーロッパだけならこれで分類可能だった。しかし、これではイスラムをはじめ、世界中に存在する家族形態をすべて網羅することはできない。そこで、構造主義人類学ではおなじみのインセスト・タブーによる婚姻形態(配偶者を家族集団内部で選択する内婚制か、外部に求める外婚制か)を導入することによって、七つの家族モデルを創り上げた。

    トッドの着眼の鋭さは、この婚姻形態の発見にある。それまでにも家族類型を提唱した学者はいたが、ヨーロッパ文化はすべて外婚制であるために、外婚制と内婚制の区別を見逃していた。つまり、自分たちの制度以外にあるものを外部として見ないふりを決め込んでいたために、世界にある多様性を発見することができなかったのだ。「現在まで、ヨーロッパのであれ、それ以外の地域のものであれ、すべての政治形態を正常であり、理論的に有意義なものとして認めることを拒否してきたが故に、コミュニズムが何であるかをいまだに理解できていないのであり、その結果、コミュニズムの「対立項」であるリベラリズムが何であるかも理解できないでいるのだ」と、若き人類学者は先輩たちに苦言を呈している。この世界の多様性に対する眼差しが、他の学者と著者の最も大きなちがいである。

    そこで、先の問いに戻る。著者によれば、共産主義とは「外婚制共同体家族の道徳的性格と調整メカニズムの国家への移譲」ということになる。外婚制共同体家族は本来平等主義的な共同体に外部から他者を迎えるという性格上、常に緊張を孕む。それを調整するのが権威ある親の仕事だが、共産主義国家では政治機構がその代わりを果たす。そこでは個人は権利上平等であるが結果的には政治機構に押しつぶされてしまう。イデオロギーのような上部構造が、家族形態や婚姻形態といった、いわば無意識の下部構造によって支配されているというのだから、当時の人々が驚いたのも無理はない。

    ちなみに、日本は、権威主義家族でドイツと類型をともにしている。その他の地域を列挙すると、ユダヤ、バスク、アイルランド、カタルニャ、フランス系カナダ、とまだまだあるのだが、共通して浮かび上がってくるものが分かるだろうか。そう、民族紛争である。権威主義家族の国は差異に敏感で同化よりも分裂への志向性が強いという。ドイツと日本については、第二次世界大戦の敗戦国、戦後の復興という共通項以外にも、自民族の優越性を主張するための差異の創出等、多くの共通点が指摘されている。ただ、ひとつ気になるのは、家族類型をもとにした分布地図はともかく、そこから共通する性格や行動様式を読むというのは、どこまでが科学的な裏づけがあるもので、どこからが筆者独自の解釈かが判然としないということだ。発表当時の批判も、その点に対する疑念があったのだろう。

    続編の「世界の幼少期」では、識字率や出生率、女性の権威という複数の解析格子を重ね合わせ、数値化されたデータも収集し、日本や韓国、南インドほかの成長ぶりを論証していく。日本の急成長に脅威を感じる欧米人に、江戸時代の出生率や識字率を示し、日本はヨーロッパと同じ時期にテイク・オフしているのだから、これから先の成長に脅威を感じる理由はないと説くあたり、「第三惑星」と比べ、説得力を感じる。A5版で700頁という量である。とてもすべての内容を紹介しきれるものではない。是非、本を手にとって読んでみられることをお薦めする。訳文は平易で読みやすいが、明らかに誤植と思われる箇所がある。版を改める際には訂正してほしい。

  • 渡辺秀樹先生にトッドを紹介されて以来ずっと気になっている。早く読みたいが、なかなか厚い!

  • 「家族形態が社会構造を形成する」。
    この言葉に共感し、エマニュエルトッドに興味を持ったが、私には読めませんでした。
    入門書があれば是非読みたいです。

  • 何でもっと早く読まなかったのだろう。
    とにかく、面白い学説だった。

    「家族の形態が社会の構造を規定する」なんて、刺激的すぎる。
    経済的な発展は二次的な結果で、若年層の識字率上昇がイデオロギーの変化を促し、人口動態さえも相関するという事実は、凄い。

    「国家」という概念から解き放たれることの出来ない政治家のセンセイに、是非読んでもらいたい。

  • まだ眠ったまま。。

  • 県図書

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著者プロフィール

1951年生。歴史人口学者・家族人類学者。フランス国立人口統計学研究所(INED)に所属。76年、『最後の転落』で、弱冠25歳にして旧ソ連の崩壊を予見し、フランス・アカデミズム界に衝撃を与える。その後、歴史人口学の手法で「家族構造」と「社会構造」の連関を示し、全く新しい歴史観と世界像を提唱してきた。主要な著作として『世界の多様性――家族構造と近代性』(99年)『新ヨーロッパ大全』(90年)『移民の運命』(94年)『経済幻想』(98年)『帝国以後――アメリカ・システムの崩壊』(02年)『文明の接近――「イスラームvs西洋」の虚構』(07年)『デモクラシー以後』(08年)(以上、邦訳藤原書店)などがあり、近年は大著『家族システムの起源』を出版。

「2014年 『不均衡という病』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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