感想・レビュー・書評

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  • 非常勤先の「人文地理学」の教科書としてまたウォーラーステイン『ポスト・アメリカ』をひっぱりだしている。なるべく補足しながら話をしオたのが本書だとのこと。アラン・バディウの文章も読んでみたかった。
    雑誌の特集号ということで、執筆者は多いが、藤原書店のサイトで目次を公開していたので、ちょっと拝借。

    はじめに
    第Ⅰ部 世界史のなかの68年
    68年とフランス現代思想(アラン・バディウ)
    パリの68年(西川長夫)
    フランスの68年【68年5月の残光】(西山雄二)
    アメリカの68年【リベラルな社会におけるラディカルな知識人】(イマニュエル・ウォーラーステイン)
    アメリカの68年【確信から行動へ】(ステファン・ヴラストス)
    メキシコの68年【オリンピックとトラテロルコ】(オクタビオ・パス)
    メキシコの68年【ピュロスの敗北】(カルロス・フエンテス)
    女性から見た68年(古田睦美)
    ソ連・東欧圏の68年【改革共産主義の興隆と終焉】(伊東孝之)
    中国の68年【世界における造反運動の退潮】(金観濤+劉青峰)
    68年革命と朝鮮半島【過去になった未来】(林志弦)
    日本の68年【「全共闘」・「美共闘」 の可能性と問題点】(針生一郎)
    沖縄の68年【私的視野から】(川満信一)
    もう一つの68年【テロと右傾化の原点】(岡田明憲)
    アフリカ・68年の死角【カメルーンのもう1人のエルネスト】(谷口 侑)
    68年の世界史【67年の中東から見る】(板垣雄三)
    第Ⅱ部 わたしの68年
    転回(竹内敏晴)
    政治の季節から文化革命へ(青木やよひ)
    ゲート前坐りこみ(河野信子)
    68年と科学(中山 茂)
    不可逆な68年(吉川勇一)
    遅れてきた署名者(子安宣邦)
    フランスとベトナムと(海老坂武)
    ほんとうの私への回帰(黒田杏子)
    成り上がり者がつくった時代(西舘好子)
    揺れる電気傘と「三億円」(窪島誠一郎)
    右も左もない(新元博文)
    実存主義の種(鶴田静)
    68年の赤い糸(加藤登紀子)
    40年、抱えてきた宿題(佐々木愛)
    あの冬の記憶(永田和宏)
    目覚め、 そして屈折(宮迫千鶴)
    ターニングポイント(渡辺 眸)

    見てのとおり、非常に多岐にわたっています。1968年といえばもちろんフランスの5月革命なのですが、さまざまな方面、側面からいろんな人が文章を書いています。実は1970年生まれの私は研究を始めて、この時代のことを研究しようと思ったこともあります。1970年の日本といえば、1 968年以降の批判的精神が失われつつあり、大阪万博などで盛り上がり、『an・an』や『non-no』の創刊によって一気に消費社会へと突入するわけですが、私は1980年代の雰囲気が嫌なまま10代を過ごしたこともあり、1960年代後半の批判的精神にあこがれていたわけです。
    まあ、それはともかく本書を読むと、1968年という世界史におけるターニングポイントはまさにグローバル化の加速化のまっただなかということが分かります。前半は欧米の話が中心ですが、チェ・ゲバラの存在もありますが、続いては中南米、そして「プラハの春」に象徴され 82驍謔、な東欧、文化大革命の中国、そこから朝鮮、日本、沖縄へと展開します。当然、米国や沖縄の話のなかではベトナム戦争が重要です。そこまでは私でもこの時代の重要な出来事として想像できますが、本書で学んだのはアフリカの状況、そして板垣雄三さんが書いている中東の問題。やはり板垣さんの文章はもっと読まなくてはと思う次第。
    第Ⅱ部は名前の知らない人が多いですが、特に後半は詩人などの芸術家が書いていますが、これまた第Ⅰ部と対照的で面白い。まあ、この読書体験をどう研究や講義に活かすかは難しいところですが、なかなか面白かった。加藤登紀子さんが東大出身でまさに1968年の洗礼を受けているというのは初めて知り,現在のスタイルにつながっているんだなと納得。

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著者プロフィール

(Alain Badiou)
1937年、モロッコの首都ラバトで生まれる。1956年にパリ高等師範学校に入学。1960年に哲学の高等教授資格試験に首席で合格。ランスの高校の哲学教師を経て、1966年秋には同じくランスで大学への予備教育のために新設された大学コレージュの哲学の教員に任命される。その後、パリ第八大学教授、高等師範学校哲学科教授などを経て、現在は高等師範学校の名誉教授。1966–1967年度に始まった公開セミネールは、ランス、ヴァンセンヌ実験大学、パリ第八大学、国際哲学コレージュ、パリ高等師範学校、オーベルヴィリエのコミューヌ劇場と場所を変えながら、2017年まで続けられてきた。邦訳された主な著書に、『推移的存在論』(近藤和敬、松井久訳、水声社、2018年)、『哲学宣言』(黒田昭信、遠藤健太訳、藤原書店、2004年)、『聖パウロ――普遍主義の基礎』(長原豊、松本潤一郎訳、河出書房新社、2004年)、『ドゥルーズ――存在の喧騒』(鈴木創士訳、河出書房新社、1998年)などがある。

「2019年 『ラカン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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