自由貿易は、民主主義を滅ぼす

制作 : 石崎晴己 
  • 藤原書店
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894347748

感想・レビュー・書評

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  • E. トッド、自由貿易によってヨーロッパの民主主義は死にうると。まともな保守といった印象。
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    以下、内容に関する詳細なレビュー

    経済学における理論破綻の典型例であるとされる「合理的に判断できる人間」への懐疑と、それとちょうど裏表にある「真っ当な人間観」を軸に著者は持論を進める。

    ただ、「合理的に判断できない人間」に対するアプローチは行動経済学などによってまさに研究されつつある経済学で最もホットな分野であるし、さらにはその結果を踏まえた制度設計を行うエコノミストがすでに相当数いることも忘れてはならない点ではある。

    しかしそれでもなお著者が主張する保護主義貿易の役割は再評価されなければならないだろう。発展途上における保護主義貿易も、先進国におけるそれも。
    「謙虚さ」の表明として。

    また、民主主義との妥協を拒絶する自由主義である「ウルトラリベラリズム」の指摘も興味深い。例えば、実際に我々はまだまだ身体の安全を国家に求める段階である(海外での非常時には大使館へ駆け込む人が大半である)。そういったリアリズムを謙虚に受け止めるという意味で、やはり著者はまともな保守主義者であるといえるだろう。

    保守主義は歴史に対して常に謙虚なのである。

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著者プロフィール

1951年フランス生まれ。歴史人口学者。パリ政治学院修了、ケンブリッジ大学歴史学博士。現在はフランス国立人口統計学研究所(INED)所属。家族制度や識字率、出生率などにもとづき、現代政治や国際社会を独自の視点から分析する。おもな著書に、『帝国以後』『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』などがある。

「2020年 『エマニュエル・トッドの思考地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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