- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894348288
感想・レビュー・書評
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ケインズの国家によって生み出された需要は、輸入となって蒸発してはいけない=ある程度の保護貿易を前提としている。リスト「経済学の国民的体系」と同じ。
ケインズは、自由貿易の原則は承認したうえで、農業、国の安全にかかわる基幹産業、幼稚産業、ダンピングへの対抗、の場合は保護貿易が許されるとした。
自由貿易で発生した失業が他の産業で吸収されなければ、自由貿易論が崩壊する。
三王国の合併(イギリスの誕生)は、効果があった実例。
平和と経済自由化は、歴史的には平和が必ず先にあった。
リスト「豚を育てるのは生産的だが、子供を育てるのは非生産的である」
利潤を上げるためのコスト削減=アジアに開放=賃金デフレ
リカードは英国の羊毛とポルトガルのポルト酒の比較優位の例を挙げた。
自家消費はGDPはゼロ。輸出財に集中生産させる。その結果、価格が下る。自家消費分は価格高騰。コーヒー豆の価格が下落し、米の値段があがる。
工業化の中でも同じ現象が起きる(アウトソーシング)。GDPは上昇する。賃金は下がる。
廃棄物処理の自由化は、GDPは上がるが、新興国の環境問題を増長する。
イギリスは毛織物の保護主義で発展した。ドイツ、アメリカ、日本などは保護主義と開発独裁で発展した。
自由か保護主義か、ではなく自由か自給か。
3つの作り話。自由貿易、市場経済、経済成長。
農産物と工業製品の価格弾力性の違い。
一次産品需要の所得弾力性の低さから、一次産品に特化すれば交易条件は悪化する。
WTO以降、途上国の穀物自給率は悪化した。先進国のほうが比較優位があった。不作による価格変動が大きくなった。
賃金デフレこそが世界経済危機の原因=自由貿易によって賃金デフレが起きる。
保護の原理ではなく、保護のやり方には議論がある。保護が必要な分野があることは確か。
TPPは関税問題ではなく、経済の構造(アーキテクチャ)を押し付ける点が問題。TPPは、アメリカの包括的な国家介入を招く。
マルサスは、穀物の輸入規制は、自由化より繁栄に寄与するとした。
グレーアムの収穫逓増理論。リカードの問題点は、生産費用不変の仮定について。工業製品は収穫逓増だが、農産品は収穫低減。
アメリカは、中国に農産物自由化を強要したが、結局中国の農村を疲弊化させた分、中国の工業化が進んだ。
宇沢:農産物は必需性が高く、需要、供給面で価格弾力性が低いものは市場に配分を任せてはいけない。
TPPは日本にふさわしい協定ではない=学歴等による再階層化。自由貿易と民主主義は両立しない。自由貿易は、富の偏在を招き、需要を縮小させ格差を拡大する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
333.6||To
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著者トッドとなっているのに、E.トッドのページは250ページ中、20ページほど。図書館で借りただけだからいいですけど、ちょっと問題なのでは。
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結論から言うと全体的に面白くなかった。
深い内容もあったが、説明がわかりにくく、英単語を日本語の中に混ぜ込まされたせいで理解がむずかしかった。 -
2011年12月に実施した学生選書企画で学生の皆さんによって選ばれ購入した本です。展示期間終了後の配架場所は、開架図書(3階) 請求記号:333.6//To17
【選書理由・お勧めコメント】
新聞でもよくとりあげられているE.トッドの新作だったから(経済学科/4年) -
エマニュエル・トッド氏が保護貿易について論じる一著作として手に取った。
本書は、現存の世界自由貿易体制に不満を抱く執筆陣が、それぞれの主張をもってそれぞれの結論を導くという形式で構成されており、編集者の意図やこの本がもつメッセージというものは特段感じられない。
本書の位置づけが、「エマニュエル・トッドの最新作」というものでしかないのであれば、非常に残念。ただ、卒業論文の資料としては有用であった。