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- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894348622
作品紹介・あらすじ
プッチーニ、サン=サーンス、カザルスら世界的音楽家と親交を結び、日本における西洋音楽の黎明期に、自費で日本初のオルガン付音楽堂を建設、私財を注ぎ込んでその普及に努めた、紀州徳川家第十六代当主の破天荒な生涯。
感想・レビュー・書評
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「音楽の殿様 徳川頼貞 一五〇〇億円の〈ノーブレス・オブリージュ〉」というタイトルがすべて。この内容を、丹念に資料に当たってひたすら描ききったのが本書である。
読み進めるうちに、「この著者は音楽畑の人ではないのでは…?」との思いが芽生えた。巻末の略歴によるとはたして、書名だけは知っていた「バロン・サツマと呼ばれた男」を書いた人らしい。私見だが、これが本作の出来映えに少なからず寄与しているのではないだろうか。
難解で主観的でややもすれば衒学的な「芸術家」の轍は踏まず、抑えた筆致や対象との距離の取りかた、資料の正確な扱いぶりにおいて、本書は歴史学の手法を採る。しかしながら、時に突き放したかのようでさえある語り口の向こうから、音楽とそれに生涯を捧げた「忘れられた偉人」への敬愛がひしひしと感じられるのだ。
「力作」、そのひとことに尽きる。近代の日本史 and/or クラシック音楽に興味のある向きは、読んでみて損はないだろう。
2013/11/21〜11/25読了詳細をみるコメント0件をすべて表示
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