民間交流のパイオニア 渋沢栄一の国民外交

著者 :
  • 藤原書店
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894349483

作品紹介・あらすじ

渋沢栄一の「国民外交」の実像に初めて迫る!
近代国家としての日本の創造に尽くした実業人・渋沢栄一は、幅広い海外の知友との交流を背景とした、民間交流のパイオニアでもあった。
明治から昭和に至るなかで、日本が関係を深めるとともに問題を抱えることになった米・中・韓との交流に焦点を当て、渋沢が描いた日本国家の将来像と、その実現に向けて注力した「国民外交」の実像に初めて迫った初成果。

感想・レビュー・書評

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  • 片桐庸夫『民間交流のパイオニア 渋沢栄一の国民外交』藤原書店、読了。近代日本における資本主義興隆の父・渋沢栄一は、晩年を民間外交に捧げ、「対米・中・韓関係の改善に尽力」(帯)した生涯だったという。本書はその全体像を明らかにする試み。

    http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=1354

    通商関係の強化こそ平和の礎との渋沢の信念は、日本の侵略主義とは一戦を画し、米・中・韓との関係改善に四半世紀費やした。文化交流から経済支援まで--その多彩な活動は、ノーベル平和賞の候補として取り上げられる等、本調査には驚く。

    「論語と算盤」を旨とした渋沢の「国民外交」を明らかにする本書は、同時にその限界をも明らかにする。それは中国・朝鮮半島での民族主義を正確に理解してなかったことだ。国際派といってよい渋沢ですら近代日本の驕りから自由でなかったことだ。
    ※このあたりが吉野作造とは対照的であり、いわば自民族中心主義……特に近代日本は、アジアで最初に資本主義興隆に成功したという歴史を「自負」ととらえてしまうと、足下をすくわれてしまう訳で、この頸木をどのように理解するかで、その言説が真性か否か、分かるというものでもある。
    ※ただし、上記の真性論でもってして、全否定するのも問題があるのはいうまでもない。

    渋沢が尽力した「対米・中・韓関係の改善」は戦前だけでなく、目下の喫緊の課題でもある。戦前日本のように孤立に突き進むリアリティが増す今日、「政経分離」の建前には限界があるとしても、「民間外交」で切り開く翠点が無いわけではない。アプローチの無謬さをしりぞけながら、よりよき相互理解を目指すうえで、本労作に学ぶべきことは多い。

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