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- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894349834
作品紹介・あらすじ
「日本の近代」を問い直すための最良の鑑
「理想に」掴まれ、「絶対」に貫かれた、「化物」たちの時代――山田風太郎、服部之総、池辺三山、清沢洌、尾佐竹猛、吉野作造、福本日南らの「歴史の活眼」を導きとして、明治初年の精神に迫る。
「明治初年的異形」は、江戸の日本が西洋の文明とぶつかった衝撃から生まれたものであり、その坩堝のような激しい精神の劇は、まさに異形なるものといわざるをえないものであった。内村鑑三は、「武士道に接ぎ木されたる基督教」といういい方をよく使ったが、「明治の精神」とは、つまり「接ぎ木」である。江戸時代に醸成された武士道や儒教、あるいは国学的な教養といったものによって形成された「台木」としての日本人の精神に、西洋文明のさまざまなものが「接ぎ木」されたのであった。夏目漱石とか森鴎外といった漢文的な教養の深い青年に、英国文学や独逸文学といった西洋文学が「接ぎ木」された。岡倉天心には、西洋美術が、中江兆民には、仏蘭西の共和思想が、それぞれ「接ぎ木」された。彼らの「台木」と「接ぎ木」されたものは、強烈なまでに対比的なものであった。あえていえば、「異物」が突き刺さったのである。このような苛烈な「接ぎ木」の結果、育っていった樹木が、「異形」になるのは、ある意味で当然であろう。しかし、「明治初年的異形」は、単に変な「異形」ではなかった。実に豊かで深い精神的果実をその奇怪にのびた枝々にたわわに付けたのである。(本書より)