サブプライム後の新世界経済~10年先を読む「経済予測力」の磨き方~

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  • フォレスト出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894513334

感想・レビュー・書評

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  • 著者のこれまでの著作に比べるとパワー不足な感は否めない。タイトルとは裏腹に、実際の内容はサブプライム後の世界経済を予測するというような内容ではなく、どちらかといえばサブプライムの前であろうと後であろうとに関わらず、エコノミストの情報は当てにならず、自分で情報を取捨選択し先を読む力をつけなければならないということが主となっている。

    基本的に世界経済は過剰流動性によってアメリカが借金による過剰消費を行い、その物資を供給する世界各国がその便益を享受するということである。2007年には、GDPに対する消費の割合は72%に達した。一方、日本はだいたい60%程度である。

    デカップリングなどということがまことしやかにささやかれていたが、そうした構図を理解さえしていれば、そのような考え方はまやかしであることが簡単に分かるはずだということだ。中国、インドなどが今後台頭してくるとしても、依然アメリカの影響力は大きく、その構図が変わることは今後もないであろうといことである。

  • 経済の流れを読む際に何を参考にするのか?

    歴史的な見解は全てあてはまるとは限らない
    というような内容でした

  • 高いGDP であっても幸せを感じられなければ、意味がない。
    低成長の時代でも、幸せを感じられるようにならないと意味がないのかなと感じた。
    GDP が低い国でも日本より幸福度が高い国もある。
    経済の内容は、過去を振り替えって考察する話が多いため、未来、どうするべきかというのが、ほとんどないので、どうかな?と思います

  • 資産運用の本には興味があって昔からよく読んでいます、時々銘柄等が推奨してあることもあり購入してみたこともありますが、それで上手くいったためしがありません。従って、最近では具体的な話をしてある本よりも、経済予測について詳しく解説してある本を心がけて読むようにしています。

    中原氏の予測は良く当たるとのことですが、彼がどのような考え方で予測をしているのかが掴めれば良いと思います。

    以下は気になったポイントです。

    ・アメリカ政府は2008年9月に、ファニーメイとフレディマックの住宅公社を国有化したが、アメリカ国債よりも残高(5~6兆ドル)が多い住宅公社債が実質的な政府の借金になることを意味している(p46)

    ・アルゼンチン破綻後にベネズエラから南米へ危機が広がった場合、南米圏通貨構想が持ち上がる可能性あり(p57)

    ・1970年の不況において、1973年の高値から1年間で45%下落した、戻るのが10年かかったので、今回はそれ以上と推察される(p62)

    ・株価の底打ちは、2009~2010年に来る可能性が大きい(p65)

    ・世界国債インデックスは1982年から、国内国債指標は1988年からなので、国債分散投資が安定としている根拠は過去20年程度のデータで議論しているに過ぎない(p69)

    ・古代ローマ帝国の繁栄は、強力な軍隊と奴隷制度によって支えられていた、現在の資本主義も安い労働力を求めている点は同じ(p81)

    ・資本主義そのものを変えるとするのではなく、資本主義に私達の幸せの価値観をなじませるのが重要(p86)

    ・この10年間で金融恐慌が懸念される発端となったLTCMの破綻とサブプライムローン損失問題には、いずれも金融工学が深くかかわっていた(p108)

    ・歴史から学んだ教訓を、ただ当てはめるだけではうまく応用できない、前提となる条件・状況が異なれば歴史は繰り返さないから(p125)

    ・日本の賃金の動向を見るためには、被雇用者の90%が中小企業に勤務していることを考えれば、中小企業の動向を注視する必要がある(p131)

    ・アメリカが発表する重要な指標として、雇用統計が群を抜いている(p148)

    ・日本の場合には、毎月公表される「Quick短観」がある(p155)

    ・哲学的思想を学ぶには、構造主義・ポスト構造主義・ポストモダニズムを学ぶとよい、推薦図書として「構造と力、浅田氏」、「消費社会の神話と構造」がある(p169)

    ・アメリカの時価会計が凍結されたことにより、損失額の実体がブラックボックスの中に隠されてしまった、時価会計の凍結解除が金融危機が沈静化にむかう試金石となる(p187)

    ・6年間の年平均のGDP成長率は1.9%であり、そのうち1.0%が輸出、0.5%は企業投資、これから景気拡大が輸出と企業が主導したことがわかる(p244)

  • 投資を始めよう、だけど経済とかよくわかんねーな...って思ったので読んでみたよ('・ω・`)初心者でも「当たり前だろうJK...」というファクトばっかでしたが、大4章の「経済分析力の磨き方」は参考になりました。

    「意外にネットと新聞で拾える記事だけで経済って予測できる!」
    「マスコミの主観の交じった情報はすてろ!」
    「アメリカの経済指標に世界は連動する!経済指標をみろ!」
    ってなことがかいてあります。


    その他の内容としては、アメリカを中心とした経済成長のモデルは終わったと述べた後、これからは世界的に低成長の時代が続くと主張しています。理由としては①アメリカ人の価値観の転換―住宅を担保としての消費から、ローン返済、貯蓄型になる―②各国経済成長率の低迷
    それから金融工学や経済学にのみ頼るエコノミストや政策決定者はクソだと述べた後に、歴史・心理・哲学の観点から世界経済を分析する必要があると主張してる...感じ。

  • (1)目的
    一極集中の時代が去り、世界は多面化の不均衡な世界へ突入。アメリカの経済不調/テロによる不安定な世界へ。
    財政赤字と貿易赤字によって米ドルの価値は下落傾向。
    アメリカの次の覇権国は現れるのか?ドル崩壊は、いつ到来するのか?どうしたら世界経済の変化に対応することが出来るか?を予測したくて手に取ったグローバル対応編の1つ

    (2)内容
    ①ドル崩壊について
    貿易赤字は、90年の1000億ドルから07年には7000億ドルまで膨張。
    通貨間の相対価値を示す実効為替レート(対主要国通貨)は、73年対比では、85年は140%と上昇するが、その後、90年にかけて90%と急落する。90年から95年にかけては90%前後で推移し、95年から再び上昇し、02年に110%と持ち直す。02年以降は110%から継続的に下落し、08年時点では70%へ。
    とデータは載っているものの、ドル崩壊の原因に関するサブプライム等に関する記述は一般的に言われていることだけで、この目的では本書はハズレ・・・
    ただ、ずっと昔から双子の赤字と言われている中で、アメリカは元気にやっているじゃんと思っていたが、過去5年以前のドルの価値推移を見てもあんまり意味はなく、90年以降のドルの価値は切り離して考える必要があると気付いたことは1つの収穫。

    ②経済予測脳を養うためには・・・
    経済予測をする上では、実体経済や金融市場を動かす要因になるものを全部考慮しなければならない。
    特に、歴史/心理学/哲学。いずれも物事の全体構造や本質を認識するために重要となる。哲学については、特に構造主義、ポスト構造主義、ポストモダニズムの3つ
    また、過去の延長上に将来があるとは限らないということは、当たり前だけど結構オォ!と思いました。

    ③マクロ経済指標で優れているもの
    アメリカ経済を占うマクロ指標としては、「雇用統計」が速報性も高く優れているとのこと。「雇用統計」は毎月翌月第一金曜日に発表する。
    ・増加幅が15万人以上:雇用/景気ともに堅調
    ・増加幅が10~15万人:景気後退のリスクありと判断
    ・増加幅が10万人以下:雇用/景気ともに懸念の必要あり

    (3)課題
    ・ドルの崩壊はいつなのか?現状/将来について調査を続ける。
    ・世界経済を読み取れる指標を、知る/活用できるようになる。
    ・歴史観/哲学/心理学(行動経済学)に手を出そうと思ったのは収穫。

  • 発売から1年半以上も経っているが、まだ読む価値はあった。

    ・アメリカ雇用統計
    ・アメリカ中古住宅販売件数
    ・S&Pケースシラー住宅価格指数
    ・QUICK短観

  • 著者のこれまでの著作に比べるとパワー不足な感は否めない。タイトルとは裏腹に、実際の内容はサブプライム後の世界経済を予測するというような内容ではなく、どちらかといえばサブプライムの前であろうと後であろうとに関わらず、エコノミストの情報は当てにならず、自分で情報を取捨選択し先を読む力をつけなければならないということが主となっている。<br /><br />基本的に世界経済は過剰流動性によってアメリカが借金による過剰消費を行い、その物資を供給する世界各国がその便益を享受するということである。2007年には、GDPに対する消費の割合は72%に達した。一方、日本はだいたい60%程度である。<br /><br />デカップリングなどということがまことしやかにささやかれていたが、そうした構図を理解さえしていれば、そのような考え方はまやかしであることが簡単に分かるはずだということだ。中国、インドなどが今後台頭してくるとしても、依然アメリカの影響力は大きく、その構図が変わることは今後もないであろうといことである。

  • 経済予測力をつけましょうと初心者に勧める本。アメリカ主導・短スパンという原則の下、「雇用統計」「中古住宅販売件数」「S&Pケース・シラー住宅価格指数」「QUICK短観」を指標として、歴史学・心理学・哲学のアプローチで経済予測すべし、とのこと。名前は出していないが、某氏の「投資信託買いましょう」号令を厳しく批判している。読むなら、前著「サブプライム後の新資産運用」のセットで。

  • 図書館で借りた。中原氏らしいまっとうな本。

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著者プロフィール

1970年生まれ。慶應義塾大学卒業後、金融機関や官公庁を経て、現在は経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。大手企業・金融機関、地方公共団体等への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に務めている。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。実質賃金、実質成長率など、名目数値よりも実体経済に近い数値推移で市場を把握する。著書に『AI×人口減少』(東洋経済新報社)、『日本の国難』(講談社現代新書)など。

「2021年 『マンガでわかる その後の日本の国難 稼ぐ力の高め方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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