「イヤな気持ち」を消す技術

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  • フォレスト出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894515369

作品紹介・あらすじ

私たちの記憶は、過去の出来事を正確に再現するものではない。実は、イヤな記憶に囚われている人は、わざわざ自分が強く苦しむように、記憶を書き換えている。自分を苦しめるイヤな気持ちを消す、とても簡単なこと。

感想・レビュー・書評

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  • 認知科学者・計算機科学者である苫米地英人さんによる、機能脳科学的にイヤな気持ちを消す技術。
    苫米地さんは他にも(わけの分からない)肩書をたくさんお持ちですが、本の内容はいたってシンプル。
    そしてすごく納得いくものであり、面白い。
    頑張ってみようと思います。

    〈現在は、過去にベストの選択を積み重ねて出た、ベストの結果です〉

    〈記憶との付き合い方の基本は
    「結果論で過去の出来事を後悔しない」
    「前頭前野を働かせてそれを評価する」
    「前頭前野側からの介入に上達する」
    「わざわざ自分の不利になるように統合しない」
    「後悔は無意味ということを知る」
    「過去の記憶はすべて娯楽にする」
    の以上6つです。〉

    〈趣味の世界というのは、実は思いのほかIQを使います。
    どうしても前頭前野を使わないわけにはいかないのです。
    しかも、それをリラックスしてできるところが、趣味のいいところです。
    そうやって前頭前野が働いている状態を自分でつくりだしていけば、偏桃体の情報処理は自然と収まっていきます。
    すると、イヤな出来事がふりかかってきたとしても、偏桃体がそれを増幅して頭がカッカカッカすることがなくなります。
    リラックスして趣味に取り組み、前頭前野が働いている状態が維持されていると、毎日のようにイヤな出来事の相手を見ても、その記憶はだんだん薄れていきます。
    逆に、前頭前野が働かない状態が維持されていると、情動が優位になり、毎晩夢を見てイヤなことを刷り込み、それを長期記憶化してしまうことになるわけです。
    イヤな出来事の長期記憶への移行をとめる最大の方法は、そとのきに前頭前野を働かせてやることです。
    前頭前野さえ働くようにしてやれば、その出来事もだんだんイヤなことではなくなります。悲しいことでも、恐怖でも、許せないことでもなくなっていきます。
    したがって、リラックスした趣味を持つことはとても大切です。〉

  • 落ち込みやすく、くよくよするのがくせになっていました。この本を読むと、そういった時の脳のメカニズムがよくわかり、客観的に考えることができます。未来は過去に縛られるものではない、自分なりにベストの選択をしてきて、今の自分があるという考え方を知り、気持ちが楽になりました。

  • 図書館で何となく借りてみたけど意外と面白かった。
    記憶はエピソードをセットで思い出すのではなく、パーツごとに引っ張り出して組み立ててる。しかも思い出す都度。
    何事も気の持ちようって言ってしまうと簡単だけど、でもほんとにそうなんだろうなと思います。

  • 1
    感情とはある出来事に対して「意味」を持たせているということ。だからマイナスからプラスの感情に変えることができる。全ての感情を娯楽にしよう。

  • おもしろい。単純にイヤな気持ち(後悔、不安など)を消す技術を淡々とつづっているわけではなく、そもそも人間のネガティブな感情(および記憶)がどのようなメカニズムで生じ、人間がそのようなネガティブな感情をどうしていつまでも引きずるのかという部分が丁寧に説明されている。また、時間が未来から過去へと流れているという時間観や、PTSDやうつ病に関する考えも(幾分刺激的過ぎるきらいはあるが)おもしろかった。ただもう少し、知識の部分とテクニックの部分が書き分けられていたら読みやすかったかな。

  • 今までの人生で体感していた事が科学で証明されている事にとても安心感を覚えました。
    そして「時間は未来からやってくる」という事が一番の救いでした。
    何故もっと早くこの事に出会えなかったのかととても残念。お勉強は本当に大事です。悩むのは馬鹿だからと肝に銘じます。
    文章から苫米地さんの熱くてポジティブな人柄が見えて、その辺りも興味深かったです。

  • 人間の内面で深い葛藤が起こるのは前頭前野のブリーフシステム同士が互いに矛盾を起こすから。

    過酷な体験に遭いながらもそれを巧みに乗り越えていく人がいる。そういう人は過酷な体験によってどのようなハンデを背負わされたとしても、独力で自分の道を切り開くワザを編み出し、周囲の人々にプラスの影響を与える。人格的に見ても「あの人は立派だ」と多くの人々の記憶に残るような人物に成長していく。

    前頭前野の認識パターンはいかようにでも変えることが出来る。いかに過酷な体験をしようとも、それは人生に成功できないことの免罪符にはなりえない。記憶ではなく前頭前野のパターンがその人を身動きならない現状に縛り付けているだけ。

    過去が未来を制約することはない。

    時間は未来から過去へと流れている。未来から過去へと流れる限り、未来は過去とは無関係にやってくる。未来にこうありたいという望みが実現することと、過去に自分はこうだったということは一切関係がない。

    過去に因果を感じているとしたら、それはその人が過去の出来事に拘泥し、過去と同じ選択と行動を現在に繰り返してるからに他ならない。

    自分の記憶に収められた出来事は、自分自身で過去にそういった事実があったと思っているに過ぎないこと。「これは自分の身に起こったことだ」という記憶は、自分に都合がよくなるように、あるいは自分に不都合になるように、自分自身で加工した記憶。

    記憶を出す能力→統合能力

    過去の記憶であるにも関わらず、それを統合するのはこの現在にリアルタイムで存在する脳。

    記憶は幻だとは言わないまでも、決して過去を正確に伝えるものではない。

    脳は何かを思い出すたびにリアルタイムで1回ごとにゲシュタルトを再構成しているため、記憶に描かれた過去の出来事が毎回思い出すたびにに同じ内容であるとは言えない。とすれば当然、その記憶の意味を補強するために情報を脚色したり、別の記憶の情報を借りてきたりすることが起きても不思議ではない。

    前頭前野と大脳辺縁系はどちらかが必ず主となる。同時に主となることはない。

    前頭前野を働かせ大脳辺縁系の活動に介入することによって感情的な状態は即座に収まる。

    漫然とスマホを開いてる時、脳は停止状態にある。漫然とスマホを開いてる時間が長くなればなるほど、1日のうち脳の停止状態が占める割合が増す。

    人間の選択によって未来が変化することは十分に起こりえるから、実際にビバーグしていたら雪崩は起こったかもしれない。

    現実の結果よりもいい結果を想像して後悔するというのは、人間が抱く様々な後悔に共通している。

    その科学的見解を自分の人生にも当てはまると受け入れたのは自分。人間にはたとえ現代科学の統計的結論がそうであったとしてもそれを受け入れないという選択肢がある。

    全ての現実は自分が創造しているという意識に切り替わった時、人間は自分の運命を自ら創造し始める。

    現実ではない過去の事に思い悩まされてもしょうがないが、現実でもない未来に不安を感じることも同じく全く意味がない。

    悲しいときは徹底的に果てまで悲しむことが必要。果てまで行けば、それを超えて悲しむことはなくなるし、あとは自らの力で癒えていく。

    どんな経験をしようと、それに左右されず人生を切り拓いていく力が人間にはある。

    この人生において何をするかというのは、全て己に委ねられている。何をしてもいいし、「しなきゃいけない」こともない。

    人間関係が希薄で互いに干渉することを好まないというのは、現代人に特筆すべき特徴の一つ。そういう組織が増えるに従って社内における人間関係が薄れ、コミュニケーション不足が起こり、自分の守備範囲のことだけ頑張っていればいいという風土が生まれた。

    人間関係希薄で互いに干渉しない状態というのは、本人にとって決してリラックスできる状態ではない。なぜなら自分の身を守るために、常に周囲の様子や情報に気を配っていなくてはならないから。

    自分自身の中から発せられた欲望を満たそうとすることは、決して悪いことではない。いざ欲望を満たしてみるとそれがつまらないものに映り、それが次の欲望を膨らませていくエンジンになったとしてもいいのである。それが進歩や成長というものであり、人間はそうやって一歩一歩、自分が本当にやりたいことは何か、本当に成し遂げたいことは何かを理解していく。

    (実現することにより)夢を失うことによって初めて手に入れることのできる夢というのが、人間には必ずある。

    人間は自らの欲望を満たしてやることで成長する。ところが現実の世界を眺めてみると、欲しいものを得たその結果に満足せず、成長もせず、不満と不安にさいなまれている人が非常に多い。その理由は、自分の煩悩ではないものを誰かによって脳に刷り込まれ、それがさも自分の煩悩であるかのように勘違いさせられているから。

    人間は刷り込まれた他人の煩悩を満たしても本当の満足感を得ることはできない。

    「オレはすごいヤツだ」と思ってる人に、うつ病の人はいない。

    人生を謳歌したいと思うなら何事も自分に都合よく統合することが必要で、これはあらゆる精神の健康の秘訣と言える。

    もう一つ私たちが精神の健康を保つときに忘れてはならない点は、自分に都合よく統合するのも、都合悪く統合するのも、それは全て自分がやってることだとはっきり自覚すること。なぜならそれは、他人の脳ではなく自分の脳でやってることだから。

    うつ病は医学的にはセロトニン分泌量の不足。エフィカシーを高く持つことでドーパミンが放出され、それに伴いセロトニンも放出される。

    前頭前野を働かせて考えるということは、すなわち抽象度を上げるということ。端的に言えば、それは嫌なことと良いことの差がないということに他ならない。

    私たちは普段嫌なことが起これば悲しいし、良いことが起これば嬉しいと感じる。しかし、一つ上の抽象度から見ると悲しいも嬉しいもどちらも同じ「情動」に過ぎない。「それは情動だ」という認識が生まれれば、悲しいも嬉しいも関係なくなる。

    前頭前野を働かせて考えるということは、すなわち抽象度を上げるということ。端的に言えば、それは嫌なことと良いことの差がないということに他ならない。

    私たちは普段嫌なことが起これば悲しいし、良いことが起これば嬉しいと感じる。しかし、一つ上の抽象度から見ると悲しいも嬉しいもどちらも同じ「情動」に過ぎない。「それは情動だ」という認識が生まれれば、悲しいも嬉しいも関係なくなる。それが喜怒哀楽を超越することである。

    抽象度を上げれば善悪さえもない。抽象度を上げるとあらゆるものを超えた認識が生まれる。

    前頭前野眼窩内側部というところに洗脳されると発火し幸福感に包まれる場所がある。洗脳とはその場所を発火させる認識のパターンを前頭前野に作ること。

    アファメーションを毎日朝晩繰り返すことで、前頭前野の眼窩腹側内側部に発火パターンを作ることができる。

    リラックスした趣味を持つことは大切。IQは人間がリラックスしてる時にしか上がらない。緊張している状態は交感神経が優位な状態であり、とくに大脳辺縁系が優位になっている。大脳辺縁系が優位な時は前頭前野が働かず、前頭前野が働かないということはIQが上がらないということ。

    嫌な出来事の記憶にいっさい囚われない人生が開けるとしたら、これからの未来にどれほど多くのことを成し遂げることが出来るだろうか。

    因果は常に未来にある。

    もっと素晴らしい未来のことだけに思いを馳せる人生を手に入れる。すると、過去の記憶がどうであろうと、それは必ず「あの時こうだったから、よかったのだ」に変わっていく。

  • 仕事関連で引きずってしまったことがあり、それを解消したくて読み始めました。
    脳科学の観点から解説していて、それを理解することで、気持ちが楽になれそうな気分になりました。

  •  脳はブリーフシステム(思考パターン)でできている。

     それは成功や、うまくいった体験はすでには働かなくなっている(慣れて、だれている)が、失敗した体験はひろい出す。
     「失敗した体験で作られている」ともいえる。

     21世紀、生死にかかわる状況が少なくなっている今、「情動」は娯楽と化す。

     嫌な記憶から逃れるにはリラックスして、IQを使うこと。
     それには
    1抽象度をあげる(時間、空間、善悪を超えた俯瞰)
    2嫌な出来事と、楽しい、嬉しい、すがすがしいを結び付ける
    3脳を自己発火させる 

  • 嫌な気持ちを打ち消すにはポジティブシンキング、というのが脳科学的に書かれていて興味深かった。
    端的にいうと、脳は楽しい記憶よりも嫌な記憶を覚えていやすいというのはDNA的にしょうがないということだ。
    なのでそれに足掻くよりは嫌な記憶を楽しいこととして脳に認識させてしまえば思い出さなくなるということ。何だか納得。

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著者プロフィール

認知科学者(計算言語学・認知心理学・機能脳科学・離散数理科学・分析哲学)。
カーネギーメロン大学博士( Ph.D)、同 CyLab フェロー、ジョージメイソン大学C4I&サイバー研究所研究教授、公益社団法人日本ジャーナリスト協会代表理事、日本外交政策学会会長、コグニティブリサーチラボ株式会社CEO 兼基礎研究所長。マサチューセッツ大学を経て上智大学外国語学部英語学科卒業後、三菱地所へ入社、財務担当者としてロックフェラーセンター買収等を経験、三菱地所在籍のままフルブライト全額給付特待生としてイェール大学大学院計算機科学博士課程に留学、人工知能の父と呼ばれるロジャー・シャンクに学ぶ。同認知科学研究所、同人工知能研究所を経て、コンピュータ科学と人工知能の世界最高峰カーネギーメロン大学大学院博士課程に転入。計算機科学部機械翻訳研究所(現 Language Technologies Institute)等に在籍し、人工知能、自然言語処理、ニューラルネットワーク等を研究、全米で4人目、日本人として初の計算言語学の博士号を取得。帰国後、徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長、同ピッツバーグ研究所取締役、通商産業省情報処理振興審議会専門委員、早稲田大学研究院客員教授などを歴任。また、晩年のルー・タイスの右腕として活動、ルー・タイスの指示により米国認知科学の研究成果を盛り込んだ最新の能力開発プログラム「 TPIE」、「 PX2」、「 TICE」コーチングなどの開発を担当。その後、全世界での普及にルー・タイスと共に活動。現在もルー・タイスの遺言によりコーチング普及及び後継者として全世界で活動中。一般財団法人サヴォイア王家諸騎士団日本代表、聖マウリツィオ・ラザロ騎士団大十字騎士。近年では、サヴォイア王家によるジュニアナイト養成コーチングプログラムも開発。日本でも完全無償のボランティアプログラムとして「PX2」と並行して普及活動中。

「2023年 『新・夢が勝手にかなう手帳 2023年度版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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