禅脳思考

著者 :
  • フォレスト出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894516298

作品紹介・あらすじ

超一流メンタルトレーニング専門ドクターが説く、「あるがまま」で、心を整える習慣術。

感想・レビュー・書評

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  • ・人間はストレスを「なんとかしよう」とする、つまり対処法を考える。まず、外界を変えることで自分のストレスを軽減しようとする。また、認知の脳機能は行動の内容を大事にするので行動の内容を変えて気分を切り換えようとするなど、自分のストレスをなんとかマネジメントしながら生きていこうとする。しかし、外界はなかなか思うように変えられない。そこでなるべくプラスに意味付けすることで、なんとか自分の心の状態をよく保とうとする、これが「ポジティブ思考」。現代社会において認知的な脳の観点からポジティブ思考こそが人間が行き着いたストレスマネジメントの最高のメソッドと考えられている。しかし、パフォーマンスの面から考えるとポジティブ思考は最高の方法だとは決して言えない。行動の内容に関係なくパフォーマンスが発揮されるときの心の状態=フローという心の状態=揺らがずとらわれずの心の状態は共通している。人は認知的に「何をするのか」を外界に対し判断し、そこに意味を見出しながら、パフォーマンスを発揮しようとするが、それだけでは揺らがずとらわれずなフロー状態にはなりにくい。

    ・フロー状態とは、あるがままの、ナチュラルな心の状態であり、無心や空のような究極の心の状態=ゾーン状態 でもない。その領域はもちろんすばらしいが究極すぎてめったにその状態にはなれない。ゾーン状態は「やってくるもの」。ゾーンに入らなければならないととらわれ、実際にゾーンに入れないと、こころに揺らぎが生じて、最高のパフォーマンスが発揮できない場合も少なくない。揺らがずとらわれずなフロー状態に心を傾かせることを大事にすると、自分の能力が発揮され、自分にふさわしいパフォーマンスを生み出していけるようになる。日常生活の中で何かに揺らぎ何かにとらわれている心の状態のとき、人は間違いなく機嫌が悪いはず。だからこそ、機嫌のいい「ご機嫌な状態」であるフロー状態を生み出していくことが大事。スポーツ選手であれ、ビジネスマンであれ、どんな人にも心の状態があって、人生の中で自らのパフォーマンスをアウトプットしていくということは同じ。人間にとって、最高のパフォーマンスを引き出すには、いかに目に見えない心の状態を「ごきげんな状態」にできるかが大事になってくる。

    ・何かに意味付けをしようと、意味にとらわれているときは、結局は外界に自分の心が影響を受けている、それがポジティブ思考の限界。ポジティブ思考、プラス思考は、認知的で外界の出来事などの意味付けによって接着した状態であり、パフォーマンスが最大化されるゆらがずとらわれずの心の状態=フロー状態には容易になりにくい。真に実力を発揮していくためにはポジティブ思考でモチベーションを上げるやり方だけでは不十分。

    ・「気づき」にはじまる禅的な思考の基本は、内側、つまり「自分自身に向かう思考」を磨くことで認知の暴走が沈静化して、フローの風が心に吹く。

    ・プラス思考、ポジティブ思考をもてはやす風潮になり、本来もっている「ネガテイブな意味付けをすることを否定するので、どこかで心が苦しくなる。「ネガティブ思考がいけない」と自己否定していることが、実はもっとも苦しさをつくっている。いくらネガティブな意味付けをポジティブにしても、意味付けにゆり動かされて、外界の環境や出来事・他人にとらわれ、心に影響を与えてしまっていることには変わりはない。

    ・外界に向いて行動をつくり出すための脳と、自分という内側を向いて心を整えるためのライフスキル脳をしっかり働かせて生きていくことが自分らしいQuolity Of Life の高い生き方。2つの脳を使って生きれば、行動と心を分けて対応できるようになるので、パフォーマンスは向上する。あくまで第一の脳である認知脳をよりよく働かせて、するべきことを質高く遂行していくために、第二の脳として心を整える脳の機能を磨こう。

    ・認知脳のつくり出す文明の先に、心のフロー状態はない、幸せはないと国をあげて謳っているのがブータン。フローな心の状態は、外界や物質、そして結果などに認知的に求めてもやってこない。文明や結果といった認知の世界を否定するのではなく、心のための生き方や脳の使い方が改めて今必要である。

    ・ただ意識するだけでいい。禅脳思考はあくまてまも思考なので、「ただ考え意識するだけ」で大丈夫。知識の先に意識はない。

    ・動機には外発的なものと内発的なものがある。「やる気」は明らかに外発的な要素が強くある。外的なものに、自分のエネルギーを依存しており、エネルギーの作り出し方がきわめて不安定。一方「本気」はエネルギーを内側から生み出す、自家発電型の生き方を言う「内発的動機」で生きている。外界に依存しない自家発電型の心のつくり方こそ、究極の禅脳思考。

    ・成功とは、外界にはない、成功を決めるのは自分自身だということ、成功は心の状態・満足感。

    ・1日もあなたの作品。仕事も作品、1日も作品。

  • この本の帯には「ポジティブ思考をやめると、パフォーマンスが上がる」と書かれていて、私の今までの信条と違和感があり、この本には何が書いてあるのだろう、と興味が惹かれました。

    この本では闇雲にポジティブ思考をするのではなく、脳科学に基づいた禅的な脳の使い方をして最高の自分を引き出す方法(禅脳思考)を提案しています。

    若くて体力もあるうちは、ポジティブ思考で突っ走るのも一つの方法とは思いますが、体力の衰えも感じるこの頃、戦略を変える若しくは複数持つべきと思っていた私には朗報でした。

    この本の著者である辻氏のポイントを理解して実践し、成果を出すのには時間がかかるとは思いますが、最初の一歩を踏み出そうと思いました。

    私に最も届いたメッセージは、自分の心の状態は自分で整えるという意識のある人は、自分の表情・呼吸・姿勢次第で、心の状態に変化をもたらすことができると知っている(P172)というものです。表情・呼吸・姿勢は基本ですね。

    以下は気になったポイントです。

    ・目の前で起きたことに対して、ウソで無理に意味を書き換えることなく、あるがままに心を整えるメソッドが、禅的な脳の使い方、禅脳思考である(p7)

    ・認知という脳の3機能、1)外界(環境・出来事・他人)と接着する機能、2)行動の内容を決定していく機能、3)感情を生み出していくために、意味づけするという機能(p20)

    ・禅的な思考では、意味づけしている自分に気づく、ことが大事。そして同時に、心の状態である「感情に気づく」ことが基本(p37、38)

    ・ポジティブ思考をする人は、どこか自分自身にウソをついているので疲れる(p56)

    ・人生は、「いろいろなことが起こるという事実」「そこに私が意味づけをして、さまざまな感情を起こしている」という2つでできている(p59)

    ・外界に向いて行動を作り出すための脳と、自分という内側を向いて心を整えるためのライフスキル脳、この2つの脳をしっかり働かせるのがポイント(p69)

    ・割り込み無くきちんと並ぶのは、「そのほうが気持ちがいい」ことを、なぜか知っているから(p88)

    ・量子物理学の研究では、思考は、光であり、エネルギーである。つまり、思考するだけで、脳の中にエネルギーが生じて波動が起こる(p90)

    ・ありたい姿を望むことをエネルギーの源泉にすれば、永続的なエネルギーが手に入る(p97)

    ・自分の心を自由に解放し、「今、ここ、自分」に生きるためには、禅脳思考しかない(p113)

    ・自分自身に対して、行動の間違いはせめてもいいが、自分自身を責めてはいけない(p123)

    ・やる気は、認知的に作り出されるもの「外発的動機」だが、「本気で生きている」とは、エネルギーを内側から生み出す自家発電型の行き方であり「内発的動機」である(p155)

    ・内発的動機の高い人は、行動の源泉が外部にない。「好きだから」「自分で決めているから」「成長を味わいたいから」「一生懸命を楽しみたいから」がそれにあたる。「今に生きる」も本気の原点となる(p156)

    ・自分の心の状態は自分で整えるという意識のある人は、自分の表情・呼吸・姿勢次第で、心の状態に変化をもたらすことができると知っている(P172)

    ・人を変えようとするのではなく、自分を変えることこそ、いい人間関係を築く秘訣(P185)

    ・自分の心の状態は自分で決める、ことができれば、外界の「環境」「出来事」「他人」に関係なく自分らしく生きられる(P191)

    ・思考は光でありエネルギーなので波動を生じさせる。波動は脳波を生み出し、心の状態・感じ方に変化を与える力がある(P200)

    ・成功の正体:成功とは外界にない、成功を決めるのは自分自身、成功は満足感である(P211)

    2014年10月12日作成

    • satomin1011さん
      「外発的動機」と「内発的動機」の違い…納得です。
      「外発的動機」と「内発的動機」の違い…納得です。
      2014/10/14
  • 脳の機能=認知

    ①外界と接着する機能

    ②行動と内容を決定していく機能

    ③外界の出来事に対して行動を促すために、そして、感情をそこで生み出していくために、意味付けをするという機能

    揺るがず、とらわれず

    結果エントリー vs. 心エントリー

    意味付けしているい自分に気づく

    認知脳は感情に気づくという役割を担っていない

    認知脳には、ネガティブな意味付けが宿命づけられている

    心のさざ波をいち早く鎮め、行動に移す

    3つの事実
    すべての現象に意味などは付いていないという事実
    人は、すべての事象に意味を付けて生きているのだという事実
    人は、ネガティブな意味付けをする生き物だという事実

    真実を受け止め、喜怒哀楽を謳歌しながら、いち早く切り替えて、するべきことをして、人生を歩んでいけばいい

    いつでもどこでも外界に関係なく、心を切り替え、心にフローの風を吹かせる自家発電のような脳の機能が禅脳思考

    認知脳 ライフスキル脳 バイブレイン

    ありたい姿を望むことをエネルギーの源泉にすれば、永続的なエネルギーが手に入る

    「今に生きる」と考える
    この思考を繰り返し意識し、体感してシェアしていると、スキル化されて、自然に「今に生きる」と考えられる

    ただ自分の思考習慣を磨いて、やってくる心の状態に身を任せる

    自分→ライフスキル→禅脳思考→表情・呼吸・姿勢

    表情・呼吸・姿勢

    笑顔でいること、深呼吸をすること、姿勢を正すこと

    意味付けに気づき、今に生きると考えれば、フローな人間関係が生み出される

    自分の機嫌を取ることで、人に優しく接することができる

    相手からピストルで撃たれたとしても、自分は箱から出て、フローで生きることこそが禅脳思考につながる

    他者に対してエネルギーを与えることがフロー状態を導く
    ①リスペクトすると考える
    ②チアすると考える
    ③アプリシエイト

    部下には、指示とともに支援を

    成功とは、お金や業績などではない。自分のベストを尽くしたときに感じられる満足感のことだ(ジョン・ウッデン)

    成功とは、認知脳が作り出した概念・意味であって、そんなものはそもそもない

    自信のなさも認知脳が作り出していく。認知脳による自信は、結果や出来事や他人に依存する

    自分の中からつくった自信こそが強い自信

    ・自分の感情に気づく
    ・意味のついていない外界に自分で意味付けをしているということに気づく
    ・不快対策思考をしている自分に気づく
    ・知識への裏切りに気づく
    ・自分の心は自分で決めると考える
    ・自分の機嫌は自分でとると考える
    ・フロー状態の価値を考える
    ・好きなことを考える
    ・一生懸命楽しむと考える
    ・言葉を選択すると考える
    ・表情を選択すると考える
    ・態度を選択すると考える
    ・今に生きると考える
    ・与えると考える
    ・ありがたいと考える
    ・頑張れと考える
    ・思いやると考える
    ・ありたいあり方を考える
    ・◯◯してあげると考える

  • 「箱に入って自己正当化のピストルを撃っている」という箇所、色々気付かされた。

  • いかに考え、いかに行動し実行していくか。
    そのスタートの思考の仕方の向上って一番難しくて一番効果のあるものだと思える。

  • 揺るがずとらわれず

  • ⑴この本を手にとった理由
    タイトルにある「禅脳思考」がどういったものなのか、知りたかったので読みました。
    ⑵感想
    読んでよかったです。禅の考え方について深く知ることができました。よく座禅を組むことが取り上げられ、組むこと自体が取りざたされますが、この本を読んで座禅を組み瞑想することで、また違ったアプローチができると思いました。「モノや人に自分が勝手に価値観をつけている、それをリセットすることが必要」「今起こっていることに集中する、今日という日に集中して生きる」ということを学びました。
    でも、日々の行動に落とし込む方法が何なのかいまいちわからず、また書かれていた方法もあまりにも簡単すぎて、「本当に実現できるのか?」と疑問になりました。
    ⑶こういう人におすすめ
    座禅や禅の考えに少しでも興味がある人は見るべきだと思いました。

  •  人間には、優れた認知脳がありますが、意味づけし、比較・評価する機能のため、結果を求めて暴走しやすい性質があります。
     “認知の罠”にから逃れるために必要なのが、「禅脳思考」という思考法です。
     禅脳思考は、目の前で起きたことに対して、ウソで無理に意味を書き換えるのではなく、あるがままに心を整えるメソッドです。

     詳細なレビューはこちらです↓
    http://maemuki-blog.com/?p=3986

  • 認知脳の役割、ポジティブ思考の限界(そもそも嫌いだけど)、経験に意味付けしないことの大切さがわかります。の役割自分に起きたこと、自分がされたこと等を意味付け、勝手に評価しないって結構大事なことだと思いました。実践に移すのはかなり難しそうです。

  • 認知脳による緊張や不安を否定することなく、それが意味づけでしかなく、今、ここの、ありのままの質をただ考える禅的(ライフスキル)思考とのバランスであるバイブレインをトレーニングすること。概念としては、とても納得がいく。
    しかし、実際に使えるかどうかはよく分からない。まあ考えよう。
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著者プロフィール

辻 秀一:1961年東京都生まれ。北海道大学医学部卒業、慶應義塾大学で内科研修を積む。その後、「本当に生きるとは」を考え、人が自分らしく心豊かに生きること、すなわちクオリティーオブライフ(QOL)のサポートを志す。スポーツにそのヒントがあると閃き、慶大スポーツ医学研究センターでスポーツ医学を学ぶ。99年、QOL向上のための活動実践の場として、株式会社エミネクロスを設立。スポーツ心理学を日常生活に応用した応用スポーツ心理学をベースに、個人や組織のパフォーマンスを、最適・最大化する心の状態「Flow」を生みだすための独自理論「辻メソッド」でメンタルトレーニングを展開。37万部突破の『スラムダンク勝利学(集英社インターナショナル)』をはじめ、『リーダー1年目からの教科書(ぱる出版)』『自分を「ごきげん」にする方法(サンマーク出版)』『禅脳思考(フォレスト出版)』 『さよなら、ストレス(文春新書)』など著書他多数。最新刊は『Play Life, Play Sports~ スポーツが教えてくれる人生という試合の歩み方~(内外出版)』

「2018年 『メンタルトレーナー直伝 先生の“ごきげん思考”で、授業はうまくいく!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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