- Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894563735
感想・レビュー・書評
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重厚なタイトルに惹かれて...
扱われてるテーマも重厚で、
これが古い作品だとは普通の人じゃ感じ無い程、
緻密に練り上げられたSF。
こうした限界状態に置かれたとき、
果たして人間はこんな状態になるのだろうか?
自分はどうなのだろうか?
読み終った後、
きっと頭の片隅を支配し続けるだろう、そんな作品。
ちょいとディープな作品を読みたいときにお勧めの一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
も、未読やったらいっぺん読んでみ、ですよね〜!
なぜ私は今の歳まで小松作品に出会わなかったのか…。ハルキ文庫が田舎の本屋には置いてなかったとか、知的レベルが追い付いてなかったとか… はまあ置いといて。
以下ネタバレもあります*印象に残ったとこ。
物語は南極で幕を開けるんですね〜 「南極大陸」放映中でタイムリー。後半で「南極は象徴だ」ていうのが出てきて、あ〜うまいこと言う。パンが行き渡った世界で人間はどう生きるか。これ先進国ではまさに皆の問題。
テレビ講座最終回で哲学の役割を一章まるまる使って話す教授の言。
学問が人類のためにできること、やらなければならないこと。東日本大震災を思う。
そして無人の世界での核兵器の応酬という悪夢。
核酸だけで増殖するウイルスが、細菌を隠れ蓑にして人体を破壊する、というアイディアも刺激的。しかも元々は宇宙産でCB兵器の研究から漏れたやつ。
あとがきで出てくる、「有限性」というキーワード。がんばらないとこれを意識できない昨今の若者たる私。死はそばにあるのに…見えてない。
繰り返し出てくるイメージ… 宇宙、地球、人類の儚さ。あの大地震も津波も、ほんのちょっと皺がよったりゆらめいたりする程度のことなのだという感覚。
語りだすときりがないな。これが昭和39年に書かれてるんやね…。インターネットとか出てこないのに、古くないんだよな、ふしぎ。-
2011/11/30
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折に触れ読み返している作品です。最近読み返したのはは新型インフルエンザの流行が心配された最初の次期。リアルにぞっとします。まだまだ古びない傑...折に触れ読み返している作品です。最近読み返したのはは新型インフルエンザの流行が心配された最初の次期。リアルにぞっとします。まだまだ古びない傑作ですよね。2011/12/01
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初の小松左京作品だが、
書かれてから何十年と経っているにもかかわらず
全く色褪せない傑作を読み終えた満足感に胸がいっぱい。
終末・破局ものというジャンルに位置づけられるが
どうして終末を迎えてしまったのかという原因と
どのようにして終末に至っていったかという過程の
描写が緻密かつ秀逸で、
終末ものというジャンルは今でも数が多いが
今の作品群とは比較にならないくらい
設定と描写が練りこまれている。
良くも悪くも単なるSF娯楽小説に留まらない
作者による文明論、人類論、ヒューマニズムが
色濃く投影されていて、昨今の小説では
そういった作品が少なくなっているだけに
好き嫌いはあるだろうが、
作品に深みを与えていたように思う。 -
「復活の日」小松左京著、ハルキ文庫、1998.01.18
454p ¥861 C0193 (2020.09.06読了)(2012.01.26購入)(2008.06.28/4刷)
【目次】
プロローグ(1973年3月)
第一部 災厄の年
第一章 冬
第二章 春
第三章 初夏
第四章 夏
インテルメッツオ
第二部 復活の日
第一章 第二の死
第二章 北帰行
エピローグ 復活の日
初版あとがき 昭和39年8月 小松左京
巻末インタビュー 平成9年10月21日
解説 昭和50年 渡辺格
☆関連図書(既読)
「小松左京スペシャル」宮崎哲弥著、NHK出版、2019.07.01
「戦争はなかった」小松左京著、新潮文庫、1974.05.25
「日本沈没(上)」小松左京著、小学館文庫、2006.01.01
「日本沈没(下)」小松左京著、小学館文庫、2006.01.01
「ゴルディアスの結び目」小松左京著、角川書店、1977.06.30
「首都消失 上」小松左京著、徳間書店、1985.03.31
「首都消失 下」小松左京著、徳間書店、1985.03.31
「虚無回廊(Ⅰ)」小松左京著、徳間書店、1987.11.30
「虚無回廊(Ⅱ)」小松左京著、徳間書店、1987.11.30
「虚無回廊(Ⅲ)」小松左京著、ハルキ文庫、2008.10.18
(「BOOK」データベースより)amazon
MM‐八八菌―実験では、摂氏五度で異常な増殖をみせ、感染後五時間で九十八%のハツカネズミが死滅!生物化学兵器として開発されたこの菌を搭載した小型機が冬のアルプス山中に墜落する。やがて春を迎え、爆発的な勢いで世界各地を襲い始めた菌の前に、人類はなすすべもなく滅亡する…南極に一万人たらずの人々を残して。人類滅亡の恐怖と、再生への模索という壮大なテーマを描き切る感動のドラマ。 -
映画は学生時代に草刈正雄主演で観ていた。1998年に820円の定価だったものが今回1500円以上になっていました。
コロナだったから購入したのか、何なのか動機は忘れましたが、映画の原作でもありますし、読むことにしました。今のコロナ騒ぎと本当にリンクしてびっくりです。終わり方は映画と原作では大分違いました。
付箋
・「祖国」を口笛で
・ウイルス! この世の中の宰相の生命体。物質と生命との境界領域にひろがる、極微の謎。解明のメスが進むにつれ、そのはらむ複雑性はますます深まって
・「人類」にとって、災厄というものは、常に一過性のものにすぎない 小ぢんまりとした「文明」を享受してきた日本の人々には、文明と国土に対する無条件の信頼があった
・だれかがそれをやらねばならないから、やむを得ずそれをやるのだ。
・弾き語りで低く「パリに帰る」をうたった
・セックスは人間にとってそれほど本質的なものじゃないですよ セックスが人生の重大事みたいに考えるのは
小説家の冥蒙ですよ
・人はのどもとすぎれば、たやすく熱さを忘れる 人間は子孫に追憶をおしえることができ、記憶を伝えることができる いきいきとした事実を才能ある人人の手によって再現しそれを通じていきたものとして教えて行けるだろう 再び同じ愚をくりかえさないために
・疫病とか伝染病といったって、人類が完全に制覇できるかと言ったらとんでもない話
・MM菌の存在は単に空想小説上のことではなく、本当に起こり得ることで、そえがまだ起っていないことにむしろ感謝すべきではないか
・一人で研究していないということは大きな救い
・科学者とくに生命科学の研究者は、結果の報告だけではなく、何をやりたいのか、何を妄想しているのかを、予め公開しておくべきではなかろうか -
生物化学兵器(低温下で不活発という設定)が事故により流失し、人類がほぼ滅亡する話。南極の生き残りから人類は復活するが、南極の男女比は、100対1だったため、ある解決策が取られた。
この策が理性では受け入れられてみも、感情的に受け入れられないのは、ロマンティスト(マイナスイメージの言葉)ということなのだろう。
小松左京による小説は、1964年に書き下ろしで発表された。1980年6月に映画化されている。 -
いつか読もう読もうと思いつつ後回し後回しになっていたけど、読んでよかった。とても面白かった…。
まず第一部。インフルエンザ怖い。ウイルス怖い。
おいおいふざけんな、ってくらいに人間の愚かしさが不運に乗って波状攻撃を仕掛けてくるので、なにもそこまでせんでも!と天を仰ぎたくなりました。実に絶望的滅亡。
しかしタイトルが『復活の日』であるからには、ここから人類は復活を遂げるはずである、と思って読んでも読んでも全然その兆しがない。…まあ、というよりは滅亡までの道のりが実に丁寧に描かれているのだけど。
そしてようやく訪れる第二部復活の日。ここは思いの外勢いよく話がすすみました。しかし最後の最後まで人は自らの愚かしさに祟られるのか…。ここまでくるとむしろ楽しくなってくる。
そして最後に語られる人類復活の要因は…これも皮肉。うん、実にしびれました。いやあ、面白かった。